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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
第2章  過去遺物(ギフト)

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「止められない想い」

第22話  「止められない想い」



ハルバードを片手にフンスという表情でセオドリクを睨むネーレ。


セオドリク「これは驚いた。

      キミは護られるだけの存在ではなかったのですね?」

ネーレ「女の子は自衛手段のひとつやふたつは持ってるものです!!」


ネーレは叫ぶと同時にハルバードを構え直し、セオドリクに向かっていく。

ハルバードのリーチの長さも相まって、セオドリク自身も攻めあぐねている。

ラウルはポカーンという表情で目の前の様子を眺めていたが、我に返るとスコットに問いただす。


ラウル「ちょっとスコットさん!?ネーレさん強いんだけど!!?!?」

スコット「姉上は強いですよ?同じ師に学んでおりましたし。」

ラウル「じゃあなんでスコットさんはそんなに過保護なの!?」

スコット「姉を護るのは弟の義務ではありませんか?

     とはいえ単純に槍術の技量としては・・・」

ラウル「技量としては?」

スコット「私よりも姉上の方が強いですね!」


スコットも再び盾と短槍を構えるとセオドリクに突進していく。

二人はセオドリクに対して姉弟ならではのコンビネーションを発揮していく。


ネーレの檄によって落ち着きを取り戻したスコットは、盾と短槍を器用に扱いながらセオドリクの斧を弾き、受け流す。

ネーレはスコットが生み出した隙を見逃さず、ハルバードの重い一撃をセオドリクに見舞っていく。

まるでひとつの生き物のような連携は、セオドリクにしても美しいと思えた。


セオドリク「ハハハハハ!!まさかこれほどの逸材だったとは!!

      ネーレくんの実力を見抜けなかったのは失敗でしたね。」

ネーレ「セオドリク様知ってます?女の子には秘密がいっぱいなんですよ?」


形勢を五分に戻せたであろう様子を見て、ラウルも戦い方を変える決断をする。


ラウル「あの姉弟だったら、こっちが好きにやっても大丈夫かな!」


ラウルは草むらに片手剣を投げ置くと、身一つでセオドリクに突っ込んでいく。


***********************************


セオドリク「いい加減に・・・しろ!!」


セオドリクは裂帛の気合とともに双斧を振り回す。

スコットは盾でネーレごとガードをしながら、セオドリクから距離を取る。

その陰からラウルが凄まじい速さでセオドリクとの距離を詰めていく。


不意をつかれたセオドリクの対応が一瞬だけ遅れる――

ラウルは勢いのまま強烈な回し蹴りを放ち、セオドリクの左腕を強く打ち付ける。

咄嗟の判断で逆方向に跳び、蹴りの勢いを逃がすが、強い痛みにセオドリクの表情が歪んだ。


ラウル「さてここから巻き返しをさせて下さいね、セオドリクさん。」

セオドリク「ふふふ、良いでしょう・・・まとめてかかってきてください!!」


セオドリクは表情に焦りの色は見えなかった。

むしろ長年育てた教え子の成長を喜ぶような、穏やかな笑みすら浮かべていた。


セオドリク 「ネーレくん。まさかここまで戦えたとは。

       知っていれば騎士団にスカウトしていたんですが。」

ネーレ 「あなたがっ!こんなことをしなければ!!」


再び繰り出されたハルバードを、セオドリクは斧で受け流す。

ネーレの技量は決して低くない。

しかし戦場を潜り抜けてきた歴戦の騎士との差は如何ともしがたい。

数合打ち合っただけで体勢を崩される。


ラウル 「ネーレさん!」


追撃の斧が迫る。

だがその直前。鋼鉄の盾が強引に割って入った。


ガギィィィン!!


スコット 「姉上に触れるなァァァァ!!」


盾衝《シールドバッシュ》

凄まじい勢いで叩き込まれた一撃によって、セオドリクは初めて大きく後退した。


セオドリク 「……やっと本気ですか。」

スコット 「わかりません……今でも信じたくありません……!」


スコットの声は震えていた。

尊敬した上官であり恩人。

今までのセオドリクの思い出が邪魔をして、どうしても彼のことを敵と割り切ることが出来ない。


スコット 「それでも!!」


短槍を握る手に力が籠る。


スコット 「姉上を泣かせようとするなら……ここは譲れません!!」


その瞬間、ラウルはセオドリクに向けて駆け出す。

今までセオドリクは冷静に立ち振る舞い、戦いの優位を保ってきた。

だがスコットの言葉を聞いた瞬間。

その視線が僅かに揺れた。


ラウル 「スコットさん!!右!!」


スコットもラウルの言葉と同時に駆け出す。

ラウルの蹴撃。

スコットの刺突。

どちらか一方なら今のセオドリクでも捌けただろう。

しかし噛み合った二人の攻撃はそれを許してはくれなかった。


セオドリク 「くっ……!」


斧でラウルの蹴りを受ける。

だがその隙にスコットの槍が反対側の肩を貫いた。


ドッ――!!


