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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
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「脱出:四の幕」

第10話 「脱出:四の幕」



~~~~~~ クルーゼ・ドノヴァン side ~~~~~~~


”キュピーーーーン”


撤退戦を進めるクルーゼの頭に天啓が下りる。

何かあったのかと声をかける部下の一人


義賊A  「お頭!何かあったんでさぁ!?」

クルーゼ「今、何か無性にラウルを殴りたくなってきた。

     爆ぜろ・・・ラウル・・・」

義賊A  「恩人に対して辛辣過ぎやしやせんかい!!?!?」


そんな軽口を叩きつつも追手を翻弄しながら陽動を続けるクルーゼたち。

そんな退却戦もいよいよ大詰めを迎える。


ドノヴァン「間もなく出口だ。皆、ここまで来たら逃げ切るぞ!!」

義賊たち 「おぉ!」

クルーゼ 「おーい頭領の台詞とるな~~~」


盗賊団の追手は近くまで迫るものの、全体的な能力は義賊側の方が高い

義賊側は一気に洞窟を抜けたのだった―――しかし―――


盗賊「洞窟内が全員じゃねぇことくらいわかるよなぁ、お前らよぉ!」


十数名の盗賊に外から先回りをされていたようだ。

馬の解放に行った仲間はまだ戻っていない。

ここで時間をかけてしまうと後方からの盗賊団本体に追いつかれるだろう。

乱戦になればこちらが不利―――クルーゼたちは対応を数瞬迷ってしまう。

前方の盗賊たちがじりじりと間合いを詰めてくる中・・・その緊迫していた空気が一瞬で吹き飛ぶ出来事が発生する。


ラウル「うわわわわ!邪魔だ、邪魔!どけ~~~!」

カエデ「待ちぃやラウル!さっきの女はなんなん!?ピトッて!?ピトッて!?

    お姉ちゃんもあんまりやったことないのに!!」


まさに盗賊たちがクルーゼたちに襲い掛かろうと思った次の瞬間。

盗賊たちのど真ん中へラウルとカエデが突っ込んできた。

乱入と同時に邪魔な盗賊を蹴り飛ばし、転ばせながら逃げるラウル。

その後ろから大剣をぶん回しながら、追いかけるカエデ。

どう見たって状況はカオスである。

そしてクルーゼはその隙を見逃さなかった。


クルーゼ「お前ら!今だ!一気に制圧すっぞ!」

義賊たち「おおおおおお!」


生じた混乱に乗じて、一気に畳みかける義賊たち。

結果、義賊たちに被害もなく退路の確保に成功するのであった。


~~~~~~ アジト入口から少し離れた森の中 ~~~~~~~


ラウル「こひゅ~~こひゅ~~~」


ラウルは変な呼吸をしながら地面に倒れている

カエデは少し遠くで地面をイジイジしている・・・


クルーゼ「ようラウル、生きてるか?」

ラウル 「た、たぶん(こひゅ~)」

クルーゼ「で、いったいカエデさんに何やらかしたんだ?

     うっすら泣いてるぞ?事と次第によっては俺がお前を泣かすが?」

ラウル 「いや、誤解なんですって。本当に。なんもしてませんって・・・」

クルーゼ「事実だけ並べろ」

ラウル 「う、うす。さっき助けた人たちの中に鬼族の女の子がいたんですけど」

クルーゼ「いたんですけど?」

ラウル 「別れ際にピトッて体を寄せられまして」

クルーゼ「爆ぜろ」

ラウル 「辛辣!!!!」


クルーゼはラウルの頭をひっぱたいた


クルーゼ「お姉ちゃんとしては弟に彼女が出来たらまずは報告欲しいだろ!?

      そういう報・連・相って大事じゃねえのか!?」

ラウル「だから彼女じゃないんですって・・・誤解ですぅ・・・」


クルーゼはクルーゼで、思考回路がポンコツであった。

そしてカエデを思う彼も彼で、どこまでもポジティブであった


クルーゼ「良いか、カエデさんは美しいが、繊細なお人なんだ・・・。

     弟のお前がその辺のことわかってやらねぇと。。アダダダダダダ!?」


そんな話をしていると、気付けば後方から美しい白馬がクルーゼの頭に噛みついている。その表情は「アタシを蔑ろにして、なに他の女の話してんだゴラァァァ!」と言わんばかりである。


クルーゼ 「クララ!クララ!痛い!痛ぁい!やめろ!やめて!

