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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
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「決別と嘲笑」

第23話  「決別と嘲笑」



クルーゼは短剣を逆手に持ち替え、ゲオルグに向けて瞬時に距離を詰めていく。

対するゲオルグは斧を横向きに振りかぶり、薙ぎ払いの準備を整える。

クルーゼが間合いに入った瞬間―――


「ゴォォォォォォッ!!」


斧の風圧で周囲の岩や埃が巻き上げられる。

その瞬間、ゲオルグは頭上に何かがいる影を捉えていた。


ゲオルグ「もらったぁぁぁぁ!?」


ゲオルグは影に向かって斧を振り上げるも、手に伝わってきたのは人の身体ではない感触であった。

次の瞬間、両脚に鋭い痛みが走る


ゲオルグ「ぐぅぅぅ!?」


ゲオルグの後方にはいつの間にかクルーゼが無傷の状態で立っていた。


カエデ「ほほ~~!クルーゼさん器用なことするな~。ラウル、今のちゃんと見えた?」

ラウル「薙ぎ払いに合わせて手ごろな岩を上に陽動で投げる。ゲオルグの意識が上に向いた瞬間に

    スライディング。で、そのまま脚を斬りつけた、であってる?」

カエデ「合格。言うのは簡単だけど、懐に入る度胸がないとできんわね」


ゲオルグ「くっそぉぉぉ、クルゥゥゥゥゼェェェ!!」

クルーゼ「膝裏の腱に傷を付けた。もうまともに動けねぇだろ?」

ゲオルグ「うるせぇぇぇぇぇぇぇ!!」


ゲオルグは傷を気にする素振りも無く、斧をクルーゼに向けて叩きつける。


クルーゼ「なんっっっ!?」


クルーゼは慌ててその場から後方へと跳び退いた。


クルーゼ「なんでだ!?確かに手応えはあったはず!」

ゲオルグ「うるせぇんだよ・・・もう痛みなんかで止まるかよぉぉぉぉ!!」


ドゴォォォォォンッ!!!


またもクルーゼに向けて大きく斧を振り下ろすゲオルグ。

クルーゼは動揺しつつも振り下ろしの隙を付いて、ゲオルグの左腕の手首に傷を付ける。

普通であれば物をまともに持つことなんて難しいはず―――しかし次の瞬間―――


ゲオルグ「うらぁぁぁぁぁぁぁっ!」


ブォォォンッ!!

裂帛の気合とともにゲオルグの斧が周囲を薙ぎ払う


クルーゼ「(なんでだ!?わっかんねぇけど痛みが無いのか!?腱が切れてんのになんで動ける!?)」

ラウル「クルーゼ!ゲオルグの様子が変だ!もう1対1にこだわる必要なんて――」

クルーゼ「もう少し!もう少し待ってくれ!!」


ラウルの声かけにも、それを制止するクルーゼ

ただラウルもカエデも、この瞬間も飛び出せる準備をすでに終えている。


クルーゼ「ちゃんと、ケリは、つける、から」


息を切らせつつも、二人に向かって決意を示すクルーゼ。

ふたりは「次は有無を言わさず飛び出す」という意思を示すように、武器に手をかけながら、

クルーゼに対し頷きを返す。


クルーゼ「次で、最後にしよう、ゲオルグ」

ゲオルグ「ぐぐぐ・・・ぐらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」


ゲオルグの雄叫びを前に、クルーゼは弓に矢をつがえる。

クルーゼに突っ込んでくるゲオルグの左ひざに向けて、クルーゼは素早く矢を放つ。

次の瞬間には短剣を手に突っ込んでいく。



左ひざに矢を受けたゲオルグは大きく態勢を崩すが、突っ込んでくるクルーゼを確認すると斧を切り上げる形で迎撃する。

斧がクルーゼの身体に綺麗に吸い込まれていくように見えたが、クルーゼは寸前で半身になり、紙一重で斧を躱す。

その回転を利用したまま、クルーゼはがら空きになったゲオルグの脇下から、深く短剣を突き込んだ―――


*************************************************************


仰向けに倒れ込んだゲオルグの身体から大量の血液が流れていく


ゲオルグ「なんでこうなったんだっけなぁ・・・」

クルーゼ「なんでこうなったんだよ、馬鹿野郎が。」


クルーゼは俯いたまま、ゲオルグの独り言に応えていた。

クルーゼの様子に気付いているのか、ゲオルグの独白は続いていく


ゲオルグ「最初は楽しかっただけだったんだ・・・お前の親父や、ドノヴァンともバカやりながら・・・

      むかつく奴らをぶちのめすだけで気分が良かった・・・でもなお前の親父が羨ましくなっちまったんだ・・・

      ドノヴァンの方が切れ者だし、腕っぷしなら俺の方が強えぇ。でもな、みんなお前の親父の周りに集まってくるんだ・・・

      俺も同じだったはずなんだけどなぁ・・・」


ゲオルグの顔がどんどん青白く変化していく。

3人はゲオルグの命の灯が消えかかっていることを感じていた。


クルーゼ「そんなら、それを言葉にしろってんだよ・・・親父はお前の事大好きだったじゃねぇかよ。」


ラウルの位置からクルーゼの顔を伺うことは出来なかったが、その背中はとても寂しそうに見えた。


ゲオルグ「そうだなぁ・・・。ごめんなぁ、クルーゼ」

クルーゼ「―――!!」


ゲオルグの穏やかな声に、思いを言葉にすることが出来ないクルーゼ

そんなやりきれない空気を、場違いな笑い声が壊していく。


???「アハハハハハ!ヤッパリヒトハオモシロイネ!

