「ようこそ!トリステン島へ」
第3話 「ようこそ!トリステン島へ」
サイドカウス港
トリステン島の玄関口となる港の一つ
無事に島についたラウルとカエデはその街中を騒がしく進んでいく
ラウル「カエデ姉、村戻りなよ~~~。
腕試しの意味なくなっちゃうじゃんか~~。
グラ爺にはちゃんと言ってきたの?」
カエデ「快く送り出してくれた(大嘘)に決まっとるやん!
なんやーラウル、そんなに姉ちゃん邪険にせんでもええやろー?
姉ちゃん足手まといにならんで~~?頼りになるで~~?」
ラウル「頼りになるから腕試しになんないんだってばさーーーーー。
ね?おとなしく村に戻ってくれよー?」
カエデ「頼りになるってわかってんねんな!(顔真っ赤)
あんまり断ると姉ちゃんにも考えがあるで・・・。?」
ラウル「考え・・・?嫌な予感しかないよ・・・」
カエデ「恥も外聞もなく縋り付いて大声出されるか、セクハラされたって
大声出されるのとどっちがいい?(ニッコリ)」
ラウル「もうやだぁ・・・(´;ω;`)」
カエデはイイ表情を崩さずにラウルの横を歩いていく。
彼女が犬系統の獣人だったら、きっと尻尾がぶんぶんと振られていたに違いない。
対してラウルは幼馴染のお姉さんに口で勝てないことがわかりつつも、知恵を絞り続けながら歩いていくのであった。
押し問答を続けていく先に、二人は冒険者ギルドを見つけた。
冒険者ギルド。
宿屋と酒場を兼ねた冒険者たちの拠点だ。
依頼の仲介や情報交換などのため、この島でも多くの冒険者で賑わっている。
ラウルたちも「まず情報収集と腹ごしらえかー」と思い、立寄ることを決めた。
ギルド内は港町に立地していることもあり、多くの冒険者であふれかえっていた。
様々な種族の冒険者が情報交換をし、食事から活力を補い、あるいはカウンターから冒険者向けの依頼を受注している。
空いている席に座った二人は何を食べるかメニューとにらめっこを始める。
そんな二人のテーブルに一人の商売人風の男が慣れた様子で近づいていく
男「ちょいとおふたりさーん?
この島では初めて見る顔だね?
大方、冒険者として名を売ろうって感じだな」
ラウル「あぁうん、まぁそんなところだねー。おじさんは何のご用事だい?」
男「そんな前途有望な若者の力になろうってのがおじさんの趣味の一つでね!
この港町周辺の地図を格安でゆずってまわってるのさぁ
精度は折り紙付きだよ?お代は本当だったら1000Gはくだらないんだが、
有望な新人割引きってことで500Gで良いぜ!買うだろ!?」
地図は冒険者にとって命綱だ。
方角や危険地帯、魔物の縄張りまで記されていることもある。
おっさんは怪しいが、地図そのものは悪くなさそうだった。
「この地図、街道の情報が古いですね」
聞き覚えのない声だった。
ラウルが振り返ると、そこには綺麗な顔立ちの少女が立っていた。
男「なんだお嬢ちゃん?」
ラウル「え?わかるの?」
少女は当然のように頷く。
少女「街道沿いの森に出る魔物が違います」
少女は地図を指差した。
少女「ここは今、牙猪じゃなくて灰狼の縄張りですよ」
男の額から汗が流れる。
少女「この辺の湿地も記載漏れですね」
カエデ「ホンマなん?」
ラウル「少なくとも自信はありそう」
少女「自信はありますよ」
即答だった。
少女「不躾かつ失礼な表現になることをまずは許してくださいね。
島の初心者をカモにしようって魂胆が見えすぎですよ・・・
それに商人は信頼が第一です!
こんな商いをするようじゃすぐに先行き困ることになりますよ!」
男「お嬢ちゃんうるさいなー!
