「いってきます」
第25話 「いってきます」
ラウル「まぶしっ」
ラウルとカエデが洞窟を出ると、東の空が朝焼けに染まり始めていた。
ラウルが眩しさに細めた目をゆっくりと開くと、そこにはクルーゼを先頭に義賊たちが
片膝を付き、ラウルたちを待ち構えていた。
ラウル「え~~~~~っと、どういう状況??」
クルーゼ「今回は俺たちの都合に巻き込んで申し訳なかった!」
義賊たちは一斉に頭を下げる。
クルーゼ「俺たちは誰一人、今回の恩を・・・」
ラウル「は~~~い、やーーーーめーーー。はい、そういうのなーーーーし!しゅうりょ~~~~~~~」
クルーゼ「は?」
クルーゼは素っ頓狂な声を上げる。
ラウル「俺はキミらの依頼で、今回の件に関わったんだっけか?ん??」
クルーゼ「いやでも、これは俺たちの内輪揉めみたいな・・・」
ラウル「お・れ・が・呼べって言ったんだよねぇ?」
クルーゼ「お、おう」
ラウル「じゃあ、別に御礼はいりませ――――ん!はい、かいさーーーーーん!」
ドノヴァン「・・・ぷっ、くっくっく・・・あっはっはっはっはっは!!!これはこちらの負けですな!若!」
一瞬の静寂の後、ドノヴァンの笑い声があたりに響き渡る。
ようやく周りの空気も柔らかなものになる。
クルーゼ「あーもう・・・わかったよ!でも礼だけは言わせろ!本当に助かった!ありがとな!」
ラウル「うむ、それでいいのじゃ」ウムウム
カエデ「ほんっと偉そうに・・・」ラウルノアタマパシーン イタァァァイ!!
クルーゼ「これ以上礼とかは言わねぇけどさ、ま・・・その・・・なんだ、困ったことがあるなら
いつでも声かけんだぞ・・・?格安で引き受けてやっから」
ドノヴァン「ラウル殿、若の言葉は実に、実に回りくどいのですが、
友になっていただけないかと聞いているだけです。」
クルーゼ「ドノヴァン!ちげーし!そのなんだ、ほら!義賊は恩義を大事にするとか!あれだよ!」
ラウル「え?もう友だちと思ってたけど、違った?あれー?そっかークルーゼは違ったかー・・・なんだー・・・そっかー・・・」
クルーゼ「え?わ、悪ぃ!そんなつもりじゃなくてだな!?今まではこっちの都合に巻き込んだ負い目とか・・・」
ラウル「・・・ぷっ、くっくっく・・・クルーゼ・・・面白・・・!すぐひっかかる・・・あはははははは!」
クルーゼ「ラウルーーーー!手前ぇぇぇぇぇ!!」
ラウル「ごめんって、じゃあ今後ともよろしくクル兄!」
クルーゼ「クル兄?」
ラウル「え?流石に俺より年上っしょ?だからクル兄。クゼ兄とかルゼ兄とかなんかダサいし。
兄貴って呼べる人、ちょっと欲しかったんだよねー」
クルーゼ「いや25だし、流石に年上だと思うけどよぉ・・・」
カエデ「ウチより年上やん。なんでカエデ姉さんって言うの??」
クルーゼ「いや、カエデ姉さんは・・・なんか姉御感がすごい」
ラウル「わかる。超姉御。」
カエデ「・・・・・・・・・。。」ラウルトクルーゼノアタマパシーン イタァァァイ!!×2
そんな3人の様子を眩しそうに眺めるドノヴァンと義賊たち
その視線に気づいたラウルは気恥ずかしそうに、しかし真面目な表情でクルーゼ含め、義賊たちに話しかける
ラウル「ゲオルグの亡骸は・・・ちゃんと洞窟の中に残ってる。」
さっきまでの賑やかな空気が少しだけ静まった。
ラウル「弔うかどうかも含めて、みんなに任せるよ」
ドノヴァン「・・・承知した。色々と気遣い感謝するラウル殿」
ラウル「あとアジトの中、ぐちゃぐちゃにしちゃったから・・・このまま使うかも考えてくれると・・・スンマセン・・・」
最後までキッチリ締められないラウルの頭をドノヴァンが優しく撫でる。
ドノヴァン「貴殿のおかげで護るべきものをちゃんと護り通すことが出来た。本当に大した子だ・・・」
ラウル「へへへ、あざす」
ナンカラウルオレノトキトタイドガチガウ・・・ イヤドノヴァンサンノホウガボスッポイヤン エーーーーー!?
