「獣人の街 ローデリア」
第10話 「獣人の街 ローデリア」
ウィル「ラウルさん、見えてきましたよ~」
ラウル「へー、あれがローデリアか~」
フブキ「わうん!」
ラウルの視線の先には、空へ届きそうなほど巨大な樹々が立ち並んでいた。
近付くにつれ、それがただの樹ではないことに気付く。
幹には窓が穿たれ、 枝には吊り橋が渡され、 葉の隙間からは獣人たちの住居らしき建物が顔を覗かせていた。
ラウルとウィルは御者台に仲良く座りながら、ローデリアの街について言葉を交わす。
ラウル「街の人は木の上にも住んでるの?」
ウィル「上だけじゃなくて中にも住んでるんですよ♪僕も初めて街に行ったときにはビックリしました」
ウィルの隊商が街に近づいていくと遠くから音楽が聴こえてくる様な気がした。
フブキがラウルの膝の上で耳をぴくぴくと震わせる。
その様子に気付いたリューネが首を傾げた。
リューネ「何か聴こえる?」
ウィル「あれは獣人族の人たちの演奏ですかね。
演奏だけじゃなく、歌も踊りも、絵画だって得意な人がいるんです。」
リューネ「あれ? ウィルさん、なんだか苦い顔してない?」
荷馬車部分から身を乗り出したリューネがウィルに声をかける。
ウィル「はは。獣人族のみなさんと仲良くなっていくと歌とか踊りに誘われるようになるんですけどね。
渡される衣装が・・・全部女性用なんです・・・しかもフリフリ多めの・・・グスン」
ラウル「oh...」
フブキ「わふん・・・」
ラウルはかける言葉が見つからず、ウィルの肩に手を置くことしか出来なかった。
フブキもラウルの真似をしてウィルの膝に前足をのせる。
リューネ「ちょっと見たいかも・・・。」
ウィル「え゛」
ラウル「やめてあげて?」
リューネ「だって気になるじゃん?」
フブキ「わうー・・・」
ウィル「グスン……」
ラウルたちはリューネが新たな扉を開くのを阻止しながら、ローデリアの門をくぐっていくのだった。
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リューネ「わ、本当に色んなところから音楽が聴こえてくる」
ラウル「なんか楽しい♪ほらフブキ!一緒に歩こうぜ!」
フブキ「わふわふ♪」
ラウルはフブキとともに御者台を降り、荷馬車の横を歩き始める。
フブキは楽し気にラウルの横を歩き、その様子をリューネが穏やかな表情で眺めている。
???「とぉーーうーー」
その時、間延びした声とともに御者台に小さな影が着地した。
何事かとラウルたちの視線が注目した先には少女がフリフリの衣装を持って立っていた。
少女は大きな狐耳を揺らしながら、豊かな尻尾をゆらゆらと揺らしてウィルへ近付く。
???「ウィル・・・ここであったが何日目?十日目?や、三十日目くらいかな?ま、いいや。
今日こそ、この衣装を着てもらうよ・・・?」
ウィル「チッタさん!?勘弁してください!!僕が以前この街に来たのは二ヶ月くらい前です!
じゃなくて!!その衣装は着ませんから!!!」
チッタと呼ばれた少女「ウィルは可愛い。可愛い子には可愛い衣装。つまり着るべき。はい論破。」
ウィル「論破じゃなくてぇ!それを着たら大事な何かが喪われる気がするんですぅ!」
リューネ「じーーーーーっ(どきどき・・・私の中の何かが目覚める・・・!)」
ウィル「誰か助けてぇーーーーーーー!!」
ラウル「……俺たちは見なかったことにしよう、フブキ」
フブキ「わふぅ」
ラウルはいろいろ見なかったことにして、獣人族の依頼主の元に歩いていくのだった。
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獣人族街長「わっはっはっは。相変わらず災難ですな、ウィル殿。儂も見たかったですわい。」
ウィル「衣装は着てませんよ!?本当に着てませんからね!!
あと着たいわけでもないですからね!!!」
今回の依頼主である族長はウィルの苦悩を、豪快に笑い飛ばす。
ウィルはその様子に抗議の声を上げるものの、最後には諦めたような表情になるのだった。
獣人族街長「さて、この度は我々の依頼を受けていただきありがとうございます。
ローデリアの街にて長を務めております、ブラッカと申します。
街長とは言っても、儂は顔役みたいなものですじゃ。
ただ少し絵の上手い爺と思っていただければ。」
ラウル「ブラッカさん、はじめまして。今回ご依頼を受注させていただきましたラウルと言います。
一緒にいるのは皆さんの遺失物の鑑定をサポートしてくれるリューネと言います」
フブキ「わふぅ!」
ラウル「あ、それとこいつはフブキです。」
フブキ「わふっ」
ラウル「俺の大事な家族です。」
ブラッカ「こちらこそ、よろしくお願い致します。
・・・で、何故お前が同席しているのだ、チッタよ?」
チッタ「ウィルにフリフリ着せる・・・。ダメ?」
ブラッカ「ふぅ・・・今日はもう諦めなさい。ウィル殿が泣いてしまう。」
ウィル「泣きませんけどぉ・・・。もうフリフリはやめて下さぁい・・・。」
ウィルは目に涙をいっぱいに貯めながら、抗議の声を上げる。
その様子はとても可愛らしく、フリフリを着させられそうになる原因になっていることをウィル本人は気付いていない。
ブラッカ「すまぬ、話の腰を折ってしまった。彼女はチッタ。
ああ見えてローデリアの街で最も大きい楽団に最年少で入団を果たした優秀な演者です。
演奏の腕は確かなのですが、見ての通り奔放な性格でしてな。
あ、いや、大なり小なり我々は奔放な性格であるとは自覚しているのですが、
あの子は群を抜いて自由なので・・・。」
ブラッカは話の途中からこめかみを押さえ始めた。
どうやらチッタの自由さに苦労させられた記憶が多々あるらしい。
ブラッカ「しかし、チッタがいることは良かったかもしれません。
彼女は以前から我々の宝物庫に出入りしてましたし、
無くなった品に最初に気付いたのもチッタですしな。
なにか気付く事もあるかもしれません。案内役としてラウル殿に同行させましょう。」
ラウル「あ、ありがとうございます。チッタさん、よろしくお願いします。」
チッタ「チッタのことはチッタで良いよ~。なんの依頼か知らないけどよろしくね~?ぴ~す」
ラウル「(うーん、自由だ・・・。)」
チッタは尻尾をゆったりと振りながら、ラウルたちに向けてぴーすさいんを掲げるのだった。
次回、「獣人族の宝物庫」
最近お天気良くていいですね~。
いくらでも眠れそうな気がしますZzzz
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引き続きよろしくお願い致します。




