↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
拠点(ホーム)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/53

「開 演」

第21話  「開 演」




・・・・・・・・・・ 『花舞の月 2日  12:00  別れた場所にて待つ』 ・・・・・・・・・・・・


ラウルとカエデはクルーゼたちと別れた場所を眺められる岩陰にて、約束の時間を待っていた。

カエデ曰く「もしこれが罠やったら、四方八方から射られて終いや」とのこと。


カエデ「そろそろ時間やけど、何の動きもないな・・・」

ラウル「たまに街道を歩いている人はいるけど、関係者っぽくないもんねぇ」

ドノヴァン「流石にそんな分かりやすく行動をしていたら、もうゲオルグと一戦交えておりますぞ?」


ラウル・カエデ「うわぁぁぁぁぁぁ!?」 ズサー

ドノヴァン「わっはっは、すまないお二人とも。驚かせてしまったようだ。」

カエデ「全く気配がわからんかったで・・・ドノヴァンさん、あんたホントに何者や・・・?」


ドノヴァン「ただの賊の一人、ですなぁ。しかしお二人とも若の戯れを汲んでいただき忝い。

      あれで分かっていただけるか、わしは少し不安だったのだが。」

ラウル「別れ際にそんな話をしてたからね。まさか本当に招待状送ってくるとは思わなかったけど」

ラウルの脳裏に、何故かドヤ顔で「雰囲気出るだろ?」と自信満々に言ってくるクルーゼの姿が浮かんだ。


カエデ「それで、知らせてくれたってことはあの下衆野郎たちをボコす準備が出来たってことです?」

ラウル「この姉、ボコすって言った」

ドノヴァン「うむ、少し期間を要したが我々の態勢の立て直しと、ある程度ゲオルグ側の弱体化は出来た。

      いよいよと思ったタイミングで、若から御二人にもお声がけしろと言われてな。

      巻き込むのもどうかとは思うのだが・・・」


ラウル「大丈夫ですよ、ドノヴァンさん。僕が混ぜてとお願いしたんです。」

ドノヴァン「それはありがたいのだが、わざわざ自ら危険に近づく事もあるまいに。」

ラウル「まぁそうかもなんですけど、あいつが大事なもん取り返すところをちゃんと見届けたいんス。」


ドノヴァンは一瞬目を丸くした。

だがすぐに、どこか嬉しそうに目を細める。


ドノヴァン「ラウル殿、もしよかったらこれからも若と良き友人でいてくだされ。

      若にとって儂の声は煩わしいこともあるのでしょうが、貴殿の言葉なら耳を貸すでしょう。」

ラウル「友だちとしてってのはクルーゼが望んでくれるなら、こちらとしては喜んでって感じです。

    でもクルーゼもドノヴァンさんの事大好きだと思いますよ?本人は絶対に言わないんでしょうけどね」


ラウルは意地悪な表情を浮かべながらドノヴァンに答える。

その答えに満足したのか、ドノヴァンは一つ頷くと移動する準備を始める。


ドノヴァン「今から本隊のところまでお二人をご案内します」

ラウルとカエデは頷きつつ、ドノヴァンの後を追うのであった。


**********************************************************************


~~~~~~~ 盗賊のアジト ゲオルグside ~~~~~~~


ゲオルグは非常にイラついていた。

クルーゼに逃げられ、人質を逃がされたところまでは、まだ。まだ自制が出来ていた。

その後クルーゼの捜索は悉く成果を出せず、アジトへの物資補給を二回に一度は潰されていた。

人的被害はそれほど出ていないが、物資は少しずつ不足してきている。


ゲオルグ「(以前までなら面倒なことはドノヴァンに丸投げていたが、これも狙いだったのか・・・?

       クソッッ!どこまでがあいつの計画していた範囲なんだ?)」


ドノヴァンはゲオルグに補給線の管理を依頼された際に、いつか来るであろう反転攻勢の為に、補給ルートや頻度に穴を仕込んでいた。

普通に補給する分には問題無いが、ルートを知っているものからは『ここが襲いやすい』というポイントを作ったのである。

無論クルーゼたちの人数規模では全ての補給ルートに戦力は割けないが、それでも読みが当たった際にはほぼ確実に補給隊の物資を奪うことが出来ていた。


???「アセッテルネ?オコッテルネ?オイシイ!オイシイ!モット!モットチョーダイ?」

ゲオルグ「お前いつもうるせぇな・・・もう殺しちまうか・・・?」

???「コロセナイクセニ!アハハハハ!ホラモウオコッテル!モットモットアセッテ!イライラスルヨネ?

     モットウマクイクハズダッタノニネ?アハハハハハハハハハハ!」


ゲオルグは奥歯を軋ませる。

補給隊は襲われる。

追えば逃げられる。

待てば奪われる。

その度に部下たちの視線に失望が混じっていく。


ナニかの笑いがゲオルグの精神を蝕んでいく。ナニかが歓声を起こす度に自分の中の大事にしていたものが擦り減っていくのがわかる。

しかし止められない。喪失感が大きくなることに比例するように、クルーゼを取り逃がした事実だけが異様な重みを持ち始める。


奪われたものを取り返したい。

あの小僧を捕まえたい。

叩き潰したい。

その思いだけが心を占めていく。


ゲオルグは自慢の斧を引き摺るようにしながら、自室を出ていくのであった・・・




