「ラウルへの処罰」
第26話 「ラウルへの処罰」
兵士A「はい、これで手続きは終わりになります。」
ラウルは兵士に案内され、牢から別の部屋へ移されていた。
そこで出所手続きに必要な書類への記入を終えると、その後は延々と反省文を書かされていた。
ガチャッ
ラウルが反省文を書き続けていると、不意に入口の扉が開く。
入ってきたのはギルドマスターのクリストフ。
彼はラウルの正面まで移動すると、その席に腰掛けた。
兵士も数人入室し、ラウルを囲むようにして部屋の隅に待機している。
クリストフ「やあラウルくん。十分反省しただろうか?」
ラウル 「ええ・・・本当にすいませんでしたぁ。
流石にやり過ぎたかなって思いました・・・」
クリストフ「ほほぅ、反省できているのは良いことだねぇ。
じゃあゼニスキーを殴ったこともしっかり反省してるんだね?」
ラウル 「あー・・・それはー・・・反省は一応・・・してます。
全く後悔はしてないですけど・・・(ボソッ)」
クリストフ「なんだって?(ギロリ)」
ラウル 「スイマセン!余計なこと言いました!!!」ブルブル
その様子に周囲にいた兵士たちも笑いを堪えられず、吹き出してしまう者もいた。
クリストフ「全く・・・ちゃんと反省したまえよ。
キミのおかげで大変だったのだから。」
クリストフはラウルに立つように促すと、部屋の外へと誘導していった。
クリストフ「現職の領主の腹を殴りつけるなんて前代未聞だよ?
流石のわたしでも肝が冷えた。」
ラウル 「うぅ・・・そんなに虐めなくていいじゃないですかぁ。
反省してますよぉ。」
クリストフ「カエデくんも物凄く落ち込んでしまってね。
アイシャが泊まり込みで励ましに行ったり、大変だったなぁ。」
ラウル 「ぐっ・・・胃が!?ほ、他にはもう無いですよね?流石に。」
クリストフ「スコットくんもネーレさんも責任を感じていてねぇ・・・。
二人ともすごく消耗してしまったなぁ・・・
ネーレさんなんか目の下に大きな隈を作って。
誰かさんのせいでろくに眠れなかったんだろうねぇ。」
ラウル 「おわぁぁぁぁ、心臓が!心臓が痛い!!
キュッってなる!!キュッってなるよぉ!!」
クリストフ「まぁ・・・それもこれもキミ自身の責任だもんなぁ?
しょうがないよなぁ?諦めたまえ。」
ラウルはとぼとぼとクリストフの後ろをついていくと、不意にクリストフの足が止まる。ラウルが正面をのぞき込むと、そこには大きな扉があった。
クリストフ「さて、キミには最後にとっておきの罰を用意している。
この扉の先へ進むと良い。」
ラウル 「えぇ・・・これ以上まだ何かあるんですかぁ・・・。
もうメンタル限界ですってばぁ・・・」グスングスン
クリストフ「いいから行け」(ニヤニヤ)
クリストフに急かされるも、なかなか覚悟が決まらないラウル。
その様子にイライラしたのかクリストフはラウルの後ろに回ると、その背中を軽く蹴り飛ばす。
ラウル「ちょ!?クリフさん!?!? うわああ!!」
ラウルは蹴られた勢いのまま扉を開け放つ。そこには―――
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ギルド職員「お!!ラウルくん出てきたぞ!!!」
牧場主 「ラウルさん!お帰りなさい!」
冒険者おじ「ラウルくん、ナイスパンチだったぜ!スカッとしたわ!」
義賊A 「お頭!ラウルくん出てきやしたぜ!!」
クルーゼ 「おーーーーい!ラウルーーーー!!!おっせーよ!
いつまで待たせんだよ!!!」
レオナ 「ほらリューネ、ラウルくん出てきたわよ?」
リューネ 「あ、ラウル、わたし心配したんだ―――」
ゴロウズ 「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!
