「狩るもの 狩られるもの」
第22話 「狩るもの 狩られるもの」
間もなく日が沈み始めるか、という夕刻。
荷馬車が数台、護衛を引き連れて街道を進んでいく。
護衛役の義賊A「あいつら、本当に来るんかね?」
護衛役の義賊B「若を信じろ。あいつらが焦るように頑張ってきたじゃねぇか」
それを遠くから確認する人影
盗賊A「噂通り、本当に来やがった・・・お頭の耳に入れねぇと」
盗賊は慌ててアジトに戻っていく。
盗賊A「頭ァ!商隊です!! 噂通り商隊が確認出来ました!」
ゲオルグ「・・・規模は?」
???「オナカスイタ、オナカスイタ。ウバエルネ?タノシイネ?」
盗賊A「荷馬車は8台ほど!護衛が14~15名確認出来ました!」
???「ガマンシチャウノ?ウバウッテタノシイヨ?ホラホラホラ」
ゲオルグ「護衛は15だな?」
盗賊A「へ、へい!」
ゲオルグ「俺も出る。30人ほどついてこい。残りは拠点の護衛に回れ」
副官「頭!?多すぎませんか!?」
ゲオルグ「・・・」 ザンッ
斧が一閃し、副官の首が宙を舞う。
ゲオルグ「文句のあるやつは?」
盗賊たちは声を上げずに、ただただ首を横に振り続ける。
ゲオルグ「必ず奪え」
そう告げるとゲオルグはゆっくりと洞窟の外へ歩を進める。
部下たちは出撃の準備を整えるために慌てて走り出していく。
その後ろ姿を副官の虚ろな目だけが静かに見送るのだった。
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護衛役の義賊C「敵襲だぁぁぁぁ!敵は後方!全力で逃げろぉぉぉ!!!」
護衛の声を合図に商隊は慌ただしく動き始める。
後方から盗賊による怒号が多数響き渡る。
商隊も全力で移動するが、規模が大きいことが災いし徐々に追いつかれていく。
護衛役の義賊A「ダメだ!追いつかれる!荷は諦めろぉぉぉぉ」
義賊たちは追い詰められたように演じつつ、御者を回収しつつバラバラに逃げ始める。
盗賊たちの一部は逃げた者たちを追いつつも、多くのメンバーは荷馬車を包囲しつつゲオルグの到着を待つ。
程無くゲオルグも現場に到着し、荷を改め始める。
ゲオルグ「これで暫くは食いつなげるな・・・クルーゼの奴らめ、あいつらさえ大人しくしてりゃ・・・」
荷馬車に向かうゲオルグを後方から伺っている部下たち。
いよいよゲオルグの手によって荷馬車の中が改められたのだが―――
盗賊たち「・・・。は?」
そこにはなにも無い。
そう、食料も物品も金も。
なにも無かった。
考えが追いつかない盗賊たち。
「ヒュッ」
その為、複数の風切り音が近づいていたことにも気付けない。
「ガッ」
「ギャッ!」
「痛ぇ!!」
盗賊たちの周辺から矢が降り注ぐ。
包囲の外側にいた盗賊たちには矢が直撃し、バタバタと倒れていく
盗賊B「クソが!罠だってのか!?」
我に返った盗賊たちが瞬時に防御行動に移る中、ドノヴァンが雄叫びを上げる。
ドノヴァン「ここで終わらせる!ついて来い!!」
ドノヴァンの声を皮切りに、逃げたと見せかけた義賊たちが一斉に襲い掛かる。
一気に乱戦状態となる中、義賊の包囲した一角が吹き飛ばされる。
ゲオルグ「ちぃぃぃぃ!こんなところで死んでたまるかよぉ!」
ドノヴァン「若!ゲオルグが!」
クルーゼ「わかってる!ここは頼む!」
盗賊C「お頭!助けてぇ!」
ゲオルグ「うるせぇ!手前ぇの身ぐらいなんとかしろ!」
義賊の包囲網を抜けたゲオルグは、仲間を見捨て退却を始めていた。
それを追うクルーゼ、ラウル、カエデの三人。
クルーゼの逆襲は第二幕へと移っていくのであった。
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~~~~~~~~ 盗賊のアジト内部 ~~~~~~~~
ゲオルグ「クソッ!クソッ!!クソォォォォォ!なんでだ!なんでうまくいかねぇ!?」
ゲオルグは怒りに任せて、副官だったものの頭部を蹴り飛ばす。
それでも気が治まらないのか、斧で周囲を切り飛ばし、アジト内部は滅茶苦茶な有様となっていた。
その様子に部下たちは我先にと逃げ出し、今やアジト内部ではゲオルグ以外の人影は見当たらなかった。
ひとしきり暴れ回り、肩で息をしているゲオルグに声をかける者がいた。
クルーゼ「ようやく駄々をこねるのも終わりか?ゲオルグ・・・俺らの場所を汚してくれやがって・・・」
ゲオルグ「クルーゼェェェ・・・何故だ?なんで手前ぇに勝てねぇ・・・?俺の方が強ぇだろ?
お前の親父をやったのも俺だ!全員俺に従うべきだろうがよぉ!?」
クルーゼはラウルたちとともにゲオルグの前に姿を見せる。
その目に若干の憐みの感情を帯びさせながら、ゲオルグに語り掛ける。
クルーゼ「ゲオルグ・・・お前はバカだったけどよぉ・・・屑じゃなかったハズだろ?何があった?
なんで親父を手にかけた?あんなに仲良かったじゃねぇか?」
ゲオルグ「俺だって強ぇ! 俺だってすげぇ! なのに何であいつの周りにばかり人が集まる!
気に食わねぇ! 気に食わねぇんだよ!!
そんな時だ・・・ 声が聞こえた。『お前なら出来る』って。
それからだ。 俺はどんどん強くなった。」
ゲオルグはクルーゼしか眼中にない様子で捲し立てる。
クルーゼは黙ってゲオルグの慟哭とも思える言葉を受け止めている。
そんな中ラウルはゲオルグの言葉に違和感を覚えていた。
ラウル「(声が聞こえる?強くなった?思い込みか・・・?気でも触れたのか・・・?)」
考え込むラウルにクルーゼが声をかける
クルーゼ「なぁラウル。ごめんだけど、やっぱりあいつの相手は俺だけにやらせてくれねぇか?」
ラウル「ダメだよ」
カエデ「あかん」
ラウルとカエデは間を置かず否定する。
ここでクルーゼに何かが起こってしまっては、ドノヴァンたちに合わせる顔が無い。
クルーゼ「怒りを晴らしたいわけじゃねぇんだ・・・ただあいつの様子を見てると・・・
ここでちゃんとケリをつけてやりてぇんだ」
ラウル「だからダメだよ、それならなおさら3人で・・・」
クルーゼ「頼むよ」
どこか泣きそうな顔をして、ラウルに頼み込むクルーゼ。
ラウルは困った様子でカエデに視線を送る。
カエデは深いため息をひとつ吐き、クルーゼに声をかける
カエデ「あかんと思ったらウチもラウルもすぐに手を出す。それで良えか?」
クルーゼ「十分だ。ありがとう」
クルーゼは一歩前に出て、両手にそれぞれ短剣を構える。
その様子を見てゲオルグも斧を上段に構え、クルーゼを迎え撃つ態勢を作る。
クルーゼ「御託はここまでだ。決着を、つけよう」
次回、「決別と嘲笑」
天気の悪い日が続くと憂鬱ですね。
あと日も短くなってきて、なんとなく寂しく思っています。
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
またご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。
引き続きよろしくお願い致します。




