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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
拠点(ホーム)

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「招待状」

第18話  「招待状」



ラウル「ぬぅ・・・おんもい・・・しんどい・・・」

カエデ「がんばりやー男の子~、見つけた鍛冶屋まではもうすぐやで~」

二人は牧場主に結果を報告すると、仕留めた狼たちを荷台に乗せて、鍛冶屋まで装備強化の相談に向かっていた。


牧場主はいたく感動し、別れ際にカエデへ向かって「できた彼氏だな」と声を掛けた。

当然カエデは満更でもない顔をしていたのだが、


ラウル「いや、姉っス」


間髪入れずに放たれたラウルの一言で、その表情は粉砕された。

次の瞬間、ラウルの頭に見事な手刀が炸裂したのは言うまでもない。

ナンデェ!? ウッサイ!


早朝の為、まだまだ人通りは少ないが道行く人々は荷台の上を凝視していた。

荷台に積まれているのは、この辺りではさほど珍しくない黒狼だ。

だが、その死骸は異様なほど傷が少なかった。

しかも荷台を引いているのは、町の人々から見ればまだ若い冒険者の二人。


「あいつらが狩ったのか・・・?」

「流石に他のやつが狩ったのを運んでる小間使いじゃないか?」

「流石に・・・。なぁ?」


周りからのひそひそ声を聞き、カエデは静かに眉を顰める。

カエデ「うちらがやったっちゅうに・・・そんなに信じられんかな・・・」

ラウル「まぁ、まだ僕らも新顔だしね。そのうち分かってもらえるよ~」


冒険者ギルドの前に差しかかったその時。

勢いよく扉が開き、中からアイシャが飛び出してきた。


アイシャ「ちょっとカエデ!ラウルくん!どーしたのその黒狼!」

ラウル「あ、アイシャさんおはよーございます」

アイシャ「うん、ラウルくんおはよー♪じゃなくて! ひょっとして依頼のやつ?」

カエデ「せやでー、昨晩ラウルと協力して狩ってきてん!ニヒヒ」


カエデはアイシャに誇らしげな顔を見せる。


アイシャ「ここまで損耗率が低い状態なんて珍しいわね・・・やるじゃない!それでこそ我が弟子!」


アイシャはそんなカエデに見向きもせず、ラウルを褒め称えた。


カエデ「ヒトノデシニチョッカイカケルノ、ヤメテモロテイイデスカネ。。。?」

アイシャ「ヒッ!ソンナチョッカイナンテカケテナイワタシシンジテカエデオネーサン?」

カエデ「オナイドシヤロガイ! ビシッ!」

アイシャ「アウッ!?」


クリストフ「朝から女性陣はにぎやかだね・・・おはようラウルくん。どれも素晴らしい状態の黒狼だね」

ラウル「おはよーございます、クリフさん。昨晩頑張って狩りまして。」

クリストフ「これだけ状態の良い素材なら、良い防具が作れそうだね。ギルドに卸す気はあるかい?」

ラウル「あー・・・いや。カエデ姉が昨日良い工房見つけたみたいで、そこに持ち込む予定なんです

     カエデ姉ー!!なんて名前だっけー!?」

カエデ「モグラノマドロミヤデー」


クリストフ「土竜の微睡か。最初から良いところを探し当てるもんだね」

ラウル「これも知り合いの商人が紹介してくれたんです。縁って大事ですね」

クリストフ「そうだね。縁というものは、そう簡単に得られるものじゃない。大事にするんだよ。」

ラウル「はいっ!」


ラウルはクリストフへ一礼すると、そのまま荷台を引いて歩き出した。

クリストフがその背を見送っていると、

「マテヤー! ラウルー!」

置いていかれたカエデが慌てて追い掛けていく。

「オイテクヨー? カエデネエ?」

「ソレヲイウナラマテヤー!」


*******************************************************************************


~~~~~~~ 土竜の微睡(もぐらのまどろみ) ~~~~~~~


