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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
拠点(ホーム)

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「ちょっと聞きたいことが」

第5話 「ちょっと聞きたいことが」



ラウルは違和感の正体を探っていた。

この島へ来てまだ二日。

盗賊が自分たちを知っている理由など、本来あるはずがない。


ラウル「(なんだろうな・・・妙に引っかかる)」

カエデ「ネチネチ待ち伏せする男なんて願い下げや!

    とっとと帰ってママに甘やかしてもらい?お兄さん方?」


カエデは憤りを隠せない様子で男たちに言葉を返していく。

カエデは優秀な冒険者かつ戦士であるが、同時に搦め手を良しとはしない性格の持ち主であった。

どうしても卑怯な真似を嫌うあまり、冷静さを欠いてしまう。


盗賊「何プリプリしてんのお嬢さん?

   俺たちが楽しませてやるからこっちに来いよ!


男たちの下卑た笑い声をあげる様子にカエデの我慢は簡単に限界を迎える。


カエデ「えぇで・・・!存分に楽しませてもらおうやないか!!」


カエデは大剣を構え、まっすぐに男たちに向かって駆け進んでいく。


盗賊「(かかった!あとは痺れ矢を打ち込んで終わりだ!)」


男はスッと右手を挙げ、さらに隠れている仲間に痺れ矢の合図を送る。


********************************


盗賊たちは勝利を確信した――が、何も起こる様子が無い。


盗賊「なんで矢が飛んでこねぇ!?」


盗賊たちは思わず、仲間がいる方向に目を向ける。

そこにはラウルが立っていた。

彼の足元には痺れ矢を構えていた盗賊が目を回している。


ラウル「いやぁ。まさか直撃するとは思わなかったなぁ」


石ころを片手で弄びながらラウルは肩を竦める。

その瞬間。裂帛の気合と共にカエデが踏み込んだ。


カエデ「誰が遊んでくれるってぇぇぇ!?」


大剣が唸る。

盗賊の一人が吹き飛び、続く柄打ちで二人目が沈む。

最後の一人は逃げ出そうとして――直後。

背後からのカエデの跳び蹴りにより、顔面から地面を滑走した。

時間にして10秒にも満たない時間の後、立っていたのはラウルとカエデだけだった。


********************************


「バシャァァァン!」

冷たい水をぶっかけられ、盗賊の男は意識を取り戻した。

目を開けると、仲間たちは全員縛り上げられ、道端に転がされている。

そして正面には、ラウルとカエデ。

二人とも実にイイ笑顔を盗賊に向けている。


ラウル「よう、お兄さん。お目覚め?」


ラウルが手を振る。

盗賊は反射的に身を引こうとしたが、縄で縛られていて動けない。


ラウル「さてさて。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


ラウルはしゃがみ込み、男と目線を合わせる。

その笑顔は穏やかなままだ。

だが男は理解した。

目の前の青年は笑っているだけで、決して油断できる相手ではない。


盗賊「な、なんだ……?」

ラウル「簡単簡単」


ラウルは肩を竦める。


ラウル「ひとつ確認なんだけどさ」


ラウルは笑顔のまま首を傾げる。


ラウル「俺たち、この島に来たばっかりなんだよね」


盗賊は黙ったままラウルを睨む。


ラウル「なのにさっきおじさん、『事前の情報通り』って言ったよね?」


ラウルは楽しそうに話を続けるが――


ラウル「誰(・)か(・)ら(・)聞(・)い(・)た(・)の(・)?(・)」


一瞬で先ほどまでの軽い調子が消えた。

その様子に盗賊の表情は固まり、肩が僅かに震えた。


盗賊「……」

ラウル「へぇ」


ラウルの笑みが深くなる。


ラウル「やっぱり何かあるんだ」

盗賊「なっ……!」


男は慌てて首を振る。

だがもう遅い。


カエデが呆れたようにため息を吐いた。


カエデ「ラウル、それハッタリやったん?」

ラウル「うん」


ラウルはあっさり頷いた。


ラウル「街道で会った騎士団の連中さ」

カエデ「うん?」

ラウル「妙にカエデ姉ばっか見てたんだよね」

