「潜入捜査」
第16話 「潜入捜査」
バルストへ向かう荷馬車の中、ラウルはブラッカとの会話を思い出していた。
~~~~~~~ 回想:獣人の街ローデリア ブラッカの館 ~~~~~~~
ラウル「ブラッカさん、チッタの旅立ちって勝手に決めちゃってよかったんです?
ご両親とかに了解取った方が――」
ブラッカ「チッタの両親はこの街にはおりません。
チッタの両親と祖母は十数年前、とある理由でこの街を旅立ちました。
しかし街に戻ってきたのは祖母のみ・・・。
その手に抱かれていたのがチッタでした。
祖母はチッタの両親については語ってはくれませんでした・・・。
今から二年前、残念ながらその祖母も病で倒れてしまったんです。
そこからチッタはひとりで生きてきました。
もちろん街のみんなはチッタの事を気にかけてきましたけどね。」
ラウル「そんなことがあったんですね―――」
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???「ラウルさん!」
??ル「ラウルさんってば!!」
?ィル「ちょっと助けて下さい!!!」
ウィル「ラウルさ~~~~~ん!!!!」
大きな声で我に返ったラウルは、声の主の方に振り向いた。
そこにはフリフリの服を着た可憐な美少女?が涙目で立っているのだった。
ラウル「ど、どうしたんですかお嬢さん!?」
ラウルが慌てた様子で言うと、声の主は声に怒りをにじませながら言葉を返す。
ウィル「僕です!ウィルです!!男ですぅ!!!
チッタさんに無理矢理着替えさせられて困ってるんです!
匿ってくださぁい(´;ω;`)」
ラウル「本当にウィル??」
ウィル「(ギロッ)」
ラウル「ごめんごめんて、ふざけ過ぎたってば。そこの荷物の陰に隠れな?」
ウィルが急いで隠れると、荷台の入り口からチッタが現れた。
チッタ「ラウル?ウィルはどこ?隠すと為にならないよ・・・?」
ラウル「ウィルさんなら泣きながらもっと前の方に駆け抜けてったよ・・・。
あんまりいじめちゃダメだってば。」
チッタ「ウィルはバルストで一番・・・いやこの島で一番のアイドルになれる。
ちゃんと街につくまでに仕上げないと。」フンス
ラウル「本人の意志も大事だってば苦笑」
ラウルとの問答を終えたチッタは隊商の前方へ向かって駆けて行った。
ラウル「アイドルだってよ、ウィル・・・。こうなったら目指してみる?」
ウィル「なんで意地悪言うんですかぁ?僕の夢は大商人なんですよぉ?」グスン
ラウル「歌って踊れる大商人ってのも、それはそれで儲かりそうだけど。」
ウィル「商会の広告としてはアリかな・・・?いやいや、僕は男ですよ?
でもでも、もしニーズがあるなら商機拡大も・・・?」ブツブツ
今後の商会の未来と、男としてのプライドを天秤にかけながら悩み始めるウィル。
ラウル「(こうしてみると本当に美少女なんだよなぁ・・・)」
悩むウィルは、彼の背後に瞳を輝かせたチッタが近づいてきていることに気が付いていない。
直後、チッタがウィルを捕まえてわちゃわちゃし始める。
ラウル「まぁ、みんな楽しそうで何より」
二人が暴れている様子を見ながら、ほっこりと微笑むラウルなのであった。
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~~~~~~~ バルストの街:冒険者ギルド2階 ~~~~~~~
ラウル・フブキ・リューネ・チッタは調査報告の為に冒険者ギルドを訪れていた。
報告はギルドマスターにということで、2階の応接室に通されたのだが―――
ラウル「なんで制服着てお茶入れてくれてるの?カエデ姉・・・」
カエデ「ラウルうるさい・・・!
