「作戦会議」
第17話 「作戦会議」
カエデ「潜入捜査~?」
ラウル「なんか、言葉の響きでワクワクしちゃう。」
アイシャ「ちょっと、真面目に話聞いてよね?」
クリストフの言葉に緊張感よりもワクワク感が勝つラウル。
アイシャが嗜めるが、あまり効果が無いように見える。
クリストフ「すまないが、ゼニスキー周辺では多数の人間が不幸になっている。
今回も失敗することは避けたいんだ・・・。」
クリストフの言葉に場の空気に真剣さが戻る。
ラウル「本当にすいませんでした。でも領主の館に潜入なんて出来るんですか?」
カエデ「普通は無理ですよね?何かアイディアはあったりするんですか?」
クリストフはふむ、と腕を組みながら思案する表情を浮かべた。
クリストフ「潜入するものは最小限・・・できれば一人に限定したい。
あとは騎士団の監視を逸らすための陽動役。
後詰として戦力的なバックアップも欲しい。」
リューネ「なかなか難しい状況ですね。
後詰の戦力は色々声をかけるしかないとして、陽動ですか・・・。」
アイシャ「長時間の陽動だと武力を使った作戦は限界があるかしらね?
街の人への被害とか怪我人が出るリスクは避けたいわね。」
部屋の中にいる面々が唸っていると、チッタがラウルに声をかける。
チッタ「ねーねー、ラウル。陽動って何すればいいの?」
ラウル「ん~、そうだな。
なるべく長い時間、たくさんの人の注目を集めれば良いって感じかな?」
チッタ「どんな方法でも良いの?」
ラウル「できたら誰にも迷惑にならない方法が良いかな。怪我とかするのはダメ」
チッタはラウルの言葉にほんの少しだけ考える素振りを見せる。
そして右手をピンッと上げると、良く通る声で宣言する。
チッタ「ラウル、我に策あり、だよ♪」
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クルーゼ「それで呼ばれたのが?」
ウィル「僕たちなんですか?」
数刻後、部屋の中にはクルーゼとウィル(ドノヴァンもいるよ)の姿があった。
ラウルたちはテーブルを囲うように立ったまま話を聞いている。
(ちなみにフブキはラウルに抱っこされて、気持ちよさそうに眠っている)
クリストフ「ご足労をいただいてありがとうございます。
今回ギルドとして極秘の作戦を実施します。
ですので、ここで見聞きした内容は内密にお願いします。」
クルーゼとウィルはその言葉に改めて背筋を正すのだった。
そして一通りクリストフから説明を受けた後にウィルはおずおずと手を挙げる。
ウィル「あの・・・それで僕たちが呼ばれた理由はなんなんでしょう?
クルーゼさんたちは、戦力としてカウントされていると思いますが。
物資をたくさん補給したいって状況ではなさそうですね?」
クリストフは頷くと人選の理由を説明する。
クリストフ「まず、クルーゼ殿。
お知り合いに楽器の演奏が出来る方はいらっしゃるだろうか?
複数名居ると助かるのだが・・・。
あと今ウィル殿からお話もあった通り、何かあった際の戦力として
お手伝いをいただきたい。」
クルーゼはドノヴァンと僅かな時間言葉を交わすと、クリストフに向き直る。
クルーゼ「知り合いに何人か楽器が出来るやつはいる・・・います。
確か打楽器と弦楽器が扱えたハズ・・・です。」
クリストフ「おぉ、それは素晴らしい!
してウィル殿。あなたの伝手で楽器の準備をお願い出来るだろうか。
必要と思われるものはこのリストにまとまっております。」
ウィルはリストを確認するとクリストフに向かって頷く。
ウィル「このリストであれば問題無いと思います!
準備させていただきますね・・・?
クリストフさん、なんでそんな申し訳なさそうな顔してるんですか?」
ウィルの質問にクリストフが答える前に、ウィルの肩に優しく手が置かれる。
手が置かれた瞬間、ウィルの全身が警鐘を鳴らすようにビクッと震える。
ギギギと音がしそうなぎこちなさで、肩に置かれた手の方向を確認すると―――
そこにはイイ顔をしたチッタが立っていたのだった。
イヤアアアアアァァァァァァァァァァ!!