地底族の女性「(すごい・・・黒狼だと一部欠損でも御の字なのに、ほぼ無傷で毛皮が残ってる・・・

           骨は2体・・・かな?頭蓋と胸に破損アリだな)」


ラウルとカエデが持ち込んだ黒狼の遺骸を地底族の老人が丁寧に観察していく。

その様子を見ながら、地底族の女性は遺骸の損耗率の少なさに驚嘆するのであった。


地底族の老人「グレイシア」

老人が静かに女性の名を呼ぶ。

グレイシア「はい!おじいちゃん!」

老人「牙と爪について向こうで査定を頼む。使える箇所は選り分けておいた。

    儂は毛皮の査定と防具作成の準備を進める。」

グレイシア「わかりました!」


グレイシアと呼ばれた女性は素材をもって別室へ移動していく。

老人はラウルとカエデの方に向き直り、口を開く。


老人「良い腕だ・・・これだけの質の皮を納入してくれたんだ。

    喜んで腕を振るわせてもらおう。」

ラウルとカエデはその言葉に無言でハイタッチを交わす。


老人「ふむ・・・。お嬢さん名を聞こうか、この刺突の跡は貴殿であろう?」

カエデ「うちの名前はカエデって言います。この子は弟弟子みたいなもんでラウルって言います」


『ラウル』という名前を聞いた瞬間、老人の視線が一瞬だけラウルへ向けられる。

まるで何かを確かめるかのような眼差しだったが、その変化はあまりにも僅かだった。

その為、ラウルは勿論カエデでさえ変化に気付く事は出来なかった。


老人「儂の名前はガランドラ。先ほど一緒におったグレイシアの祖父にあたる。

    見ての通り鍛冶を営んでおるが、昔は貴殿らと同じ冒険者として活動しておった。

    今回は黒狼の毛皮を使ったレザーアーマー2着、請け負わせていただこう」


カエデ「出来上がりはどれくらいかかりそうです?」

ガランドラ「今は急ぎの仕事も無いのでな。凡そ1週間ほどあれば完成しよう。何かリクエストはあるかの?」


ラウルがおずおずと手を挙げる。

ラウル「もし素材があればなんですが、バックラーかガントレットのようなものって作れますか?

    ガントレットであれば両腕分を希望するのですが・・・」

ガランドラ「ふむ・・・何故に望む?」

ラウル「自分の得物は片手剣のほかに格闘も嗜みます。

    基本は回避なんですが、攻撃を避けられない時ももちろんあります。その時の生存率を上げたいんです。」


ラウルは低姿勢ではあるが、しっかりと理由をガランドラに伝える。

ガランドラ「ほぉ・・・生き残るため・・・か。今すぐ約束は出来んが、爪の素材が足りるようであれば検討しよう。」

ラウル「ありがとうございます!」


ガランドラ「出来上がった防具は拠点に届けさせよう。まだギルド宛で良いだろうか?」

カエデ「いや、色々ありまして・・・今後・・・えーと多分皆さんが幽霊屋敷と認識している屋敷を拠点にします」


ガランドラは今度は二人にもわかるくらい表情を崩し、次の瞬間大きな声で笑い出した。


ガランドラ「あっはっはっは! ゴホゴホ まさかあの屋敷を使う冒険者がまた出るとは思わなかったぞ!

      はっはっはっは!これは面白い、気に入った!」


ラウルとカエデはガランドラの変化についていけずポカンとしてしまう。

ガランドラの笑い声にグレイシアが驚いて戻ってくる。


グレイシア「どうしたのおじいちゃん?そんなに笑うなんて珍しいわね?」

ガランドラ「いやグレイシアよ、スマンスマン。あまりにも愉快だったものでな。」

グレイシア「んー?変なおじいちゃん?」


ガランドラは笑いをこらえながら二人に話しかける。

ガランドラ「大変失礼した。まずは二人とも採寸をさせていただこう。グレイシア!カエデ殿の採寸を頼む」

グレイシア「任せて、おじいちゃん。カエデさん、こちらへどうぞ!」


二人は何か釈然としない気持ちにはなったものの、採寸などをする間に忘れてしまうのであった。


*******************************************************************************


