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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
第2章  過去遺物(ギフト)

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「疑  念」

第7話  「疑念」



ラウル・スコットと黒衣の人物の戦闘は未だ続いている。

しかしゴロウズを逃がした影響だろうか、相手の動きに迷いの様が生まれ、

二人は先ほどよりも安全に立ち回ることが出来ていた。


ラウル「抑えられてはいるけど、押し切れないか・・・!」

スコット「増援を待ちたいところですが、どこまで耐えられるか・・・。それに・・・」


ラウルは斧撃を剣で捌きながら、スコットの言葉の続きを口にした。


ラウル「攻撃対象をリューネたちに切り替えられても困るんだよね!

    通路も守んなきゃだし!だから・・・」


ラウル・スコット「「攻めが最善!」」


ラウルはスコットを正面に立たせるように動きながら、側面へ回り込む。

黒衣の人物が少しでもラウルに反応した隙を付いて、スコットも刺突や盾衝で相手の体勢を崩していく。


うってかわって守勢に回る黒衣の人物。

状況に業を煮やしたのか、両手の斧を大きく振り回し、二人との距離を作る。

そのタイミングでリューネは相手に大声で語りかける。


リューネ「いい加減に止まりなさい!

     これ以上攻撃を続けるなら、この遺物も発掘品も全部吹き飛ばすよ!!」


リューネの声に合わせてトーマスとリューネが爆薬に火をつける仕草を見せる。

強気な発言とは裏腹にリューネの内心は相手を冷静に見据えていた。


リューネ「(多分だけどこっちは相手の本命の目的じゃない・・・きっとあいつはレイダーじゃないから。

       でも・・・レイダーにみせかけなきゃいけないとしたら、一瞬でも判断は鈍るハズ!)」


リューネの予想通り、黒衣の人物の動きが一瞬止まる。

その時―――通路の奥の方から誰かが走ってくるような足音がラウルたちの耳に入ってきた。


ラウル「(ゴロウズ?いや、戻って来るには早すぎる!向こうの増援なのか・・・?)」


広間にいる全員に緊張が走る。

通路から飛び出してきたのは――――


カエデ「ハアアアアアアアアアアッ!!」


大剣を片手に持ったカエデだった。

カエデは両手で大剣を持つと、切っ先を地面へ走らせる。

石床を削りながら疾走するその姿は、まるで獲物へ襲い掛かる猛獣のようだった。


「うりゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」


次の瞬間。

半月のような剣閃が黒衣の人物へ襲い掛かる。

黒衣の人物も二振りの斧を使い迎撃を試みるが、大剣の勢いに押され体勢が崩れかける。

その様な状況でも、勢いを利用して後方へ距離を取ることで追撃を許すことはなかった。


心強い増援により、数の上でも3対1。

いよいよ、決着が近いと誰もが思ったその時、


ボフゥン!!