カエデ「そりゃ美人やからな♪」


カエデの軽口にラウルは苦笑を返す。


ラウル「女性の魅力を品定めする目じゃなくてさ。

    商(・)品(・)と(・)し(・)て(・)値(・)踏(・)み(・)し(・)て(・)た(・)、そんな感じ」


カエデの表情から笑みが消える。

ラウルは小さく肩を竦めた。


ラウル「だから気になってたんだよ」

カエデ「それだけで?」

ラウル「それだけ」


ラウルはニッと笑う。


ラウル「でも今ので答え合わせできた」


盗賊の顔色がみるみる青ざめていく。

完全に墓穴を掘ったのだ。


ラウル「さて、もう一回聞くよ」


先ほどまでの軽さが少しだけ薄れる。


ラウル「騎士団とは誰が繋がってる?」


男は唾を飲み込んだ。

隣ではカエデが大剣を肩に担ぎ、笑顔で物騒な提案をする。


カエデ「ラウルー、面倒やし中途半端はダメやでー?全部吐かせてまおー?」

盗賊「(あ・・・もうダメかもしれねぇ・・・)」


それから数分後――


盗賊たちは知っていることを余すことなく吐き出していた。

盗賊団のアジト。

アジト内外の人員配置。

現在の頭領に代わってから、騎士団とのつながりが出来たこと。

そして前頭領の息子が逃げ出したのを追っていること。


ラウル「話だけ聞くと、頭領のゲオルグってのが諸悪の根源?」

カエデ「話が全部本当だとしても悪い奴は他にもおるって事やろ?」

ラウル「にしても結構色々情報持ってたねぇ、あいつ」

カエデ「弱かったからって油断したらあかんよ、ラウル。

    どれだけ実力差があっても人数差はそれだけで大きなアドバンテージや。

    背後取られて刃を突き立てられたら、どんな人間だって必ず死ぬ。

    それを忘れたらあかんで?」

ラウル「油断しないようにするよ、師匠ー。」

    (さっき感情に任せて突っ走ったひとのいうことかね・・・)

カエデ「なんや?」ギロッ

ラウル「んーん、なんでもないよ?」


********************************


盗賊の一団から情報を取れるだけ取った二人は、盗賊のアジトを目指して森の中を進んでいた。

先ほどの盗賊たちはぐるぐる巻きにしたまま街道脇へ放置してある。

後で巡回中の騎士か冒険者が見つけるだろう。


半刻ほど歩いただろうか、街道からそれほど離れていない、しかし岩や木々が邪魔をして認識されづらい岩肌にぽっかりと空いた洞穴を見つけることが出来た。

ラウルとカエデは木々に身を隠しながら入口周辺を注意深く探る。


ラウル「遠目だけど、見張りは2人かな・・・?」

カエデ「こっちから見えん所に伝令役がいると思った方がええわ・・・

    入口周辺が開けてるから、気付かれずにってのは難しいな」


潜入方法に頭を悩ませていると、奥の道から盗賊団がアジトへ向かってくる。

二人は身を隠しつつ耳を澄ませる。


盗賊A「お頭ぁ!お帰りなさい!やぁっと捕まえたんすねクルーゼの野郎!」

お頭「お前らが捕まえられんから、俺が出向く事になったんじゃねぇか!

   へっ、でもこれであの野郎の関係者は全員捕まえられたんだ。

   今日は酒盛りでもするか!」

盗賊B「了解でさぁ、お頭!」

ゲオルグ「あぁ、あとクルーゼの野郎は他のやつらとは違う場所で捕縛な?

     協力されると厄介だからな!」


ゲオルグたちは厄介な案件が片付いたからなのか、警戒もそこそこに洞窟の奥に進んでいく。


ラウル「お頭ってことは、あの男がゲオルグか・・・

    すると後ろで捕まってる男が・・・」

カエデ「状況的に見てクルーゼ、やろな」


ゲオルグと呼ばれた男は周囲の盗賊よりも体格が一回り大きく、背中に背負った斧を得物としているようだった。


ラウル「話の通りならクルーゼ以外にも捕まってる人がいるってこと?」

カエデ「何人かは捕まってるってことやな。んでもって見張りは?」

ラウル「ひとりだけになったねぇ」


その一人も鼻歌でも歌いながら、洞窟の壁側に腰かけている。


カエデ「ラウル」

ラウル「はいよ」


カエデはラウルに拳大の石を手渡す。

その後本日二回目となるラウルの投石スキルが火を噴くのであった。



次回、「邂  逅」


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