「ラウル」
第24話 「ラウル」
~~~~~~~ アジト内通路 ~~~~~~~
カエデはクルーゼに肩を貸しながら、洞窟の外へ向かっていた
クルーゼ「カエデ姉さん、あいつのあれ!?なんなんスか!?」
カエデ「詳しいことはウチにもわからん!ただあの子は・・・あの子の身体は魔法と相性が良すぎるんや!
魔法使いのが得意ってことやない。あの子は魔法を纏うことが出来る!」
クルーゼ「カエデ姉さん、ゴメン!全然わかんない!」
カエデ「やかましい!今は足動かさんかい!」
クルーゼ「ハァイ!スンマセェン!!」
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???「イタタタタタ・・・モー、キュウニナニスルノ??ビックリスルジャナイ?」
ラウル「黙れ。」
ラウルは魔獣の姿を認めると全速力で駆けていく
途中で魔獣に向かい鋭く跳躍していくが、魔獣はその姿を確認するとニィッと笑みを深くする
???「イクラハヤクテモミエテルナラ『マト』ミタイナモンダヨネ♪」
ラウルの動きに合わせ前足を振り下ろす魔獣
鋭い爪に身体が切り裂かれようとする一瞬前、
ラウル「Rebota(弾けろ)」
空中でラウルの足が再び「宙」を踏む。
空を蹴ったとしか思えない軌道で、ラウルの身体が魔獣の視界から消えた。
???「ハ??」
ラウル「Revienta(爆ぜろ)」
ラウルはがら空きの魔獣頭部に蹴りを放つ。
蹴りが側頭部に触れた瞬間
ズガァァァァァァンッ!!!
触れた場所から爆炎が巻き起こり、魔獣の顔を灼いていく
???「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!ア゛ヅイ゛!!ア゛ヅイ゛!!!」
魔獣は熱さに苦しみながらも、ラウルの着地に合わせて噛みつこうと試みる
ラウル「Endurécete(硬くなれ)」
ラウルは自ら右腕を差し出した。
魔獣は躊躇なくその腕へ牙を突き立てる。
肉を裂く感触を期待していた。
しかし次の瞬間、響いたのは鈍い破砕音だった。
砕け散ったのはラウルの腕ではない。
魔獣自身の牙だった。
???「ギヤァァァァァッ!!イタァイ!ナンデ!ナンデ!?」
ラウル「知るか」
思わずよろける魔獣にラウルは追撃の手を緩めない
懐に潜り込んだラウルは、そのまま後方へバク転する。
鋭い蹴撃が、魔獣の顎を痛烈に打ち抜いた。
その衝撃に耐えられず、魔獣は後方に倒れ込むのであった。
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カエデ「この辺まで来れば取りあえず大丈夫か・・・?」
洞窟の外に逃れたカエデとクルーゼは一先ず近くの岩陰に身を隠す
クルーゼ「なぁ、カエデの姉さん。ラウルのあれ、もうちょっと聞いてもいいか?」
カエデ「なんや?そもそもあんまり答えられることも少ないで?」
クルーゼ「それでも良いんだ・・・ありがとう。
ラウルがああいう状況になったのは初めてじゃないってことだよな?」
カエデ「せやね。何年くらい前だったかな・・・まだまだウチも未熟だった時にちょっとしたトラブルがあってな。
もう一人、うちの幼馴染で、あの子の姉代わりがおるんやけど、その子がトラブルが原因で怪我を負ってしまったんよ。
その時に今と同じ状況になってな。その時は幼馴染が魔法をつかって抑え込んだんのと、なんやかんやあって解決したんよ。」
クルーゼ「なんやかんや?」
カエデ「あー・・・説明しとうない・・・恥ずかしいし・・・イジイジ」
カエデは何かを思い出したのか、顔を赤らめている。
カエデ「さっきの適性が良すぎるってのも、うちらの師匠の受売りでな。よくわからん。
ただ、間違いなく言えることは・・・あの状況のラウルは強い。ウチ独りじゃ止められん」
クルーゼは無意識に生唾を飲み込んでいた。
クルーゼ「マジかよ・・・でも大丈夫なのか?あの魔獣も普通じゃなかったぜ・・・?」
カエデ「大丈夫かどうかはわからん・・・だからウチだけ戻るわ。」
クルーゼ「じゃあ俺も!?」
カエデ「疲弊しとるやつは足手まといや。ここで待っとき。」
カエデは有無を言わさぬ雰囲気でクルーゼを説き伏せる。
クルーゼも渋々ながらその言葉に従うのだった。