黒衣の人物が懐から何かを取り出すと地面に叩きつける。

その瞬間に広間のほとんどを煙幕が覆いつくす。


瞬間、リューネたちの安否を危惧するラウル。

しかし足音は一目散に通路の方へ駆けていく。


カエデ「逃がすか!!」

スコット「ぬぅん!!」


カエデは足音の方に大剣を振り下ろし、スコットは音を頼りに短槍を投げつけた。

しかしいずれも乾いた音が響くだけで相手を仕留められたような様子はない。

煙幕が晴れた後には、スコットの短槍が床に残されているだけであった。


**************************************************************


戦闘が落ち着き、広間に居た面々はカエデの元に集まって来ていた。


ラウル「カエデ姉、ありがとう!危ない所だったよ・・・。」

カエデ「ラウル、まずは無事でよかった・・・。」


カエデは安堵した表情をしているが、どこか無理をしているような表情だった。

ラウルが怪訝な表情になっていると、


カエデ「実は他の分隊の一部にも襲撃があったんや。撃退出来たところが殆どやったが、

    遺物も奪われたところもあるし・・・2番隊に至っては、全滅や・・・。」


その言葉だけで十分だった。 広間の空気が凍り付く。


カエデ「うちもダンジョン内で他の隊のフォローをし取ったんや。

    でもラウルたちの姿が見えなかったから・・・。なんかあったらどうしようかと・・・。」


カエデの言葉に一同の表情は一気に青褪める。

ここまで規模の襲撃ということは偶発的なものではなく、相手も十分に準備をした上で実行したのだ。

そして、ついさっきまで笑いあえていた発掘メンバーの命が喪われたという事実が、

一同の表情により一層の暗い影を落とした。


ラウル「ごめんね、カエデ姉。でも何でこんなことに・・・。」

カエデ「今はわからんことだらけや。規模の大きい発掘とはいえ、貴重なものが確実に出土する

    なんて誰にも予想できん。それなのに、ここまで周到に準備出来た理由がサッパリや。」

スコット「そうですね・・・。レイダー襲撃は珍しいとまでは言えませんが、ここまでの規模の

     ものは体験したことがありません。

     まるでこっちの状況を完全に把握されているような感じでした。」


そこでリューネが声をかける。


リューネ「さっきの奴はあからさまにスコットさんを狙ってたよね?なにか心当たりはない?

     他のお仕事で恨みを買うなんてことはざらにあるんだろうけど・・・。」

スコット「確かに・・・。盗賊や犯罪者からの恨みであればキリがない、という感じですね。

     しかしあれほどの強者であれば記憶から抜けることは考えられません。」


トーマス「なぁ、リューネ。念のためだけどさ、本当に遺物狙いの可能性も捨てきれないだろうし、

      俺たちはそっちを確認しないか?」

レオナ「さっきは確認途中だったし、今は情報が取れるところから進めて行きましょ?」

リューネ「そうだね・・・。ラウル、ちょっと見てくるね?」


リューネたち3人は遺物の調査を再開するために、広間の奥へ移動していく。


そこにまた通路の奥から複数の足音が聞こえてくる。

ラウル・カエデ・スコットはすぐに警戒するが、姿を見せたのは、セオドリクをはじめとした騎士団第9分隊の面々だった。


セオドリク「無事か、みんな!?」

スコット「隊長!?なぜここに!?」


セオドリク「キャンプに逃げてきた発掘隊から状況は聞いた。一先ず無事で良かった。

      態勢を立て直したいので一度キャンプに撤退するが、良いか?」

ラウル「わかりました。お~~~~い!リュ~~~ネ~~~~~!!

     キャンプまで戻るってさ~~~~~~。」


ラウルは3人に呼び掛けながら、広間の奥に向かっていく。

その時、セオドリクは先ほどスコットが投げた短槍に気付き、拾い上げようとした。

拾い上げた短槍は、しかしセオドリクの手から零れ落ちる。

乾いた金属音が広間に響く。

一瞬だけ、セオドリクの表情が苦痛に歪んだ気がした。


スコット「? 隊長?大丈夫ですか?」

セオドリク「すまない、スコット。思いのほか今回の襲撃で感情的になっているようでな。手が震えているよ。」

スコット「確かに・・・。今回の襲撃者を許すことなどできませぬな。必ず捕縛いたしましょう!」

セオドリク「あぁ・・・。必ずな・・・!」


セオドリクはその拳に大きく力を籠めるのだった。


**************************************************************


ラウルから声をかけられ撤退の準備をするトーマスたち。

その合間にもリューネは遺物の解析を進めていた。


リューネ「んーっと、なになに・・・やっぱりこれは人が中に入って何かするためのものなのね。

     何のために造られたものなんだ~?お、なんかログがある・・・。」


リューネは遺物に備えられた端末から情報を確認していく。


リューネ「んと・・・番号AC-LA-001・・・変化なし。番号NE-SS-005・・・

     適正期間の格納不可。破棄。なんだこれ?」


意味の分からない記録にリューネは頭を悩ませる。

その時今までよりも情報の多い記録を見つける。


リューネ「おっと、これは・・・番号RA-UL-010・・・最適化・・・成功。成長抑制・・・成功。

     ■■■により〒縺ッ縺ゅj縺セにて回収・・・。成功事例か・・・。ふーん・・・。」


リューネは何気なく記録を眺めている。


リューネ「番号にも規則性みたいなものは感じられないなぁ・・・RA-UL・・・。ふふっ、ラウルって読めるね」

ラウル「お~~い!リューネ~~?もう撤退するよ~~~~?」

リューネ「ごめんなさーーーーい!今行くねーー!!」


リューネはラウルに声をかけられ、慌ててみんなの元へ向かっていく。

いざ走り出そうとした時、何かが気になってリューネは遺物の方へ振り返る。

そこには先ほどと同じく淡く明滅する遺物しか見えない。


リューネ「――まさかね。」


リューネの独り言は聞く者を持たず、ただ虚空に消えていくのだった。



次回、「ギルドからの依頼」



読みづらい場所などありましたらご指摘ください。


ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。


引き続きよろしくお願い致します。

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