お゛で心配だったんだぞ!ラ゛ウ゛ル゛ゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
トーマス 「あー、ゴロウズが暴走してらぁ・・・」
チッタ 「おいわいのま~~~ち~~~♪♬♩」
アイシャ 「楽しい音色だね、これ。久々に踊っちゃおうかな~」
お姉さん 「わたしも踊っちゃおうかしら~~~」
街の爺様 「羽姫様は!羽姫様はおらんのか!!」
ウィル 「お客様~~?飲食物の屋台はこちらで~~~~す」
ラウル 「・・・・・・・は?」
ラウルの目の前にはお祭り騒ぎの広場の様子が映っていた。
唖然とするラウルの後頭部が不意に強く叩かれる。
パシーーーーン!
ラウル「あいたーーーーー!!何すん―――ふがっ」
むぎゅ
叩かれた方を振り向いたと同時に抱きしめられるラウル。
カエデ「この馬鹿ラウル!後先考えずに行動して!!
うちがどんだけ心配したかわかってんの!!??」
カエデはラウルを抱きしめながら割と本気で怒っていた。
ラウル 「く、苦しかった・・・」
カエデ 「今回は心臓に悪かったわ!何しとん、ホンマに!?
丸く収まったから良いものの!」
ラウル 「ん?え?丸く収まってんの?なんで?」
スコット「カエデ殿、そこから先は我々が。」
ラウルが声のした方向を見ると、そこにはスコットとネーレ、また数名の騎士団第九分隊の面々が並んでいた。
スコット「ラウル殿が投獄された後、ギルドマスターのクリストフ殿が
方々に根回しをしてくれましてな。
逮捕後に逃亡したゼニスキーをラウル殿が取り押さえた際に
危害を加えてしまった、という物語にすり替えていただいたようです」
ネーレ 「要は爵位が剥奪されたあとの一般人に危害を加えた、という主張を
押し通してくれたの。
ゼニスキーの評判が悪かったから出来たのかもしれないけど、
ギルドマスターとして出来る範疇は越えてる気がするんだよねぇ」
ネーレは苦笑いをしながら、クリストフの方へ目線を向ける。
ラウルも目線を移すと、クリストフはニヤリと笑いながらラウルに人差し指を立てて見せる。
その姿は「貸し1な」と言っているようだった。
いつの間にか近づいてきたアイシャが話を引き継いでいく。
アイシャ「二人はパパが頑張ったみたいに言うけど、二人も凄かったのよ?
『ラウルくんは自分たちの為に罪を被ってくれたんだー』って
街頭でみんなに声掛けして回ったの。
二人の真剣さに心打たれて手伝ってくれた人も多かったんだから。」
ラウル 「そうだったんですね・・・みなさんスイマセン。
僕が好き勝手やったせいで・・・。」
ネーレ 「ラウルくん、それは違うよ?
ラウルくんの行動は私たちを救ってくれたの。
あのままだったら、壊れるかもしれなかったわたしとスコットの心を。
だから謝らないで欲しいんだ。」
ラウル 「ネーレさん・・・。」
カエデ 「ラウル、こういう時は謝るんとちゃうよな?なんて言うん?」
ラウル 「そうだね。・・・ありがとう、スコットさん、ネーレさん。
二人のおかげで無事に釈放されたよ。」
スコットとネーレは顔を見合わせると、ラウルに対して膝を付き感謝の意を表す。
その後ろにいた第九分隊の面々も、スコットに倣い膝を付いていく。
スコット「礼を言うのはこちらです!セオドリク殿を―――
分隊長を止めていただいたこと、死ぬまで忘れません!!
ありがとうございました!!!」
ラウル「ちょっ!?スコットさん!騎士団の皆さんも!?
やめて!マジで!!背中痒くなるから!
それにセオドリクさんが釈放されたら奥さんにたっぷり怒ってもらうし、
その後はみんながちゃんと怒ってあげてね!!」
セオドリクとは牢屋の中で散々その辺りの話をして、みんなに怒られる心の準備は出来てるはずと笑うラウル。
その言葉に第九分隊の面々の表情にも、やっと穏やかな雰囲気が戻る。
ラウル 「しかし、領主捕まえちゃって、この街は大丈夫なのかな?」
クリストフ「それには心配は及ばないよ、ラウルくん。
次の領主には王国側から新しい貴族を派遣することが決まっている。
ちゃんと善政を敷いている貴族のようだよ?