カエデ「あぁ、それと――」
カエデがクルーゼに振り向き、声をかける
カエデ「ラウルのこと――普通やないかもしれん。怖いと思うかもしれん」
クルーゼ「……」
カエデ「それでも、嫌わんでくれたら嬉しいな。」
カエデの優しい、しかしどこか寂しそうな笑顔にクルーゼは無言で頷くことしかできなかった。
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???「ゼンゼンタノシクナァイ・・・イタイノバッカリ・・・チョットハタベサセテヨ・・・」
魔獣はゆっくりと立ち上がるとラウルに向けて敵意を剝き出しにする。
???「オコッテルンデショ?ジャアソノカンジョウ、イタダイチャウネ?」
戦っている相手の感情すら己の糧としようとする魔獣。しかし、
???「アレ?オマエノキモチ、ドコ?ワカラナイ?エ?ナンデ?」
魔獣はラウルの感情を探る。
怒り。
憎しみ。
殺意。
どれでもいい。
いつものように喰らおうとした。
だが――見えない。
何も見えない。
その異常が、初めて魔獣自身の心を揺らした。
???「ネエ?ヒトゾクダヨネ?ナンデ?ミエナイノ?ナンデ?ナンデ?」
ラウルは何も言わない。
ただ一歩。
また一歩。
魔獣との距離を縮めていく。
逃げ道を塞がれている。
そんな錯覚を覚えるほど、その歩みには迷いがなかった。
???「コナイデ?イヤダ!クルナ!アッチイッテ!」
魔獣は出鱈目に前足を振り回す。
しかしラウルには当たらない。
その全てがどこに来るのか、あらかじめわかっているかのように、最小限の動きで躱していく。
???「クルナ!クルナァ!!クルナァァァァ!!」
魔獣が耳にしたラウルの声は振り回していた前足の、さらに内側から聞こえた
ラウル「Siete Estrellas (七つの星)」
???「ッッッッッッッッガッ!!!!」
魔獣の身体を、7つの雷撃の奔流が呑み込んでいく。
黒焦げになった身体は、徐々に灰燼へと変わっていった。
ラウル「それが『恐怖』だ、バーカ」
その言葉の後、ラウルの意識も暗転していくのであった。
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頭を撫でられている感覚で、ラウルの意識はゆっくりと覚醒していく
ラウル「ん・・・」
カエデ「目ぇ覚めたか?ラウル」
ラウル「あれ?カエデ姉?」
気付けばラウルはカエデに膝枕をしてもらいながら、洞窟の中で寝ころんでいた。
周りは「覚えのない」攻撃に依って破壊されたであろう状況と、真っ黒な灰の塊が溜まっていることが理解できた。
カエデ「身体の様子はどう?平気?」
ラウル「うーん・・・多分大丈夫かな・・・前の時と同じでほとんど覚えてないけどさ」
カエデ「そっか・・・でも無事でよかった・・・」
ラウルの頭部を優しく抱え込むカエデ。
その優しさが今のラウルにはくすぐったいのだった。
ラウル「ゲオルグさ・・・やった事はもうどうしようもないんだけどさ・・・あいつの矜持?なのかどうかわかんないけど
踏みにじられたって感じちゃったんだ・・・そしたらなんか止まらなくなっちゃった」
カエデ「ええよ・・・それでも・・・無事だったんやから・・・それにゲオルグの野郎も終わってみれば、なんか哀れやったしな」
ラウル「それに、あの声。なんだったんだろう?よくわからないけど悪意ではなかった気もする・・・」
カエデ「難しいことは後にしよ。まずはウチらのホームで休も?フブキも待ってるしな」
ラウル「フブキ・・・そうだね。撫でまわしてあげなきゃね~」
ラウルは身体の様子を確かめながら、ゆっくりと立ち上がる。
痛みはあるが問題は無さそうだ。
ラウル「じゃ、帰ろっかカエデ姉?」
カエデ「そやな、帰ろ」
二人はゆっくりと洞窟の外に向かって進んでいく。
今はただお互いの無事に安堵しながら。
次回、「いってきます」
ラウルくん全力戦闘回いかがでしたでしょうか。
作者の悪い癖で、伏線回収せず、かつ厨二病っぽくてスイマセン。
でもこんな感じなのが大好きなので・・・苦笑
次回で1章が一区切りです。
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。
引き続きよろしくお願い致します。




