「え?その祠壊しちゃったの?」
第19話 「え?その祠壊しちゃったの?」
~~~~~~~ バルスト拠点内 ~~~~~~~
差出人不明の招待状を受け取ったラウルたち。
だが文面を見てラウルとカエデはニヤッと笑う。
ラウル「ふーん・・・準備早くね?」
カエデ「渡してくれたのドノヴァンさんやろな。ドノヴァンさんが止めなかったってことはちゃんと進んでるってことや」
ウィル「え?え?え?なんですかー!二人だけで会話進めないでくださいー!」
ラウル「いやいや、いいのよウィルさん。関わったら危ないこともあるからさ。
今回はこっちに任せておいて~」
ウィル「むぅ・・・納得いきません・・・」
文句を言いながらウィルは頬を膨らませる。
・・・何この可愛い生き物・・・
カエデ「とはいえ、約束の日までは数日あるし、防具は新調中やから、しばらく準備期間やな。
場合によっては適当に近場の依頼を受けつつ、住む環境を整えよか」
ラウル「そだね」
フブキ「くあぁぁぁ・・・わふぅ。。」
ラウルの返事に合わせ、フブキが大きなあくびをするのであった。
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ラウル「まーだかなっ♪まーだかなっ♪」
カエデ「ええ加減落ち着きや?そろそろ来る時間なんやし」
手紙が届いて数日後。
ラウルたちが注文していた装備が完成した。
ラウルの気持ちを察したのか、どんどんと入口のドアがノックされる。
ガランドラ「お邪魔させていただく」
グレイシア「お邪魔します!」
カエデがドアを開け、迎え入れるとガランドラとグレイシアがホームの中に入ってきた。
二人は運んできた荷物を部屋の中央に置き、グレイシアが荷解きを始めた。
ガランドラは部屋をゆっくりと見回すと、何かを考え込むように目を閉じる。
ラウル「?どうかなさいましたか、ガランドラさん?」
ガランドラ「いや、何でもないのだ。そうだラウル殿、預かっていたリクエストはこのようなもので如何だろうか。」
ガランドラは、左腕で抱えていた中ぐらいの包みを解き、ラウルに手渡す。
ラウルの手には黒狼の爪と毛皮を使用したガントレットが託されたのであった。
ラウル「おぉ!かっこいい!」
ガランドラ「見た目だけではないぞ。斬撃をなるべく吸収できるように、強靭な黒狼の毛を堅く編み込ませていただいた。
軽量だが、その辺りの剣などでは切り裂く事は勿論、突き通すことも難しいであろう。
衝撃自体にも強くはあるが、ある程度自身でも後に跳んで衝撃を殺すなど工夫をしないと、腕があまり保たないであろう」
ラウルは早速ガントレットを身に着ける。
付けていない状態と重量は然程変わらず、使い勝手に問題はなさそうだ。
ガランドラ「小手部分の黒狼の爪は、手首部分にアタッチメントとして換装が出来る。
この状態であれば、もし片手剣に切り替えが難しい状況で打撃が効きづらい相手が現れてもやれなくはないはずだ。」
ガランドラの説明に慢心は無く、武具への過信を戒めるような意図さえ感じられる。
ラウル「ガランドラさん、ありがとうございます。正直想像以上でした!大事に使わせていただきます!」
ガランドラ「うむ、とはいえ武具よりも自身の命を最優先して欲しい。武具などどうにでもなる。
そのために我々鍛冶職人はいるのだからな。さて、あちらの方も装備が完了したようだ。」
ラウルは振り返るとカエデが新しいレザーアーマーを装備していた。
ガランドラ「名付けるなら黒狼の旅装ってところか・・・レザーマントは着脱可能だ。
闇夜であれば身を隠すことにも使える上、寒い地域に行くなら多少の保温機能はあるはずだ。
二人とも運動性を重視すると思ったので、可動域をなるべく邪魔しないように工夫してみたのだが。
カエデ殿具合はいかがだろうか?」
カエデ「ふむ・・・(大剣ブォンブォン)特に問題ないどころか、鎧特有の動きづらさが全くないな。
ホンマにありがとう、ガランドラさん!頼んで良かったわ!!」
ガランドラ「気に入ってもらえて何より・・・カエデ殿の装備はグレイシアがかなりこだわって作ったのだ。
礼なら孫娘に言ってもらえると儂も嬉しい。」
カエデ「そうだったんか、ホンマありがとうグレイシアさん!」
グレイシア「エヘヘ・・・感想聞くまで緊張しましたが、喜んでくれてあたしも嬉しいです!」
ガランドラ「基本コンセプトはラウル殿の方も同じだ。精々これで暴れまわってくれれば我らも職人冥利に尽きる。」
ラウルとカエデは何とはなしに目線を交わす。
ラウル「これで今できる準備は整ったかな?」
カエデ「招待先では歓迎されるだろうからね、たくさんお相手せなあかんな♪」
ラウルとカエデは来るべき日を見据え、グータッチを交わす。
ガランドラはその様子を見ながら満足げに頷くのであった。