~~~~~~~ 幽霊屋敷あらためラウルたちのホーム ~~~~~~~


ウィル「わ~~~、ここがラウルさんたちの拠点になるんですね~~。」

拠点内のリビングで、ウィルが珍しそうに周囲を確認している。

一通り眺めた後、ウィルはギギギッと音が出そうな動きでラウルの方を振り向いた。


ウィル「でも、幽霊屋敷?なんですよね?」

ラウル「そうだよー?」

ウィル「そうだよー、って良いんです?」

ラウル「身の危険を感じたらちょっと考えるよ~」

カエデ「色々思うところはあるが、今は飲み込んどる・・・」


ラウルは気楽に答えるが、カエデには色々葛藤はあるように見受けられた。

まさか添い寝につられて即契約したとはウィルも思うまい。


ウィル「じゃあ今後はこの場所に必要な商品を届けるようにすればいいですね?」

カエデ「そうしてもらえると助かるわ~。拠点に戻ったのはどうやって伝えればええ?」

ウィル「んーどうしようかな・・・ギルドにはうちのスタッフも常駐してるので、そこで声掛けてもらうのが良いかも?」

ラウル「お店の名前は?」

ウィル「風見鶏商店っていいます!良い商品のためなら東西南北どこでも現れますよ!って意気込みを込めて エヘヘッ」


エヘヘとはにかみながら頭を掻くその姿は、美少女のそれである。

ウィルよ、成人男性がそれでいいのか。良いんだろうな。最早何も言うまい・・・


ラウル「オッケー、じゃあギルドに寄ったときに声かけるようにするよー。あと、こいつの餌とかあるかなぁ?」

ラウルはリビング内で寝っ転がる白いモフモフを指差す。


ウィル「あれは・・・?」

ラウル「子狼。拾って家族にしたった」

ウィル「えぇ・・・じゃあ一応肉食かぁ・・・干し肉とかで良いのかなぁ・・・?」

カエデ「周りの林に生息してる小動物くらいなら自分で狩れるとは思うんやけど。長期で出かけるときにどうしようか?」

ラウル「それも含めてアイシャさんに相談してみようよ?たまに様子見るくらいなら幽霊屋敷でもやってくれるかもだし」


ラウルはカラカラと笑いながら、白いモフモフを抱き上げる。

ラウル「まずはお前の名前を付けなきゃなぁ。何が良いかな?」

カエデ「真っ白やし『シロ』で良いんちゃう?」

ラウル「カエデ姉、俺と同じくらいネーミングセンス悪くね?」

カエデ「・・・・・・。(スパァーン!)」 アイタァ!

ウィル「ちょっとモジって『ハク』とかどうですか?」

ラウル「悪くないけど・・・もう一押し!」


3人でうんうん唸るがなかなか良い案が出ない。

ラウルがふと子狼を見ると、まだ落ち着かないのか小さな身体をプルプルと震わせている。


ラウル「フブキ・・・」

カエデ「うん?」

ラウル「フブキってどうだろう?ほらカエデ姉が教えてくれたじゃん。もっともっと北に行くと白い氷玉が空から降ってくるって。

    『雪』っていうんだっけ?それが激しくなると『吹雪』っていうんでしょ?」

カエデ「じゃあ『ユキ』の方が可愛ええやん?」

ラウル「『フブキ』の方がカッコいい!」

カエデ「えぇ・・・まぁラウルが良いなら良いんちゃうん?あとは本人?次第やけど」


ラウル「どうかな?お前の名前、フブキって気に入るかな?」

子狼「うー?わふわふわふ!」


分かっているのかいないのか、子狼はラウルの周りをぐるぐると回り出す。

ラウル「なんか喜んでるから、フブキで決定!」

フブキ「わふぅ!」


ラウルはフブキを抱き上げ、無邪気に喜んでいる。

カエデは腕を組みながらやれやれと言った表情をし、ウィルは楽しそうに眺めている。


ウィル「そうだ!ラウルさん宛のお手紙をお預かりしてるんでした!」

ラウル「へ?だれから?」

ウィル「僕が直接お預かりしたわけではないのと、送り主が書いてないんですよね・・・

    どうやら精悍な顔つきのご老人だったようですが・・・

    流石に開封はしてないので、ご確認いただけますか?」


ラウル「ほーん?(ガサゴソガサゴソ)」

ラウルは封筒を丁寧に開封していく。

中に入っている紙には一文のみ。


『花舞の月 2日  12:00  別れた場所にて待つ』


差出人の名は無い。

だが、その文字を見た瞬間。

ラウルには誰からの手紙なのか理解できていた。



次回、『え?その祠壊しちゃったの?』



後日、アイシャにフブキを紹介した際に、ズキュゥゥゥゥンという音とともに

胸を押さえて倒れたとか、血を吐いたとか・・・


読みづらい場所などありましたらご指摘ください。


ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。


引き続きよろしくお願い致します。

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