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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
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「脱出:一の幕」

第7話 「脱出:一の幕」



クルーゼを先頭に、三人は盗賊のアジトを進んでいた。

流石は元頭領の息子というべきか。

クルーゼは見張りの配置や巡回経路を把握しているらしく、他の盗賊に見つかることなく洞窟の奥へ進んでいく。


ラウル 「って牢と違う方向に向かってない?」

クルーゼ「ん?あぁそりゃそうだ。

     こじ開けられなくもないが、鍵があった方が静かに行けんだろ?」

カエデ 「なんや、ちゃんとバレないの優先ってことはわかってんのか」

クルーゼ「ちゃんとわかってますよ~カエデさん♪

     まぁ脱獄がバレたら終いなんで、時間勝負なとこはありますけどね」


軽口をたたきながら一同はクルーゼ、カエデ、ラウルの順に一列に並び、さらに洞窟の奥へ進んでいく


ラウル 「なぁクルーゼ、そろそろ――」

クルーゼ「シッ」


クルーゼは口に指を立てながら、二人に姿勢を低くするように指示を出す

クルーゼが指し示した先にはドアの前に寄りかかっている初老の男性がいた。

様子を見るに目を閉じているように見えるが、全く隙を感じさせない。


クルーゼ「あちゃ~、よりによってドノヴァンかよ・・・」

カエデ 「ドノヴァン?」

クルーゼ「あぁ、親父の代から団にいた古参だよ。

     親父とも仲良かったハズなんだが、ゲオルグ側につきやがって。

     ただあいつ無茶苦茶強いし、勘が良いんだよなぁ・・・

     あの部屋に鍵とか貴重品があるですよ。どうすっかなー・・・」

カエデ 「あらら、それはどうしたもんか・・・。ラウル良い考えある?」


カエデはラウルに話を振ってみるが反応が無い。

クルーゼとカエデはラウルの反応が無いことを訝しみ、二人で振り返ってみるのだが、そこにラウルの姿は無かった。

慌てて周囲を見回した二人の目線は、ドノヴァンの元へ真っ直ぐ歩いていくラウルの後姿を捉えた。


クルーゼ「(ちょ~~~~~!?何してんのあいつ?)」

カエデ 「(いやわからん!考えなしな子では無い筈やけど!?)」


物陰で焦る二人をよそに、ラウルは気負いない態度でドノヴァンに話しかける


ラウル  「こんにちは!」

ドノヴァン「童(わっぱ)、こんな場所に何の用かな?」

ラウル  「えーっと、もしゲオルグのやり方が嫌いなら、で良いんだけど。

      その扉の先に通してくれないかな?」


物陰からあわあわと見守るカエデとクルーゼ。

数瞬の沈黙の後、ドノヴァンが口を開いた。


ドノヴァン「童(わっぱ)よ、何故そのようなことを聞く?」

ラウル  「勘でしかないんだけど、おじさん下衆は嫌いでしょ?

      おじさんから『屑の匂い』がしない気がするんだよねー」


ドノヴァンは片目を見開く。

まるで思いもしない言葉を聞いたような顔だった。

やがてドノヴァンは堪えきれなくなったように笑い始めた。


ドノヴァン「くっ、くっくっく……!面白きことをいう童(わっぱ)よ。名は?」

ラウル  「ラウル」

ドノヴァン「ラウルか・・・先々が楽しみな童よな・・・

      して、いつまで隠れておるのです?若?」


クルーゼ 「(バレてるーー!?)お、お前、なんだよ。

      簡単にゲオルグ側につきやがって!親父への恩義とか無ぇのかよ!」

ドノヴァン「儂がいつ、あの『屑』についたと?」

クルーゼ 「は?」

ドノヴァン「若はいつもせっかちで困る。

      昔から感情優先で動くなといっておるでしょうに・・・

      そういうところばかり先代に似ておるのですな・・・」

クルーゼ 「ちょっと待てドノヴァン!そういうことだ!?

      お前ゲオルグの配下に加わったんだろ!?」

ドノヴァン「先代の遺志を今も大事にしている者たちが悉く捕まっておるのです。

      下手な真似は出来んでしょう?」


クルーゼは理解するまで頭を抱えていたが、暫くすると一つ深いため息を零し、呟くように話し始めた。


クルーゼ 「俺、ドノヴァンが親父のこと裏切ったのかと思ってた・・・。

      なんだよ……芝居だったのかよ……」

ドノヴァン「儂は元々若以外の人間を後継者などと認めておりませぬ。

      ただ・・・ご心配をおかけして申し訳ありませんでした、若」


ドノヴァンはクルーゼに向けて柔らかい笑顔を向ける。

クルーゼはラウルとカエデに顔を見られないように、腕で顔を擦っている。

その様子を見ながらカエデはラウルに声をかける


カエデ「しかしラウル、考えなし行動に出すのはいかがなもんかと思うで?」

ラウル「えー?だってあの人、こっちが隠れる前から気付いてたでしょ?

