「ベディヴィア王国騎士団」
第2話 「ベディヴィア王国騎士団」
ベディヴィア王国騎士団 トリステン島駐留部隊―――
トリステン島東部の治安維持を任された王国の部隊である。
総勢およそ三百名。
一から十二までの分隊に分かれ、それぞれの任務に従事していた。
~~~~~~~ バルストの街:ベディヴィア王国騎士団 修練場 ~~~~~~~
間もなく夕方という時間だが、数名の騎士が修練場内で鍛錬を行っている。
その中で、まだ年若いであろう騎士がハルバードを振り回している。
どのくらい続けているのであろうか。傍目にも分かるほど、彼の練習着は汗でぐっしょりと濡れていた。
若い騎士「フッ!ハッ!ハァァ!!」
壮年の騎士「精が出るな、スコット。朝からずっと鍛錬していないか?」
スコットと呼ばれた騎士はハルバードを置き、騎士に向かって敬礼を行う。
スコット「セオドリク分隊長、お疲れ様です!!」
セオドリク「堅い堅い。別にそこまでする必要は無いよ、スコット。
鍛錬の邪魔をしてすまないね。少し時間をもらえるかな?」
スコット「もちろんです!」
セオドリクとスコットは修練場内のベンチに腰掛ける。
セオドリク「ギルドの発掘調査の件は知っているね?」
スコット「ハッ!」
セオドリク「我々第9分隊も護衛として同行することになった。期間はおよそ一週間。問題無いかな?」
スコット「ハッ!問題ありません!すぐに準備を進めます!!」
セオドリク「スコット、落ち着きなさい。出発明後日だから。今から用意したら早すぎるから。」
スコット「ハッ!申し訳ありません!」
セオドリク「キミの堅苦しさは変わらないねぇ・・・。あとは・・・ちょっと言いづらいんだが、
領主様のメイドたちから私宛にキミについての相談が入っていてね」
スコット「私についての・・・?何か私の行動で問題でもございましたか?」
セオドリク「領主様のところに、君の姉もメイドとして働いているね?
相談はキミの姉の同僚からなんだが・・・。
『気が付くと物陰からキミが凄い眼で姉を見つめていて怖い。しかも物凄く頻繁に見つめている』と・・・。
これは事実かね?」
スコット「ハッ!騎士団の業務と鍛錬以外の時間は姉の護衛を行っております!大切な家族ですから!」
セオドリク「流石にやり過ぎではないかな・・・?」
スコット「大切な!家族!ですから!」ムフー
スコットの眼が怖い。あと鼻息が荒い。
セオドリク「そ、そうか。でもまぁもう少し控えてくれると助かるよ。」
スコット「ハッ!善処いたします!」
普段はもう少し会話になるんだがなぁ。
セオドリクは苦笑しながら修練場を後にした。
重度のシスコンであるスコットは、本人にその自覚がないまま、自身と姉の周囲の人間から恐れられていたのであった。
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―――2日後
ラウルはカエデとともに発掘調査隊護衛の出発地点にいた。
護衛の冒険者だけで50~60人くらいいるだろうか。
調査隊についてはその倍はいるように見える。
活気づいた雰囲気に満ちており、今回の発掘に期待する気持ちが伝わってくる。
ただラウルの隣にいるカエデはとても不機嫌なのであった。
カエデ「確かにわかってたよ?ラウルとチーム編成が分かれちゃうかもって。
行きはまだ遺物もない状態だし、道中それなりに一緒に居られるのもプラスだなってさっきまで思ってたよ?」
ラウル「・・・・・・・・・・・」
カエデ「なんでラウルの護衛相手があんたらなん?」
リューネ「ぶいっ。ラウル、よろしくね?」
ゴロウズ「腹減った・・・」
レオナ「あらあら♪」
トーマス「俺だけ自己紹介まだなのかよ・・・。ラウルさん、トーマスって言います。
濃いキャラ・・・ばかりですけど・・・よろしくお願いします!」
ラウル「・・・なんでだろうね?」
カエデ「納得いかーーーーん!」
ラウルはリューネチームの護衛担当となっていた。
ラウル「ギルド側でも戦力バランス取ったんじゃない?