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新装備を得てからの2日間は生活環境を整えることに時間を費やすことになった。
カエデは簡単な依頼をこなしつつ、ギルドに入り浸ってアイシャと料理を教え合ったりしている。
ラウルはフブキを連れつつ、ウィルにも協力をしてもらいながら、拠点設備を補修して回っていた。
何とか簡易厩舎の準備が終わり、リビングでぐったりしているラウル。
ラウル「やっと馬繋ぐ場所が出来たな・・・早く稼げるようになって、次から大工さん呼べるようになろ・・・」
ラウルの視界の端で白いもこもこがよちよちと歩いているのを捉える。
ラウル「フブキ~?また狩りの練習か~?あんまり無理すんなよー?」
フブキ「わふぅ!」
この拠点に来てから、フブキは夜になると周辺の野生動物を相手に狩りを行っていた。
まだ子狼ではあるがウサギを毎晩2~3羽狩ってくるので、食材の足しにはなっている。
カエデ「ラウル~?ちょっとギルドの方行ってくるねー?何か仕入れで困ってることあったら『風見鶏』にも声かけるで?」
ラウル「あー、仕入れは今のとこ平気だよー?またアイシャさんのとこ?」
カエデ「そーよー。あの子やっぱり料理むっちゃ上手いねん!勉強になるなー思うて。」
ラウル「おっけー。あんまり遅くならないようにね~」
カエデ「ほーい」
カエデも最近はギルドに行く事が多い。
出会いはどうあれ、アイシャとは良い友人関係を結べているようだ。
ラウル「んあ~~~~!俺も庭でちょっと体動かそうかな~」
ラウルが使っている剣術や体術は、意外にもグラーフ直伝のものである。
野営時でも合間を見て型稽古のようなものは続けている。
庭に出ると鮮やかな金月が目に入る。
ラウル「なんか久々に金月見る気がする~~~!さて、まずは基本・・・から・・・あれ?」
ラウルは庭の様子に違和感を覚えるが、すぐに何がおかしいか理解が出来ない。
ラウル「んー?井戸が光ってる?何か反射・・・するわけないか。蓋してるし」
見れば、井戸の蓋の隙間から淡い光が漏れ出ている。
ラウル「さて、一体何があるのかな・・・っと」
興味のまま井戸の蓋を外し始めるラウル。
井戸の底をのぞき込んでみると、水面よりもやや上の壁から光があふれていることに気付く。
ラウル「横穴・・・?取水口・・・って感じでもないな。いやー気付かんかったなーあんなの」
ラウルは耳を澄ますが、生き物が動いているような音は聞こえない。
ラウル「なんにせよ、行かなきゃわかんないよねっと!」
石を敷き詰めた内壁の凹凸を利用して、ラウルは慎重に井戸の中を降りていく。
横穴はラウルがしゃがみながらなんとか進める程度の高さしかない。
奥の方から溢れる光によって先は見通すことが出来、僅かながら風を感じることもできるので
窒息という最悪のケースもなさそうだ。
意を決し、ラウルは横穴を進む。
十五メートル。いや二十メートルほどだろうか。
まっすぐ進んだ先には、広間のような空間が広がっていた。
広間は中央部分に向かって数段の段差があり、中心部分では祠が光を放っている。
ラウル「あからさまに怪しいねぇ。まずは祠以外から調べっか」
独り言を漏らしながら、ラウルは部屋の調査を始めた。
内壁には特別刻まれているものはないものの、明らかに人の手が入った壁面になっている。
よく見ると何か特別な鉱物が含まれているのか、壁面自体も淡い光をたたえている。
他に目立ったものはなく、残すは祠の調査を残すのみになってしまった。
ラウル「なんかなー。あからさまに怪しいところ見るのは嫌だなぁ・・・」
祠に近づくため、ラウルは恐る恐る段差を進む。
祠までもう一段というところで、その視界は突然天井を向いていた。
段差部分が老朽化で脆くなっており、祠に向かって崩れ落ちた。
ラウルは尻もちをつくような恰好で倒れ込み、後頭部を強かに床に打ち付ける。
ラウル「ぐおおぉをををおおおおををおぉぉをぉおおおお!」
ラウルがあまりの痛みに床をごろごろと転がったその時―――
脚が運悪く、祠の根元部分に当たる。
パキッ
ラウル 「え?」
祠全体に縦に亀裂が走る。
次の瞬間、祠は嘘のように簡単に砕け散ってしまった。
ラウル 「えっ?えっ!?大丈夫これ!?」
数秒待つ。光は収まり、何も起こらない。
ラウル 「――セーフ?」
ラウルの独り言にも周囲は静まり返ったままだ。
ラウル「良かったぁ・・・ふぅ・・・」
??? 「え?その祠壊しちゃったの?」
ラウル 「え゛?」
次回、「月明かりに照らされて」
各地で雨が凄いですね。
皆様、身の安全を第一に行動ください。
読みづらい場所などありましたらご指摘ください。
ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。
引き続きよろしくお願い致します。