    それなのに殺気の欠片も無かったから大丈夫って思っちゃってさー」

カエデ「(まったく・・・こういうところは昔から敏いなんだから・・・)」


カエデがため息をついていると、クルーゼとドノヴァンの話もまとまったようだ。


ドノヴァン「それでは一先ず仲間を開放して逃げるということですね?」

クルーゼ 「あぁ、そうだ。まずは憂いを断って仕切り直しだな。」

ドノヴァン「分かりました。この時をもって、改めて若の配下に戻ります。

      まずはこの部屋から目ぼしいものを持ち出すとしましょう」


ドノヴァンはドアを開け、3人を招き入れる。


ドノヴァン「儂が見張りますので、皆さまは目ぼしいものを探してください。

      若、逃亡に馬は必要になるので厩舎のカギは忘れずに頼みますぞ?」

クルーゼ 「わかってるよ、ドノヴァン。その辺は抜かりなくやるさ!」


ドノヴァンは静かに微笑むと、ドアを閉めるのであった。


ラウル「(ニコニコ)」

カエデ「(ニコニコ)」

クルーゼ「なんだよ・・・」

ラウル「いやー?」

カエデ「なんでもあらへんよー?」

ラウル・カエデ「(良かったね、ニコニコ)」


クルーゼ「あー、調子狂う!さっさと物色すっぞ!

     鍵類は俺がわかるから、二人は何か目ぼしいもの探してくれ!」


クルーゼは恥ずかしそうに部屋の中を探し回る

ラウルとカエデもニコニコしながら、室内の探索を開始する


ラウル「(うん・・・?このカバンは・・・?)」


ラウルは比較的大型のリュックサックに目を付ける。

中を確認していくと、見たことのない部品のようなものがリュックにぎっしりと詰まっているのだった。


カエデ「どしたん?ラウル?」

ラウル「あぁ、カエデ姉。これ見て?」

カエデ「おぉ、過去遺物やないか。たくさん入っとるなぁ」

ラウル「ってことは牢の中に持ち主がいるのかもね?

    貴重な品だろうし、一応持っていこうかな」

カエデ「そうやね。そうしたり。」


粗方の捜索を終えると、一同は部屋の隅に集まり手短に作戦を確認した。


ラウル  「今回は逃げの一手だよ、クルーゼ」

クルーゼ 「うるせー、なんども言わなくてもわかってるよ。

      まずは牢を開放して仲間と一般人を助ける。

       俺とドノヴァンは仲間と合流したら、派手に暴れながら外へ逃げる。

      それで良いよなドノヴァン?」

ドノヴァン「御意。馬があればそうそう捕まりますまい。

      賊は引き付けるゆえ、その間に他のみなさまは御頼み申す。」

カエデ  「まかしとき!ちゃーんと街までは送り届けるから安心しいや!」

ラウル  「じゃ、そういうことで。動き出すよ!」


ドノヴァンを先頭に部屋を出たときにクルーゼがラウルに声をかける


クルーゼ「なぁラウル」

ラウル 「? なーに、クルーゼ?」

クルーゼ「俺、いや俺たちは今回の恩を忘れねぇかんな」


ラウルはきょとんとした後に、クルーゼに言葉を返す


ラウル 「タコ殴りには混ぜてね?」

クルーゼ「……は?」

ラウル 「いや、ゲオルグの野郎は許さないんでしょ?

     その時は面白そうだから混ぜて欲しいなぁ」


言外に、この件から手を引く気はないよというラウルの言葉に、クルーゼは一瞬言葉に詰まる。


クルーゼ「わかった。じゃあその時は招待状送りつけてやっから、

     ちゃーんと予定空けておけよ?」

ラウル 「はーい、なるべく早めにお願いします~」


そんな二人のやり取りを聞きながら、カエデとドノヴァンは微笑む。

即席の脱出作戦が、いよいよ始まろうとしていた。



次回、「脱出 二の幕」


読みづらい場所などありましたらご指摘ください。


もし知りたい設定などありましたら、幕間などで説明できたらと思います。

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