おじさんはこれでもこの街を中心に手堅い商売してるんだよー?」
ラウルは激高し始めた男をよそに、周りの様子を確認していた。
ラウル「(あー、何人かは白い眼で見てるね・・・
確かに個人間の商売はギルドでも取り締まれんか・・・
この辺の眼を養うのも冒険者として必要なこととは思うけどさ・・・
アドバイスくらいくれる先輩がいても良くない?苦笑)」
そんな中カエデは自分のペースで麦酒を楽しんでいる
姉ちゃんはこのくらいでは動じることなく、イベントとして楽しんでいる節もある。
ラウルはそう考えながら、言い合いをしている二人に意識を戻した。
ヒートアップの様子から言い争いもクライマックスを迎えそうだ。
男「もういいよ嬢ちゃん!放っておいてくれ!」
少女「さっきから言いたいことばっかり言って!!
それに!僕は!男だぁぁぁぁぁぁ!!!」
少女改め少年は男の顎目掛け、アッパー掌底を放つ
掌底は美しい軌道を描きながら男の顎に吸い込まれ、男は無事に後方二回宙返りをすることとなった。
気絶した男を横目にゼェゼェと息を荒げる少年
ラウル「あ~~~、ごめんね?俺らの問題なのに助けてもらった挙句、
何かおっさんが逆鱗に触れちゃったみたいで・・・」
少年「僕だって気にしてるんです!
だからこんなに格闘だって勉強したのに・・・
なんで筋肉付かないのぉ・・・(´;ω;`)」
どうやら心の中のデリケートな部分にクリティカルヒットしていた様子だ。
しかし何とか気持ちを整えると、ラウルの方にしっかりと姿勢を整える
少年「ゴホン・・・!初めまして。
僕はこの島で商いをしている、行商人のウィルといいます!
先ほどは身勝手な真似をしてしまい申し訳ありませんでした!
迷惑料としてこの地図は御二人にお譲りさせてください!
お代は結構ですが、今後贔屓にいただけると有難いです!
何かあればどこでも馳せ参じさせていただきますね(ニッコリ)」
ウィルは一気にまくしたてると二人に地図を差し出してくれた。
見た目から想像できないほど、ウィルの言葉は流暢かつ自信にあふれている
ラウル「俺はラウル、こっちは相棒?のカエデ。
正直この精度の地図もらっちゃっていいの?ありがたいけど・・・
でも若いのに自身も度胸もあってすごいなぁ・・・」
ウィル「ハタチナンデス・・・」
ラウル「ん・・・。?」
ウィル「こう見えて・・・20歳なんです・・・(´;ω;`)」
ラウル「やだ同世代、っていうか年上?」
ウィル「そうですよね・・・背も小っこいし顔も幼いし・・・
初見じゃ信用無いですよね・・・(イジイジ)」
ラウル「(ちょーーーーっ!どうしよ!?地雷踏み抜いた!!?!??)」
ウィル「でも・・・それでも商売人としてなり上がってやるんですぅぅ!
いずれは商会立ち上げてやりますよ!」
ラウル「へぇ・・・」
ラウルはウィルの心意気に感嘆の意を示す
ウィル「なんですかその反応」
感情的になっているウィルは、ラウルの淡白な反応にジト目で睨み返す
ラウル「いや」
ラウルは笑う。
ラウル「できると思ったから」
ウィル「は?」
ラウル「だってウィルさん商売好きでしょ?」
ウィルは目を丸くする。
ラウル「好きな事を続ける人って強いからさ」
数秒沈黙。
ウィルは小さく笑った。
ウィル「まっすぐ評価されるのも照れるもんですね。
こちらも将来有望な冒険者様には是非贔屓にしていだたかないと!」
ウィルは笑顔とともに右手を差し出す
ラウル「島にいる間は贔屓にさせてもらうよ、約束する。
これからもよろしく頼むよウィルさん!」
ウィル「はいぃ!よろしくお願いします!」
がっちりと握手を交わす二人。
一つの友情が成立した瞬間である。
その様子を見ていたカエデは麦酒片手に二人に声をかける
カエデ「ねーねー、もう終わったー?食べ物の追加どうするー?」
・・・このお姉ちゃんのマイペースさも大概である・・・
男「(誰も俺のこと覚えてない・・・アバババババ・・・)」
・・・ふぁいと、おじさん・・・
次回、「強奪の森」
投稿直後に少し目に留めていただいているようで、作者は大喜びしております。
是非反応いただけますと有難いです。
よろしくお願いいたします。




