「ギルドからの依頼」
第8話 「ギルドからの依頼」
ラウル「うーいんおうああのいあいでうあ?(獣人族からの依頼ですか?)」
アイシャ「食べながら答えるのはどうかと思うわよ、ラウルくん?」
発掘作業から戻ってから数日後、ラウルがギルドでお昼ご飯を食べているとアイシャから声をかけられた。
ラウル「(もぐもぐ、ごっくん)
いや、俺がむっちゃ頬張ってるの知ってて話しかけてきたアイシャさんが悪い」
アイシャ「えへへ、ごめんね?で、受ける?受けない?」
ラウル「内容を説明しないのは、ギルド職員としてどうなんですか?」
アイシャ「お姉さん、クエスト受注には勢いも大事だって思うの。」
ラウル「勢いで受注しようとしたら止めますやん、アイシャさん・・・。」
いつものように軽口を交わしつつ会話を進めていると、ギルドの奥からクリストフが顔を出す。
ラウル「あ、クリフさん。お邪魔してます。」
クリストフ「こんにちは、ラウルくん。アイシャ・・・、真面目に説明しないと給料カットするぞ?」
アイシャ「や、やだなぁ、ギルマス。私とラウルくんのコミュニケーションの一環ですよぉ?
ちゃんと説明しますってば~」
アイシャはコホンと咳払いをすると、ラウルに今回の依頼に関する説明を始めた。
アイシャ 「数日前、発掘調査に行ってもらった辺りをローデリアって呼ぶんだけどね。
そこにある獣人たちの街から依頼が来てるの。」
ラウル 「どんな依頼?」
アイシャ 「それがねぇ……説明しづらいのよ。」
アイシャは苦笑する。
アイシャ 「どうやら宝物が減ってるらしいんだけど、 何がどれだけ無くなったのか、
本人たちも把握してないみたいなの。」
ラウル 「は?」
クリストフ 「彼らは少し独特でね。 明日のために生きるというより、今日を全力で楽しむ気質が強いんだ。」
ラウル 「へぇ。なんか自由そうですね。」
クリストフ「その代わり芸術方面の才能は素晴らしい。 歌や踊り、絵画なんかは一流の者も少なくない。」
クリストフは少し表現を悩みつつも、ラウルの疑問に情報を補足していく。
ラウル「結局は現地に行かないと、詳しいことは何もわからないってこと?」
アイシャ「んー・・・。まぁ、ざっくばらんに言えばそういうことなの!ただ今回は理由の特定が目的だし!
戦闘も無いだろうから洞察力の高い人が適任なのよ~。
ラウルくんとカエデなら、その辺は信じられるし、どうかな?」
アイシャの言葉に、ラウルは複雑な表情を浮かべる。
ラウル「あー・・・カエデ姉なんですけど、すぐには参加できないんですよ。」
アイシャ「なんで?」
ラウル「それこそ、この間の発掘調査がキッカケだったんですけど。
スコットさんがカエデ姉の一撃に惚れ込んだみたいで。
今は分隊へ臨時講師みたいな格好で訓練に付き合ってるんですよ。
俺自身は動けるんですけど、流石に一人は厳しいかな~。」
アイシャ「え~、そーなのー?カエデ、そんなこと言ってたかな~?」
悩む三人にそろりそろりと近づく影が二つ―――
トーマス「話は!」
レオナ「聞かせてもらったわ!!」
ラウル「うを!?ビックリした~!どーしたんですか?」
遺物調査隊のトーマスとレオナが、会話に割り込んできた。
レオナ「アイシャさん、そういうことならうちのリューネをサポートにつけるのはどうかしら?」
アイシャ「リューネさん?申出自体はありがたいけど、今回遺物は関係ないわよ?」
トーマス「確かに僕らが主に扱うのは過去遺物なんですが、遺物が見つかる環境に関連して、
過去の文明や出土品の研究は無視できないんですよ」
レオナ「ラウルくん、発掘の時に側道で見つかった棒状のものと宝石っぽい奴覚えてるかしら?
