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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
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「炎の料理対決!:カエデ」

第15話  「炎の料理対決!:カエデ」



カエデは炊き上がった釜の蓋に手をかけた。

深呼吸をひとつ。そしてゆっくりと蓋を持ち上げる。

ふわり。

立ち上った湯気と共に、優しい香りが食堂中へ広がった。

出汁。茸。そしてサルモン。

派手さはない。

だがどこか懐かしく、腹の奥を刺激するような香りだった。

香りをかいだ冒険者たちに静かなざわめきが拡がっていく。


野次馬「なんかホッとする香りだなぁ / 最後に実家帰ったのいつだっけ・・・ /

    お母さーーーーん!!」


カエデはそんな様子に苦笑しながら、しゃもじを手に取った。

炊き込みご飯を混ぜる。

サルモンの身がほろりと崩れ、白い米と混ざり合う。

黄金色の茸が顔を覗かせる。


カエデ「こっちはサルモンと茸の炊き込みご飯や。そんでもって……」


炭火の上で焼かれていたサルモンを持ち上げる。

表面には香ばしい焼き色。

味噌が軽く焦げた香りが鼻をくすぐる。

ジュウッ

脂が滴り落ちる。それだけで会場が静かになった。


カエデ「サルモンの味噌焼き。あと味噌汁と卵焼きやな」


そこに特別な技法は無い。

見た目も豪華ではない。

料理人として勝負するなら、もっと映える料理はいくらでもある。

しかし。


カエデ「ラウル」


名前を呼ばれ、ラウルはきょとんとカエデを見る。


カエデ「いっぱい食べ」


それだけだった。

会場は静まり返る。

ラウルも一瞬だけ言葉を失う。

カエデは少しだけ照れたように笑った。


カエデ「昔からそうやったろ?怪我した日も、稽古で泣いた日も、

    なんか落ち込んどる日も」


しゃもじでご飯をよそう。慣れた手つきだった。


カエデ「食べたら元気になっとった」


ラウルの前に茶碗が置かれる。

炊き込みご飯。味噌焼き。味噌汁。卵焼き。

派手さは一切ない。

だがラウルはその香りを知っていた。

村で。家で。旅に出る前まで。

何度も食べた香りだった。


ラウル「……ずるいなぁ」


小さく呟く。


カエデ「なーん?」


ラウルは答えない。

代わりに炊き込みご飯を口へ運んだ。

ぱくり。

サルモンの旨味。出汁の香り。茸の食感。

全部が自然に溶け合っている。

続けて味噌焼き。

表面は香ばしく、中は驚くほど柔らかい。


気付けばラウルの箸は止まらなくなっていた。

また一口。

そしてもう一口。

気付けば茶碗の中身は半分以上無くなっていた。


ラウルだけではない。

クリストフも、何とゴロウズも黙って黙々と食べている。

ラウルは一息ついて言葉を紡ぐ


ラウル「なんて言えばいいんだろ」


会場全員が固唾を呑む。


ラウル「帰ってきた感じがする」


そして。


ゴロウズ「おかわり」


ゴロウズが既に二杯目を『どんぶり』によそっている


観客一同 「早ぇよ!!ってかどんぶり使うな!」

クリストフ「俺も」

アイシャ 「パパァ!?」

観客一同 「ギルマス!?」

クリストフ「な、なんだよ・・判定とは別だ別。」


その様子を見つつ、ラウルとカエデは微笑み合うのだった。


カエデ「・・・おかわりあるよ?」

ラウル「ありがたくいただきます」

カエデ「にこー♪」


***********************************


おじさん 「結果はっぴょ~~~~~~~~~~~う!!」 ドンドンドン♪


お姉さん 「それじゃあ審査員の人たちは準備をお願いしまーす!

      アイシャちゃんの料理が良いと思ったら白い旗、

      カエデさんの方がおいしいと思ったら赤い旗を挙げてね♡」


おじさん 「それじゃあ一人ずつ聞いていくぜ!まずはクリフさん判定を!」


クリストフ「・・・・・・・」 サッ!


おじさん 「クリフさんは白い旗!さすがにアイシャちゃんだー!

      炊き込みご飯おかわりしたからちょっと不安だったが、

      流石に愛娘の料理は特別だったようだ~!」

アイシャ 「(ホッ・・・。でもパパ妙に溜めたわね・・・悩んだわね・・・)」

お姉さん 「さて次はラウルくんよろしく~♡」


頭を抱えて悩んでいる・・・かと思いきや、割と落ち着いているラウル。

ラウルの手には赤い旗が握られていた。


ラウル 「正直、美味しさだけなら決められなかった。

     アイシャさんの料理は初めての味ばかりで、本当に楽しかった。

     もっといろんな料理を食べてみたいって思った。

     カエデ姉の料理は違った。

     美味しいより先に、『帰ってきた』って思った。

     だから今回は……カエデ姉かな」


お姉さん「なんだか良い話ね・・・グスン。

     バルストの街も『帰ってきた』って思ってね、ラウルくん・・・。

     というわけでラウルくんはカエデさんを選びました~!」


おじさん「いよいよ、最後の審査員だ!ここで勝負が決まるぜ!

