「邂 逅」
第6話 「邂 逅」
見張りを張り倒した二人は、アジト潜入の準備を進めていく。
カエデ「じゃ、そろそろ潜入するで?
ラウル、ハンドサインは覚えとるよな・・・?」
ラウル「(無言で了解と追従しますのハンドサイン)」
カエデ「よろしい」
ラウル「まずはクルーゼを探そうと思うんだけど」
カエデ「なんでなん?盗賊は後回し?」
ラウル「わざわざ盗賊側のホームグラウンドで暴れなくても・・・。
んー、クルーゼってやつの協力を得ないと他の人たちが協力して
くれないかもだし。洞窟の中の事も他の人より知ってるだろうしね。」
カエデ「(ふーん・・・やるやん)
じゃあそうしよか。先頭は任せるで?」
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二人は静かに洞窟の中を進んでいく。
洞窟の中は思った以上に広く、また広さに比例するように多くの盗賊が配置されているようだ。
カエデ「なぁ、ラウル」
周囲に人がいないことを確認し、カエデはラウルに声をかける。
カエデが示した方向にある暗がりに格子上の扉が見えた。
カエデ「あっちの方に牢屋あるの見える?」
ラウル「うん、ギリギリ見えてるよ。多分一般人かな?
盗賊っぽい人も何人かいるっぽいね
解放したら陽動にはなるかな?」
カエデ「単純に騒ぎを起こすだけならアリっちゃアリやが・・・。
一般人に被害出るのは避けるべきかな」
盗賊団の内輪もめだけならいざ知らず、さすがに巻き込まれる一般人がいるのは寝覚めが悪かった。
ラウル「そだね。当初の目的通り、クルーゼ探そ」
カエデ「りょーかい」
二人は事前情報を確認しながら奥へ奥へと洞窟を進んでいく。
全体の半分ほどに達したところだろうか、遠くの方から騒いでいる声が聞こえてきた。
???「いいから出せや!もしくはゲオルグ呼んで来い!」
???「うるせぇなぁ・・・こいつ・・・
夜まで俺一人で見張んのかよ・・・うぜぇ・・・」
どうやら奥の小部屋から聞こえてくる声の様だ。
部屋のそばまでくるとはっきりと声が聞こえてくる。
???「騒ぐな!もう夜までの命なんだ。
もうちょっと後悔して泣くとか静かにできねぇか!」
???「うっせ!ゲオルグに従う様な下衆に何言われても響かねーよカスが!
お前なんか(ピー)だし、お前の(ピー)を(ピー)しちまうぞ!?」
???「口悪っ!こいつ口悪っ!!?」
隙間から中をのぞくとぐるぐる巻きに縛られた男と、ひげがボサボサのいかにも下っ端らしい盗賊が言い争いをしている。
ラウル「どうやらクルーゼさん発見だね」
カエデ「ほんじゃま、サクッと行こか」
ラウルが部屋のドアを開けると同時にカエデは見張りへと駆け出す。
驚いた盗賊が油断している隙に、助けを呼ばれないようのど元に掌底を打つ。
盗賊がのどを押さえ呻いていると、ラウルが側頭部に蹴りをたたき込み昏倒させる。
唖然とするクルーゼをよそに、二人は慣れた手つきで盗賊をふん縛り、「イエーイ」とハイタッチまで交わす。
まだ状況が呑み込めていないクルーゼに対してラウルは声をかける。
ラウル 「あんたがクルーゼさん?」
クルーゼ「・・・。お前は誰だ?」
ラウル 「助けに来た冒険者だよ。名前は他の盗賊から聞いた」
クルーゼ「・・・そっちのお姉さんは?」
ラウル 「こっちはカエデ、俺の冒険者としての師匠で。。」
カエデ 「ラウルのお姉ちゃんや」
ラウル 「・・・冒険者としてのししょ――」
カエデ 「お姉ちゃんや(キリッ)」
ラウル 「カエデ姉・・・」ハァ
クルーゼ「・・・血の繋がりは・・・?」
ラウル「えぇ。。お前もこの流れに乗ってこれんの・・・?
繋がりは無いよ、幼馴染のお姉ちゃんだよ」
クルーゼ「なら良いか」
ラウル「何が良いんだよ!?」
ツッコミが続き、肩で息をするラウル。
クルーゼも「ちょっと悪ノリしたかな」と思いながら仕切り直す。
クルーゼ「一応自己紹介するが、俺の名前はクルーゼ。
見ての通り盗賊だ。人の道は外してないつもりだけどな」
ラウル 「捕まりながらキリッとされてもねぇ」
クルーゼ「うっせ。助けてくれたことには礼を言うが、早く縄をほどいてくれ!