ラウル「さ、帰ろ?さっすがにつかれたよ~~」
カエデ「じゃあ帰ろか?家に」
義賊たちに手を振りながら帰路に就くラウルたち。
ここにクルーゼたち盗賊団内の対立が決着したのであった。
ゲオルグを唆した魔獣の謎を残したまま・・・
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盗賊団のいざこざから数日後。
ラウルの拠点内リビングにて
ラウル「あんな爽やかに別れて、なんで当たり前のように座ってるんですかねぇ?クル兄?」
クルーゼ「聞いてくれよーラウルー。結局拠点を変えようって事になってよー。場所とか色々探すから
その間は武者修行にでも出なされってドノヴァンに追い出されちまってさ~。
行く当ても思いつかなかったから、来ちった」アハハ
ラウル「アハハじゃないよー、ちょっとは余韻に浸らせてよー」
ウィル「まぁまぁラウルさん、問題事も解決したみたいですし、良かったじゃないですか。ぼくらも安心して森を通れますよー」
ラウル「キミもなんでここに普通に座ってるんだよ・・・ウィル」
ウィル「えー?(もぐもぐ)僕はちゃんと商売の(ずず~っ)話ですよ~(もぐもぐ)。
今度バルスト北部のダンジョンで大規模な遺物発掘計画が(もぐもぐ)ありましてね?
護衛をたくさん募集してるって話なんです(ずず~っ)。
良い発掘品が入手出来たら嬉しいなぁと思いまして」
ラウル「むっちゃもぐもぐしてる!お茶も飲んでる!すげーリラックスしてるじゃん!?」
リューネ「あ、その発掘、わたしも行く事になってる。ラウルは護衛で来るの?」
ラウル「うーん、まだギルドで報酬内容とか聞いてないからなぁ。ってリューネ?なんでいるの?」
リューネ「いたらダメ?」
ラウル「いやダメじゃないけど・・・」
リューネ「じゃあいるね」
オネエチャンガード!! ジャマハサセナイワ!ウフフ♪ ハラヘッタ・・・
ラウル「なんか他にも知った人いねぇか、これ」
クリストフ「護衛の依頼ならそれなりに報酬あるはずだよ。
詳しくはアイシャにでも聞いたらいい(ずず~っ)」
ラウル「ちょ!?クリフさん!?なんで?」
クリストフ「うちの受付の奴が、あの幽霊屋敷に借り手がついたって言うじゃないか。
興味本位で来てしまったよ」
ラウル「マジで自由過ぎません?ギルマスってそんなんで良いんすか??」
クリストフ「あっはっは」
フブキ「わふぅ」
ラウル「フブキ・・・俺を癒してくれるのはお前だけだよ・・・」
フブキ「ワフゥ?」
カエデ「で、どーするん?護衛の仕事受けるん?」
ラウル「カエデ姉・・・普通にみんなにお菓子とお茶出してんのなんで??」
カエデ「もうひとりの姉ちゃんの相手するより、全然楽やわ~。で、どーするん?」
ラウル「まずは話を聞いてみて・・・かな。遺物にも興味あるし。
報酬良いってギルマスのお墨付きだけど・・・
クリフさん良い顔でえげつない条件付けてそうだから、安請け合いが怖い・・・」
カエデ「くっくっく。確かにそうやな。じゃあアイシャにこの本返しておいて。」
ラウル「むっちゃ仲良くなってる・・・りょーかいりょーかい。もう十分カオスだけど、
この場は任せますよっと」
ラウルは賑やかなリビングを背に入口に向かう。
ラウル「そんじゃ、いってきまーす!」
みんな「いってらっしゃ~い!」
そんなラウルの背中を2階の部屋からもカナンが見送る。
カナン「いってらっしゃい、ラウル」
誰にも届かないその声は、優しく彼の背中を見送っていた。
第1章 「拠点」 完
ここまでの感想などは幕間後半に記載しております。
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。
引き続きよろしくお願い致します。