      やめてくださいお願いします!」

ドノヴァン「何をしておる・・・若・・・」


馬も無事に解放されたようで、ドノヴァンも自分の馬を引きながら、ラウルたちの元に近づいてくる。


ドノヴァン「ラウル殿、先ほどは助かりました。見事な陽動、恐れ入ります」

ラウル  「マジで偶然なんでかしこまらないでください、ドノヴァンさん。

      無事に退却戦を完遂できそうで良かったです。」


ドノヴァンと握手を交わすラウル。

クルーゼはその間も白馬に噛みつかれたままだ。


ラウル  「で、あれなんなんすか?

      お馬さんがすげー形相でクルーゼに噛みついてんすけど・・・」

ドノヴァン「ふむ、あの馬はクララと言って先代から大事にされていた馬なのだ。

      しかし奇妙な馬でな。

      姿が全く変わらんし、先代の時より全く能力が衰えておらん」

ラウル  「え!?あのお馬さんおいくつなんですか!?」


年齢の事を聞いたラウルにクララは凄い形相で睨みつける。

その強烈な怒気にラウルも「ヒッ」と小さく呻くと、慌ててドノヴァンに違う話題を振る。


ラウル  「で、ドノヴァンさん。なんでクルーゼは噛まれてるんです?」

ドノヴァン「クララは若がお気に入りでしてな。

      他の女性の話をしようものならあのように激高するのだ。

      あとは・・・」

クルーゼ 「クララ、いい加減にしてくれ?知らんけど、お前も良い年なんだろ!

      いい加減落ち着けって!」


その言葉にクララは「手前ぇ、レディの年齢を話題にするたぁどういう了見だぁ?アァン?」と言わんばかりの表情で再度激しく暴れ始める


ドノヴァン「あぁやって年齢に触れられても怒るのです。

      若はその辺よく話題にして噛まれておるが、その姿が滑稽でしてな?

      周りのメンバーも止めはせぬのです、クハハハハ」


ドノヴァンの自然な笑い声に、ラウルたちの表情も緩む

何となく和やかな空気が流れる中、一転アジトの入り口から腹の底から響くような声が轟く。



ゲオルグ「クルゥゥゥゥゥゥゥゼェェェェェェェェェ!!!

     テメェ好き勝手やってくれたなぁ!!!

     すぐに親父の後追わせてやるから覚悟しろよ!

     ドノヴァン、手前もだ!

     クルーゼと一緒に吊るし上げて、ズタズタにしてやる!!!

     俺を昔の俺と同じだと思うなよぉ!!!!!」


激高するゲオルグ。言い返そうと思ったのだろうか、やれやれといった表情で前へ出ようとするドノヴァンをクルーゼが制する。

クルーゼはゲオルグ見える場所まで歩を進め、短く、だがハッキリと宣言する。


クルーゼ「おやじのことは関係ねぇ!!奪われたもんは必ず取り戻す!!!」


宣言後、義賊の一団に退却の合図をするクルーゼ。

ラウルとカエデも馬をあてがってもらい、しばらく彼らと並走していく。


ラウル 「やっと一区切りかな」

クルーゼ「ありがとな、ラウル。

     ここまで上手くやれたのはお前が頭を冷やしてくれたおかげだ」

ラウル 「殴るしか言わなかったもんね、クルーゼ」

クルーゼ「うっせ」


まるで何年も友人だったかのような空気が二人の間に存在していた


クルーゼ「招待状。」


クルーゼはラウルに向かって、ボソッと呟く。


クルーゼ「あの野郎の反撃する準備が出来たら、送るからさ。待ってろよ?」


クルーゼはニヤッと笑う


ラウル「早めに頼むよ?クルーゼ」


二人は馬を走らせながらグータッチでお互いの健闘を祈り合う

「近いうちに必ず」

ひとつの約束が交わされたのだった


************************************


去っていく一団をアジトの入り口から睨み続けるゲオルグ。

怒りに震える彼の頭の中に、揶揄う様な声が響く。


??? 「(アーア、エモノニゲチャッタネ?ヤーイヤーイ)」

ゲオルグ「うるせぇ・・・頭の中でごちゃごちゃうるせぇんだよ・・・」


凄みのある声で言葉を返すゲオルグ。

そのままアジトの奥へ姿を消していく。


??? 「(マーボクハドウナロウトカンケイナインダケドネ?

      オイシクショクジヲスルダケダカラ、サ♪)」


愉悦にまみれた声が洞窟の闇に消えていくのだった。



次回、「バルスト冒険者ギルド」



読みづらい場所などありましたらご指摘ください。


もし知りたい設定などありましたら、幕間などで説明できたらと思います。

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