     さぁ最後だぞ、ゴロウズ・・・。なぁゴロウズ・・・?

     ずーっと突っ込もうと思ってたんだけどさ・・・

     お前なんでまだ食ってるの???」


アイシャとカエデの料理に触発されたのか、既に全然別の料理にまで手を付けているゴロウズ。

現在はクリームシチューに舌鼓を打っている。


ゴロウズ「だって・・・美味しい・・・」

おじさん「美味しいのはわかってんだよ!?

     ってか二人の料理でもないんだよ!今食べてんのわ!

     判定して!ちゃんと今すぐ!ハリーハリー!」


ゴロウズはそれぞれの手に持った旗を見ながら一瞬思い悩む・・・

が次の瞬間、彼は迷わずに諸手を天に高く突き上げた!


ゴロウズ「引き分け!引き分けだから後日もう一勝負!」

おじさん「そうじゃねぇぇぇぇぇぇ!!そうじゃねえだろ、

     ゴロウズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

野次馬 「おい、賭金どうなんだ!? /

     こっちはアイシャちゃんに一か月分の食費賭けてんだぞ!? / 

     おい!胴元がいねーぞ!探せ!!」


ゴロウズの食い気優先な審査により、現場は一気に大混乱となる。

ギャーギャーと騒がしい中、アイシャとカエデはお互いの健闘を称える


アイシャ「ラウルくんに褒められてるのに負けた気分だわ・・・流石ね?」

カエデ 「ここで負けたら今まで長い期間餌付けしてきた甲斐がないやろ?

     でも良い勉強になったわ~。

     依頼がない日は教えてもらおうかな、料理」

アイシャ「あ、それ良いわね?カエデもさっきの料理わたしに教えてくれる?」

カエデ 「もう呼び捨てかい苦笑 ま、嫌いじゃないけどな?」


握手を交わす二人。

周りの騒動をよそに今後長く続く友人関係がまた一つ結ばれるのであった。

そしてこの混乱で師匠問題があやふやになりホッとするラウル。

その背中をツンツンとつつく存在がいた。


リューネ「おっすおっす」

ラウル 「リューネ!?」


そこには洞窟で別れたリューネがいた。


ラウル 「わービックリした!ってかゴロウズさんがいるなら近くにいるか」

リューネ「バルストの街に行くって言ったじゃん・・・ね、ラウル教えて?」

ラウル 「ん?どした?」

リューネ「ラウルと仲良くなるには・・・料理出来なきゃダメ?」

ラウル 「そんなことないよ?なんでそんなこと聞くの?」


リューネ「私・・・料理苦手だから・・・」

ラウル 「そこは気にしなくても平気だって・・・

     料理が得意じゃなくても大丈夫だよ?もう友だちだろ?」


ラウルの言葉に表情を明るくするリューネ


リューネ「えへへ・・・良かった・・・ね、ラウル。

     わたし料理は出来ないけど他の事なら何でもするからね・・・?」


思わず吹き出すラウル


ラウル 「ちょーーー!なんてこと言うの!?どした!?」

リューネ「レオナがこの言い方が男の子は好きだよっていうから・・・

     ねぇ、これって私変なこと言った?(上目遣い)」


リューネが指差す先に、洞窟を一緒に脱出した鬼族のお姉さんがイイ表情でこちらに手を振っていた。


ラウル「あの人の差し金か・・・抗議しよ、今度・・・」


ワナワナと肩を震わせるラウルだったが、後から凍えるような声が背中を直撃する


カエデ 「ほーーーーーん、頑張ったお姉ちゃんをねぎらわずに、

     可愛い女の子とイチャイチャしとんのか、ラウル~?」

ラウル 「カ、カエデ姉?や、やだなー?

     イチャイチャなんかしてないよー?な、リューネ?」

リューネ「んー? (無自覚ラウルにピトッムーブ首傾げ)」

カエデ 「ラウルーーーー!!」

ラウル 「わぁぁぁぁぁぁん(´;ω;`)」


??? 「あっはっはっは!!

     相変わらず仲良くやってんなぁ!カエデ、ラウル!」


笑い声が聴こえたその瞬間。

場の空気が変わった。

ラウルとカエデは懐かしい、しかしここで聞くはずのない声の方向に同時に顔を向けた。


グラーフ「仲良いことで結構結構!

     しかしあれだな、こんな姿をもう一人の姉ちゃんが見たら、

     ちょっとは嫉妬すんのかねぇ・・・?」


ラウル&カエデ『グ、グラ爺!!?』


ラウルとカエデの声が綺麗にハモる中、クリストフだけは表情を硬くするのであった。



次回、  「ホーム」


読みづらい場所などありましたらご指摘ください。


ご感想などいただけますと執筆モチベーションに直結しますので、とてもありがたいです。


引き続きよろしくお願い致します。

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