リューネもゴロウズさんも戦えるみたいだから、護衛は俺だけ・・・になっちゃったみたいだけど。」
カエデ「うぅ・・・。納得いかんのよぉ・・・。」
カエデがイジイジしていると、ギルド職員が調査隊に対して大きな声で案内を始めた。
職員「みなさま、この度は発掘調査にご協力いただきましてありがとうございます!
間もなく予定通り調査に出発させていただきます!
1点予定の変更がございますのでお知らせを致します!」
変更という言葉に、参加者が職員に意識を向ける。
職員「この度、ベディヴィア王国よりトリステン島駐留騎士団の第9分隊を護衛に付けると申し出をいただきました!
この変更において、皆様との契約条件に変更はございませんのでご安心ください!
各護衛に騎士が1名ずつ追加で対応をいただけるとのことですので、各自連携をお願い致します!
今回の変更にあたり分隊長のセオドリク様より一言いただきます! セオドリク様、よろしくお願いいたします。」
セオドリク「ご紹介いただいた第9分隊長のセオドリクです。この度は出発直前の変更となり申し訳ない!
我々は騎馬隊を同行させます。発掘前後の移動時には広範囲での索敵で貢献できると思います!
ただ武器は槍が中心ですので、洞窟内の護衛は皆さんの協力が不可欠です!よろしくお願い致します!」
ラウル「騎士団ねぇ・・・」
カエデ「騎士団なぁ・・・」
ラウルとカエデの脳裏に先日の盗賊団との記憶が蘇る。
盗賊団と騎士団には確かな繋がりが存在していた。
カエデ「ちょっと警戒レベル上げなきゃならんね、ラウル」
ラウル「そうだねカエデ姉。何してくるかわかんないからお互い注意しよう」
カエデは自身と組むであろう騎士を確認するためにラウルの側を離れて行った。
それと入れ替わるようにリューネチームに年若い騎士が近づいてくる。
スコット「私がこちらの護衛に追加となります、スコットと申します!短い期間ではありますがどうぞよろしくお願い致します!」
挨拶と同時に、腰から綺麗に90度のお辞儀を披露するスコット。
その様子に少しビビるリューネチームであった。
ラウル「スコットさんで良いかな?俺はラウルって言います。
スコットさんと同じくこのチームの護衛担当です。よろしくお願いします。」
スコット「ラウルさんですな!よろしくお願い致します!
・・・むむ、ラウルさん。もしかしてラウルさんにはお姉さまがいらっしゃいますかな?」
ラウル「へ?一応・・・血は繋がってないけど姉はいますよ・・・?」
スコット「やはり!良い弟力をお持ちの様だ!姉は良い・・・。姉こそ至高の存在ですよね!」
ラウル「え~・・・この人急にどうしたの・・・?怖いよぅ(´;ω;`)」
スコットはラウルに対して姉の素晴らしさを懇々と語っていく。
どうやらバルストの街に彼の姉もいるらしく、護衛任務の間会えないことにフラストレーションを感じているようだ。
スコット「・・・・というわけで私は姉こそ至高という考えに至ったわけで・・・」
セオドリク「いい加減になさい」スパァァン アイター!!
先ほど事情説明を行った男性が、スコットの背後から頭をはたく。
スコットのリアクションを見る限り、結構な力の強さだったようだ。
セオドリク「本当にうちのスコットが申し訳ない。分隊を率いているセオドリクだ。
スコットの奴、腕は確かなんだが、如何せん姉が大好きでな・・・。
姉の話題に見境が無いのだ・・・。腕は本当に確かなんだがな・・・。」
ラウル「セオドリクさん、ですね。私はラウルと言います。よろしくお願いします。
ご苦労されてるんですね・・・。」
セオドリクの様子から直感的にセオドリクをねぎらうラウル。
かくしてラウルの護衛任務は幕を開けたのだった。
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クリストフは優しい表情で、出発する調査隊に遠くから手を振っている。
やがて調査隊の姿が見えなくなると周囲に誰もいないことを確認してから、考えに耽る。
クリストフ「こんな間際に騎士団をねじ込んでくるなんて、何を考えているゼニスキー・・・」
クリストフは答えが出ないことを理解しつつも、自問自答を止めることが出来なかった。
次回、「到 着」
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
もし知りたい設定などありましたら、幕間などで説明できたらと思います。




