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SS・草原の少女
時系列的には二部と三部の間となります。
こちらにアップし忘れていたのでアップしておきます。
「あーはっはっはっ」
少女が笑い声を上げながら草原を駆ける。
見様によっては、微笑ましい光景と言えなくもない。
力こそ全てと信じるこの世界の住人が、漆黒の剣を手にする少女から逃げ惑ってなければだが。
少女が一度その剣を振れば、山は切断され地形すら変えていく。
逃げ惑っていた住民を追い詰めた少女は、笑みを浮かべる。
「いっくよ~」
小さな身体で漆黒の剣を振りかぶる。
追い詰められた住民達は、震えながら最後の時を待った。
「えいっ・・・あれ?」
少女は困惑の表情を浮かべ、首を傾げている。
先程迄振れば、遥か先迄切断していた剣が、何の反応も見せないのだ。
少女が名前を呼ばれ、そちらを振り向き駆け寄っていく。
「パパ」
パパと呼ばれた青年は剣を取り上げ、怒られてるらしき少女は膨れっ面をしている。
「勝手に持ち出しちゃ駄目じゃないか。あ~あ力を使い果たしちゃって、これじゃあ使い物にならないね」
「ごめんなさ~い」
素直に謝る少女にパパは手を差し出し、「いいんだよ。帰ろうか」と娘の手を引き家路につく。
これよりこの男の家の倉庫で、魔剣と呼ばれた剣は長き眠りにつく事となる 。
【完】