アイシャに料理教わる交換条件にギルドのお手伝いしてんのや・・・!」
カエデは真っ赤な顔でプルプルと震えながら3人にお茶を入れてくれる。
その隣にはにやにやと笑っているアイシャの姿もあった。
アイシャ「くくくくっ。ラウルくん、良いタイミングで帰ってきてくれたわね~。
カエデのこんな照れた顔、初めて見たよ。」
ラウル「そんなに制服姿変ですかね?新鮮だし可愛いと思うんですけど。」
ラウルが『可愛い』という言葉を言った瞬間―――
カエデ「か、可愛いってラウル♡ そんなこというても何も出ぇへんで?」
リューネ「アイシャさん、私にも制服。早く。」
アイシャ「ちょっとラウルくん!?私いつも制服なんですけど!?
今度私服見る?見たいよね!?」
クリストフ「やかましい」 パシーン パシーン ゴツーン!! ヴア˝ー!!
ちょうど部屋の中に入ってきたクリストフは、3人の頭をはたきつつ席に着いた。
ラウルの眼はアイシャの時だけクリストフの手の形はグーだったのを捉えていた。
頭を押さえながらうずくまっている3人を見て、フブキは呆れた表情をしている。
クリストフは咳ばらいを一つすると、ラウルの正面に腰掛ける。
クリストフ「待たせてすまない、ラウルくん。報告を聞かせてもらえるかな?」
ラウル「それは良いんですけど、アイシャさん大丈夫です?」
クリストフ「(一瞬アイシャの方に目線)さて、報告を聞かせてもらえるかな?」
ラウル「う、うす。」
ラウルはクリストフの圧に負け、ローデリアでの事件を報告する。
話を聞いたクリストフは悩ましいような、どこか納得するような表情を浮かべた。
クリストフ「ありがとう。実はさっきローデリアの街からも早馬が着いてね。
報告にあったトラブルについてギルド側のじんも・・・ゲフンゲフン
調査結果を確認していて遅れたというのもあるんだ。」
ラウル「(尋問って言ったな)」
カエデ「(尋問って言ったわ)」
リューネ「(尋問・・・するんだ・・・)」
チッタ「じんじんじ~~~ん」
アイシャ「(尋問可の指示なんていつ出してたのかしら??)」
フブキ「Zzzz」
ラウルたちは五者五様(と一頭)の反応を返す。
皆の反応にちょっと恥ずかしそうな表情のまま、クリストフは話を続けた。
クリストフ「ラウルくんからの報告内容とは齟齬が無かったよ。
ただ、商人が獣人の楽器を卸していた先がわかったようだ。」
その言葉に部屋の中は、ピリッとした真剣な空気に変わる。
クリストフ「よりにもよって、と言えばいいのかな。
楽器はコズールイという商人に流れているようだ。
そしてコズールイの主な取引先は・・・領主のゼニスキー男爵だ。」
クリストフは言葉を区切ると悩ましいような表情でため息をつく。
クリストフ「男爵の名前が犯罪捜査の中で上がるのは今回が初めてではない。
しかしその度に男爵に繋がる証拠がプッツリと途切れてしまうんだ。
奴の周りにいる取り巻きが動いていると思うんだが」
ラウル「取り巻きって誰かはわかってるんですか?」
クリストフ「まずは先ほど話に出た商人のコズールイ。
それに騎士団長のコーブーシも有力だ。
最近屋敷に出入りしている踊り子のインペーも怪しい。
インペーは噂だと盗賊ギルドに所属もしているらしいが。
しかしながらどの人物に対しても有力な証拠が無くてね。
ギルドとしても悩ましい状況の時に、今回の報告を受けたのさ。」
カエデ「察するに今回の事件からなんとか証拠を掴みたいってことかいな?」
クリストフ「その通り。だからこの話は他言無用にして欲しい。
疑っているわけではないが情報は最小限に留めたい」
ラウル「となると、調べるのはコズールイの屋敷ではないってことですか?」
クリストフ「その通りだよ、ラウルくん。
そこで見つかっても、ゼニスキーはお得意の尻尾切をするだろう。
だからこそ―――」
クリストフは覚悟を示すかのように一度言葉を区切る。
クリストフ「この機会にゼニスキー男爵の屋敷に潜入捜査を行う」
次回、「作戦会議」
体調不良で更新が滞ってしまい、申し訳ございませんでした・・・。
気温差がヤバい。
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引き続きよろしくお願い致します。