まだ混乱は続くだろうが。持ち直していくんじゃないかな。」
ラウル 「良かった・・・。俺のせいでネーレさんの職まで奪ってたら
スコットさんに殴られるだけじゃ済まなかったかも・・・。」
ネーレ 「それなんだけど・・・ラウルくん。
ラウルくんの拠点って管理する人いないんだよね?
それなら管理人としてわたしのこと雇って欲しいな、なんて」
ラウル 「え、流石に悪いですよ?メイドのお仕事だってありますよね?」
ネーレ 「メイドのお仕事もね?毎日忙しいわけじゃないし。今までだってね?
そんなに忙しいわけではなかったの。
それにメイドのお仕事は日中がメインだし拠点の管理のお仕事は
朝と晩にしっかりできるから大丈夫だよ?
あ、スコットの許可もちゃんと取ってあるから大丈夫。
他に心配なことある?
お姉さん頑張っちゃうし、最初はお試し期間ってことで
お安い賃金でも良いからどうかな?どうかなぁ!?(2倍速)」
ラウル 「そ、そんなに言うならじゃあまずは1か月からお願いします?」
ネーレ 「やった!お姉さん頑張るね!
えへへ、ラウルくんがご主人様だぁ・・・」ポッ
ネーレの様子に思わずラウルの顔も真っ赤になる。
そしてその様子は周囲の人間にもしっかり見られているのだった。
アー!!ラウルクンガマタアタラシイオンナノコヒッカケテル!!
マタカ、ラウル!! オマエ、バクハツシロヨ!!
ガッハッハ! ワカノハルハイマダニキマセンナァ
ハネヒメサマハドコジャー!?
アッチノヤタイデニクグシウッテルヨ、オジイチャン
チッタサン! シー! シー!デスッ!
スコット「ラウル殿・・・。」
その時、背後からスコットが堅い声で話しかける。
ラウルは思わず身震いをしてしまう。
流石にネーレを雇うなんて、ぶん殴られ案件だろうか。
ラウルが怯えていると、スコットからとんでもない言葉が出てきた。
スコット「ラウル殿・・・いや、義兄上!
姉を末永くよろしくお願いします!」フカブカドゲザー
ラウル 「ちょおおおおおおおおい!!お前の頭ン中どうなってる!?」
スコット「姉上が見初めた方であれば、年齢関係なく我が義兄上です!
私の事もスコットと呼び捨てで構いません!」
ラウル 「ねぇ!定期的にカオスにならないとダメって法律ないよね!?
バルストではあるの!?誰かーーーー!助けてーーーー!!」
ラウル、ネエチャンナンモキイテヘンデ・・・ドウイウコト?
カエデ!?ハイライトドコヤッタノ!?
ラウル、ヤッパリゴハンツクッテクレルコガイイノ?
ネーレチャンモ!?
カオスナビートデダンスダンスダーンス♫
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クリストフ「ははははは、楽しんでるねラウルくん」
ラウル 「ちょっとクリフさん!?楽しんで見えます!?これが!?」
クリストフ「性別に関わらず人気があるキミを見ていると、ある人を思い出すよ。
それはさておき、キミが屋敷で見つけた棺について、
続報があるんだけど聞くかい?」
ラウルは屋敷にあった、カナンそっくりの女性が収められた棺を思い出す。
クリストフの表情からもふざけた話ではなさそうだ。
ラウルは気持ちを切り替え、話の続きを促す。
クリストフ「一つ大きなことがわかってね。」
ラウル 「大きなことって・・・なんですか?」
クリストフ「棺の中の女性、『生きてる』みたいなんだ。」
第2章 「過去遺物」 完
ここで2章完結!となります。
お話したいことは幕間で書かせていただきますね~
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。
引き続きよろしくお願い致します。