ゲオルグの野郎を一発殴らないと気が済まねぇ」
ラウル 「ゲオルグってあのでっかい斧持ってるやつ?」
クルーゼ「そうだよ、早く縄ほどいてくれ!!」
クルーゼはラウルの言っていることを聞いてはいるが、あくまで自分の感情を優先しているように見える。その様子がラウルには子供がかんしゃくを起こしているように見えた。
カエデの様子を横目に見ると、眉をひそめて不満げな顔をしているものの、対応についてはラウルに任せると目線で合図をしてくれた。
ラウル 「・・・下衆は嫌いなんだろうけど、牢にいる人たちはどうすんの?」
クルーゼ「うっせ!まずは一発ゲオルグの野郎を殴ってからだ!
その後考え・・・ぐぇっ!」
尚も冷静さを欠くクルーゼの様子に、ラウルは黙ってクルーゼの胸ぐらをつかむ。
次の瞬間、鈍い音が部屋中に響く。
ラウルはクルーゼの額目掛け、強烈な頭突きをかますのだった。
クルーゼは苦悶の表情で「グォォ」と苦しみの声を上げる。
ラウルはそんなクルーゼを見ながら、吐き捨てるように言葉を続ける。
ラウル「ちょっとは落ち着いた?
ゲオルグってやつを何とかしないとってのは十分わかったけどさ。
独りで暴れるだけがあんたのできることではないだろ?
下衆が許せないんだったらまずはやるべきことがあるよね?」
クルーゼはラウルの言葉に黙って耳を傾けている。
ラウルは少し落ち着いた様子で、尚も言葉を紡ぐ。
ラウル「大事にしているものがあるなら、怒って見失ったらダメだと思うよ。
その上で、あいつらに仕返しするなら、10倍返しのつもりでやろうよ。
あいつらの裏をかいて、逃げ道断ってからタコ殴りまでやりきろうよ?」
クルーゼはラウルの言葉に動揺を見せながら言葉を返す。
クルーゼ「あ゛ー・・・鼻痛ぇ・・・
なんでお前がそこまで気にかけてくれんだよ?」
一瞬だけ頭の奥が痛む。
ラウルの脳裏に記憶にないシーンが数瞬フラッシュバックする。
見覚えのない誰かの声と、なんだか見覚えのある男性が自分を抱えている様子だ。
ラウル「大事にしているものを一方的に馬鹿にされたり、奪われたりってのがね。
どーにも納得できない性分ってだけだよ?
そんでどーする?
まだごちゃごちゃ言うなら、俺らだけで一般人助けて帰るけど?」
クルーゼは目を閉じ、数瞬考える。
そして決意を感じられる眼でラウルに語り掛ける。
クルーゼ「まずは仲間と一般人を解放して逃げる。
その後は態勢立て直してから考えるわ。」
ラウル 「オッケー」
男二人の話がついたところで、カエデはクルーゼの縄を短剣で解いていく。
縄から解放されたクルーゼは手足の調子を確かめた後に、ラウルに声をかける。
クルーゼ「んじゃま、短い間だがよろしく頼むぜラウル」
ラウル「えー・・・俺盗賊になるのはちょっと・・・」
クルーゼ「うるせー、ノリ悪ぃなぁ、お前!」
言葉とは裏腹に楽しげなクルーゼ。
その様子を見てラウルもやや安心した表情になる。
そんな様子も束の間、クルーゼはラウルを捕まえて内緒話を始める。
クルーゼ「(コソコソ)んで、本当に血の繋がりは無いんだよな?」
ラウル 「(コソコソ)ないよ、しつこいなー。」
クルーゼ「(コソコソ)お、お付き合いしてたりなんかは?」
ラウル 「(コソコソ)してないよ。過保護なだけだって・・・」
クルーゼ「そーかそーか!なら良かった!」
ここまで聞いたクルーゼはラウルの背中をバシバシ叩きながら声をかける。
カエデ 「なんなん君ら?お姉さん蚊帳の外で内緒話??」
クルーゼ「いや気にしないでください、カエデさん!
ほら、こっからのエスコートはまっかせてくださいね!」
カエデ 「うん?わかった、ほな頼むわー」
クルーゼ「はい喜んでー!」
ラウル 「(わぁ、クルーゼったらわっかりやすーい)」
まずは脱出で良いよな?
宴会の油断に乗じて、牢を解放して逃げるよ?」
クルーゼ「わかってんよ、それで行こーぜ」
3人は即席チームとして、洞窟からの脱出を図る――。
次回「脱出:一の幕」
~~~~~~ アジト内:牢の中 ~~~~~~~
鬼族の少女「武器も取られたし、どうしましょうか・・・」
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
もし知りたい設定などありましたら、幕間などで説明できたらと思います。