    ケッキョクジブンデジブンノクビシメテルンダモノ!」


ラウル「!? 誰だ!?」

カエデ「なにもんや!?」


ラウルとカエデは声のした方向に視線を移すが、そこには誰の姿も捉えることが出来ない


???「チョーットカンジョウノタガヲハズシテアゲタラチョーシニノッチャッテサ♪

    コウイウノナンテイウンダッケ?

    コッケイ?ソーソーコッケイダヨネ!アハハハハハ♪」


クルーゼ「どこに居やがる・・・?それに今なんつった・・・?」

ゲオルグ「箍を外した・・・だと。。?」


ゲオルグは蒼白な顔をしつつも、最後の気力を振り絞ってナニカに問いかける。


???「ソーダヨ?キミノキモチニハドメガカカラナイヨウニボクガオテツダイシテアゲタンダ♪

    タノシカッタデショ?

    オモウママニスキカッテデキルッテタノシイヨネ♬」

ゲオルグ「お前が頭の中にいたやつか・・・なんで・・・そんな真似を・・・?」


???「エー?ダッテソウヤッタホウガ、キ(・)ミ(・)ノ(・)カ(・)ン(・)ジ(・)ョ(・)ウ(・)ヲ(・)オ(・)イ(・)シ(・)ク(・)タ(・)ベ(・)レ(・)ル(・)カラネ!」


ゲオルグ「感情を・・・喰う・・・?」

???「ヒトノカンジョウハオイシインダ!ドーオ?ボクノオカゲデスキナコトデキタデショ?

    ナニモカンガエズニアバレタキブンハドウカナ?アハハハハハ♬」

ゲオルグ「俺の好きなこと・・・違う!俺は羨ましかっただけで!殺そうなんて思って・・・!」


ゲオルグはナニカが話しかけてくる内容を受け入れることが出来ず、いつのまにか涙を流していた。


ゲオルグ「違う・・・!俺は・・・!なんで!なんでこんなことに・・・なんでだ・・・あぁ・・・」

クルーゼ「ゲオルグ!もうしゃべるな!ゲオルグ!」


クルーゼの呼びかけはゲオルグに届かない。


ゲオルグ「うわぁぁぁ・・・。うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」


ゲオルグはアジト全体に響くような声を上げると、苦悶の表情を浮かべたまま現世に別れを告げてしまうのであった。


クルーゼ「おい!ゲオルグ!おい!なんでだ!クソォォォォォ!!

      さっきから姿も見せねぇでなんなんだ!!出て来いよ!」


???「クッ・・・。プッ・・・アッハッハッハッハッハッハッハッハ!

    アーーーーーッヒャッヒャッヒャッヒャ!!!

    スゴーイ!!ヘンナサイゴ!デモオイシイ!!コレガイチバンスキ!!

    ナンテイウンダッケ?

    エーット、エーット・・・ソウ、『コウカイ』♪コレガイチバンオイシイノ~

    サイゴニタネアカシスルト、ミンナコノカンジョウヲクレルンダ♩

    オイシイナ♪オイシイナ♬」


クルーゼ「このぉぉぉぉ、下衆がっ!!!」

???「ウフフフフ~スゴークオコッテルネ♪ジャアキミノキモチモタベサセテネ♬」


声がする方に霧のようなものが集まっていくのがクルーゼたちにも見えた。

霧は次第に輪郭を持ち始める。

腕。

脚。

牙。

歪な獣の形。


クルーゼ「なんだ・・・あれは・・・」

???「グァオウアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!」


ついには大型の熊のような魔獣が姿を見せるのであった。


クルーゼ「クソがぁぁぁぁぁ!くたばれやぁ!!」


クルーゼは持っている矢を連射していく。

そのどれもが魔獣に突き刺さっていくが全く意に介さない様子でクルーゼに襲い掛かり、

勢いのまま前足をアッパーカットの要領で下から振り上げる。


クルーゼは回避行動を取るも、躱しきれないと悟り、短剣を使って受け流そうと試みるが―――


「パキィィィィィィン」


短剣は乾いた音を立てながら粉々に砕け散り、クルーゼは衝撃の余波とともに壁に吹き飛ばされる。


クルーゼ「ぐあぁっ!」

カエデ「あかん!!」


カエデは間一髪、壁の手前でクルーゼを抱きとめる


???「イマノヨケチャウンダ~♪モウスコシオイツメタラモットオイシクナリソウダネ♬」


魔獣は後ろ足で立ち上がり、クルーゼに対して煽る様におどけて見せる


クルーゼ「くそ・・・強ぇ・・・」

カエデ「クルーゼ、一度退避するで!」

クルーゼ「でも!」

カエデ「でもも、ストライキも今は無しや!!それに――――

    うちの親友がおらん状況で、あ(・)あ(・)な(・)っ(・)た(・)あ(・)の(・)子(・)は(・)止(・)め(・)ら(・)れ(・)ん(・)!!!!」

クルーゼ「へ?」


パリッ・・・


クルーゼは一瞬空気が震えるのを感じた

次の瞬間、魔獣の目の前にラウルが姿を現す


???「ア゛?」


滑らかな動作でラウルの拳が魔獣に触れる

拳が触れた場所から大量の雷撃が迸り、魔獣の身体を穿ち、吹き飛ばす

魔獣の身体はアジトの壁にぶち当たり――


ドガァァァァァン!!


盛大な音を立てながら、魔獣の身体が地に伏していくのが見えた。

訳の分からない状況にクルーゼが唖然とする中、ラウルは魔獣に対して言葉を吐き捨てる


ラウル「立て、糞野郎」



次回、「ラウル」


いよいよ1章も最終盤となって参りました。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


読みづらい場所などありましたらご指摘ください。

ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。


引き続きよろしくお願い致します。

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