やっと鑑定が終わったのだけれど、そこには獣人族由来と思われる意匠が見つかったの。」
ラウル「あー!あの隠し扉手前で見つけたやつ!」
トーマス「そうそう、それだよ。ぼくらはまだ他の出土品の鑑定が残っているからさ、
その出土品の研究兼ねてリューネを 獣人族のところに向かわせたかったのさ。
僕らにとっても渡りに船みたいな話で驚いたよ。」
ラウル「ゴロウズさんは?一緒に来ないの?」
トーマス「ゴロウズはああ見えて繊細な作業が得意でね・・・暫くは缶詰状態で鑑定さ。
今外に出したら食べ歩きまくって帰ってこないだろうしね。」
一通り話を聞いた後、アイシャはクリストフに向かって声を掛ける。
アイシャ「ギルマス、発掘チームのみなさまのご協力自体はありがたいお申し出です。
彼らに対する報酬は別途設定するとして、このままラウルくん・リューネさんに
依頼を出すことを許可いただけますか?」
クリストフ「良いだろう。よろしく頼むね、ラウルくん。
トーマスさん、レオナさんもリューネさんにお伝えいただけるかな?」
レオナ「任せて頂戴!じゃあ暫定的なスケジュールを組んじゃいましょ♪」
こうして、ラウルの次のお仕事が決まったのだった。
*****************************************************************************
カエデ「え~~~~~~~~~!!!ラウル別の依頼、ひとりで受けるの~~~~~!?」
ラウル「しょうがないじゃん、カエデ姉は身動き取れないし、俺だけフラフラするのも勿体ないしさ~」
フブキ「わふぅ」
カナン「クスクスクス♬ カエデったら過保護なのね。
それにいつも二人が良いなら騎士団の依頼受けなければよかったのに」
カエデ「ううううううう~。
だって、スコットさんにはラウルたちの事助けてくれてた恩義があったんやもん~。」
カエデは全く納得いかない、という表情で不貞腐れている。
カエデ「・・・・獣人族のとこにはどうやって行くん?」
ラウル「ウィルさんの商隊が同じ方向行くから乗っけてもらうことにしたよ」
カエデ「どれくらいの期間になるん?」
ラウル「行ってみないと何とも言えないんだよね~。それこそ早ければ即日解決しちゃうかもだし。」
カエデ「ひとりで大丈夫なん?」
ラウル「あ、そうそう。リューネも一緒に行く事になってるよ。」
カエデ「は?」
カエデの背後から禍々しいオーラが立ち上る。
カエデ「な、なんであの子が一緒になるのかなー?」ピキピキ
ラウル「なんでもこの間の出土品から獣人族由来のものが見つかったみたいでさ。
その研究がてら手伝ってくれるって。」
カエデ「なんで断らなかったん!?」
ラウル「クリフさんの正式依頼にもなっちゃったから、敢えて断るのも角が立つでしょ?」
カエデ「男と女が二人きりはアカンやろ!」ダンッ!!
ラウル「今までも俺とカエデ姉で旅してたけど、変なこと起こしてないでしょ!」
カエデ「そこはもうちょい意識しても良かったんや!!なんで何も起きんのや!!!」
ラウル「理不尽!!」
カエデは頭を抱えていたが、ふとアイディアを思いつく。
カエデ「そうだ、フブキ!」
フブキ「わふぅ?」
カエデ「フブキ、今回はラウルについていくんや。それで悪い女が寄ってきたら噛みついて良し!
リューネは殲滅対象にしても良えぞ!」
ラウル「ちょっと!?カエデ姉、フブキに変なこと教えないでよ!!!」
フブキ「わふ?わっふぅ♪」
フブキは言葉を理解できないはずだ。
ただラウルと一緒に行く事は伝わったのか大きく尻尾を振り回しながら、部屋の中を駆け回るのであった。
次回、「家族」
台風は来ているものの、やっと穏やかな気候になってきましたね。
お昼に散歩していると気持ちいいです。
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。
引き続きよろしくお願い致します。