鮮血が飛ぶ。

セオドリクは一歩、二歩と後退する。


ネーレ「ヤアアアアアアアアア!!」


隙を見逃さなかったネーレのハルバードによる一撃は、セオドリクの身体を切り裂いたのだった。


***********************************


セオドリク 「はは……成長したじゃないですか。」


セオドリクは身体から少なくない血を流しながら、仰向けに倒れている。

ネーレは泣いているのだろうか、顔を伏せていて良くわからない。

スコットは盾を構えたまま動こうとしなかった。


ラウル「もう終わりです、セオドリクさん。

    ちゃんと話してくれませんか?こんなことになった理由を。」


ラウルは二人に代わってセオドリクに問いかける。

僅かな期間での関係ではあったが、ラウルもセオドリクが悪事に手を染めるような人間に思えなかったのだ。


セオドリク「なあに、どこにでもあるようなつまらない話ですよ?

      エレノアの事は知っているでしょう?

      彼女は十数年前から病に臥せっているのです。

      どんなに珍しい薬を使っても、高い評判の医師の治療を受けても。

      良くならないどころか、病は少しずつ彼女の身体を蝕んでいきました。」


セオドリクの独白をラウルは黙って聞いている。


セオドリク「そんな時ですよ、ゼニスキーの代理人から声がかかったのは。

      過去遺物の中には妻の治療に使えるものがあるらしいと。

      力を貸すのであれば優先的に遺物を斡旋してくれると言われました。」


その言葉にスコットとネーレは、セオドリクに向き直る。


セオドリク「それからいろいろな悪事に手を染めました。

      善良な人も殺めました。

      もうこの手は妻を抱きしめるには血に塗れ過ぎています。

      ラウルくん、私は非道な人間なんです。

      妻が、エレノアが無事なら・・・。

      また昔みたいに元気な笑顔を見せてくれたら・・・。

      他に何もいらない・・・。

      誰かが不幸になってもいい、エレノアさえ笑ってくれれば・・・」


ほら、つまらない話でしょう?と言わんばかりの表情でラウルを見つめ返す。

セオドリクの両の瞳からは涙が溢れていた。

それは妻を救えなかった心残りからくるものなのか、今までの行為に対しての悔恨か――誰も知る術を持たなかった。

しかしセオドリクの話を聞いたラウルは黙ってセオドリクの手当てを始めた。


セオドリク「な、何をしてるのです?もうこのまま死なせてもらえませんか?」

ラウル「うっさい。あなたを死なせてなんかやらない。

    どーせあんたは死んで、罪を償えるとか思ってるんでしょ?

    大間違いだよ。エレノアさんのこと考えろよ?

    ここで一人ぼっちにさせんのか?ふざけんな!

    あんたは生きて、どんな手段を使ってでも罪を償って、

    ちゃんとエレノアさんに怒られるんだよ!!」


ラウルの言葉に、ネーレもセオドリクの手当てに加わっていく。

その瞳からは大粒の涙がとめどなく零れている。

セオドリクはラウルの言葉に何も返すことが出来ず、彼もまた、ただ涙を流すことしか出来なかった。


ラウルは応急処置を終えると、遺跡発掘の時にも使った遺物のスイッチを押す。

そしてスコットとネーレに声をかけたのだった。


ラウル「今からゼニスキーぶん殴るけど一緒に来る?」


ラウルは返事を待たずに屋敷へ向かって進んでいく。

スコットとネーレは顔を見合わせると、ラウルの後を追うのだった。



次回、「倍返し、始めました」


投稿がメンテに間に合いませんでした・・・。


活動報告にも書きましたが、1章から順に読みやすさ重視で添削を開始しています。

今まで読みづらく申し訳ありませんでした。

その他、ご指摘などありましたらお知らせください。

感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。


引き続きよろしくお願い致します。

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