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数刻後・・・
クリストフ「ゴホンッ・・・、改めて役割の整理を行わせてもらいます。
まずは潜入役はラウルくん、お願いします。
大役ですが、どうにかして取引の品々を押さえて下さい。」
ラウル「了解しました!」
クリストフ「次に何かあった時の戦力として、ドノヴァン殿にも待機いただく。
こちらにはギルドメンバーも戦力として加わります。
何卒宜しくお願い致します。」
ドノヴァン「何かあれば全力で対処いたしましょう。」
ドノヴァンの言葉にクリストフは深く頭を下げる。
クリストフ「さて今回の潜入作戦の鍵となるのは陽動役となる。
今回はチッタ殿の発案で吟遊楽団への変装を採用した。
陽動として領主の館前での演奏をし、注目を集めてもらう。
しかし演奏だけでは陽動として心許ない。
そこで―――入って来てくれ」
クリストフが言葉を合図に応接間のドアが開く。
先頭で部屋に入ってきたのはチッタ。
しかしいつもの服装とは違い、胸元や袖口に細かなフリルをあしらい、
宝石や色鮮やかな鳥の羽飾りを散りばめた舞姫衣装に身を包んでいる。
その後ろに続くのはカエデ・リューネ・アイシャだ。
チッタと同じ舞姫の衣装だが、より美しさに磨きがかかっている。
クリストフでさえ「ほぉ・・・。」と感嘆の声を上げている。
そしてその後に入ってきた人物が・・・
ウィル「本当に衣装を着なきゃダメですかぁ?スース―して落ち着かないですぅ」
同じ衣装を身にまとい、恥ずかしそうな表情で部屋に入ってくるウィル。
涙目で照れた表情のウィルに部屋の中にいる全員の心が一つになる。
「「「「「「かわいい・・・」」」」」」
チッタ「ウィルが可愛いのは当たり前。でも本番までに舞も覚えてもらう。
全員だからね?ビジバシいくよ?」
カエデ「えぇ!?そこまでやんの?」
チッタ「当たり前・・・。みんなの目線を釘付けにしなきゃいけないんでしょ?
私もお手伝いするからがんばろ?」
アイシャ「ふふっ、こんな服初めて着たわ♪
ねね、ラウルくん。お姉さんの格好どうかしら?」
ラウル「とても綺麗ですよ。舞姫のイメージ通りですね(服装が)」
アイシャ「え♡ストレートに褒めてくれて嬉しい・・・そんなに綺麗?(私が)」
ラウル「本当に綺麗ですよ(服装が)」
アイシャ「っ~~~~~~♡」
カエデ「ちょっとラウル!?なにアイシャを口説いてるん!?
姉ちゃんのこともちゃんと口説き!」
リューネ「見てラウル、ここの意匠がとっても綺麗。ほらよく見て?」
ラウル「カエデ姉!?急に何言ってんの!?口説いてないし!
ってリューネ?意匠は綺麗だけど、胸元そんなに強調しないで!」
ウィル「うわ~~~ん!!ラウルさん、僕を無視しないでください!
何で僕が巻き込まれてるんですか!!」
3人を押し退けてウィルがラウルのちょうど目の前に進み出る。
上気した頬・・・涙が溜まった美しい瞳・・・
その様子にラウルは息をのみ、動揺してしまう。
ラウル「ご、ごめん!ウィル・・・?ちょっとドキドキしちゃって・・・。」
ウィル「なんでドキドキするんですか!?僕は!男!なんです!!
ラウルさんだって知ってるじゃないですかーーー!!」
ポコポコとラウルを叩くウィル。
それをなだめるラウル。
何も知らない人が見たらカップルのような光景に、
女性陣を中心にどす黒い感情を募らせる。
カエデ「本当の敵はウィルやったか・・・」
リューネ「ちゃんと舞も覚えてラウルに見てもらう」フンス!
アイシャ「やっぱり男の人はちっちゃくて可愛いのが好きなのかしら」
クルーゼ「爆ぜろ・・・。」
カエデ「なんや、おったのかクルーゼ」
クルーゼ「なんや、じゃないっすよ!カエデの姉さん!!
それにチッタちゃん!?俺はなんでこんな格好なの!?」
クルーゼは旅芸人のような衣装とサングラス、口元には付け髭を装着している。
チッタ「あなたは私たちのマネージャー役。
領主がのこのこ出てきたら、私たちの魅力を存分に伝えて欲しい。」
クルーゼ「そ、そりゃ重要な役回りかもしれないけどさ・・・。」
チッタ「それに私たちの舞も目の前でちゃんと見れる・・・よ?」
クルーゼ「精一杯頑張らせていただきます!」キリッ
皆の様子を見たクリストフはこめかみを押さえつつため息を吐いている。
クリストフ「失敗できない作戦の筈なんだがな・・・。」
ドノヴァン「わっはっは!まぁ皆を信じてみましょう!」
次回、「いっつたいむとぅだ~~~んす♪」
本日2話投稿させていただきます。
やっと金曜日ですね。
みなさんお疲れ様です。
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。
引き続きよろしくお願い致します。