~~~~~~~~ 義賊簡易拠点:クルーゼのテント ~~~~~~~~


クルーゼ「ようラウル!元気だったか?」

ラウル「クルーゼ、ご招待ありがとう。普通に元気だね・・・準備は万全?」

クルーゼ「やれることは全部やった。今夜全部取り戻してやる・・・!」

カエデ「焦りは禁物やで?うちらもいるし、落ち着いていこ?」

クルーゼ「あざす!カエデさん!頼りにさせていただきます!」


テント内でクルーゼと再会したラウルとカエデはお互いの無事を確かめつつ、これからの戦いに向けて作戦を確認していく。


ラウル「ざっくりとした状況はドノヴァンさんからも聞いたよ?どうやって攻め込む?」

クルーゼ「正直全員で洞窟に突っ込むのは悪手だと思ってる。ゲオルグ側の盗賊は少なくとも40名程度。

      半分くらいは陽動で外に釣り出したい。」

カエデ「しかしそう簡単に引っかかってくれるかね?クルーゼやドノヴァンさんが囮になったとしても流石に警戒するんちゃうん?」

ラウル「最悪は俺とカエデ姉で派手に暴れよっか?」

クルーゼ「いや、それは最後の手段だ。」


ラウルとカエデが顔を見合わせる。


クルーゼは洞窟周辺を描いた粗い地図をテーブルに広げた。

クルーゼ「実はな、ゲオルグのやつ物資不足で最近かなり焦ってる。」

ドノヴァン「補給線をかく乱させたことが効いておりますな。」

カエデ「なるほど?」


クルーゼ「今夜、奴らの前に『奪えば当分困らねぇ量の物資』をぶら下げる。」

ラウル「商隊でも囮にすんのか?」

クルーゼ「おぉ!ご名答。」

カエデ「上手くいくと思うん?」


クルーゼ「そりゃ本物を用意するからな」

ラウル「本物?」

ドノヴァン「荷馬車と御者は雇ってある。中身は空だが、大規模な商隊に見える程度の台数は揃えた。」

クルーゼ「護衛はうちのモンだけどな。それに今夜の為に数日前から商隊が動くと噂を流してる。

      一応みんなで考えたんだぜ?やる価値はありそうだろ?」


ラウル「なるほど。釣り出せたら?」

クルーゼ「無事に釣り出せたら各個撃破してから、俺の仲間たちを洞窟内に先行させて陽動する。

      その隙に俺、ドノヴァン、ラウルにカエデさんでゲオルグを押さえる。」

ラウル「タイマンじゃなくていいの?」

クルーゼ「正直、ぶん殴りてぇ。でも俺一人の喧嘩ってわけじゃねぇ。」


クルーゼはフッと息を吐く。


クルーゼ「今は俺たちが奪われたもん、取り返しに行くだけだ。」

ラウル「おぉ、ちゃんと頭領してる~。」

クルーゼ「茶化すな、真面目な話だ」

ラウル「ゴメン、ゴメン」


クルーゼ「もし釣り出せなかった場合は、ドノヴァンを中心に洞窟内へ先行させる。」

カエデ「いずれにせよ、うちとラウルはゲオルグ要員てことね?」

クルーゼ「頼む、お前らの火力はおそらく俺の仲間よりも上だ」

ラウル「あんまり対人でやり合った経験は無いんだけどさ。 今回はしっかり露払いさせてもらうよ」


クルーゼの依頼にラウルは胸をドンと叩く。

カエデは静かに剣の柄へ手を置いた。

ドノヴァンは目を閉じ、一度だけ深く息を吐く。

誰もが待っていた。

奪われたものを取り戻す、その時を。



クルーゼ 「じゃあ始めようぜ」



その瞳に、もう迷いはなかった。



次回、「狩るもの 狩られるもの」

読みづらい場所などありましたらご指摘ください。


ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。


引き続きよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。