表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/44

(3)

 月のない墨を流したような夜に、獣の断末魔が溶ける。


 バックルの斧は、既に闇と同化する程、どす黒い血に染まっている。


「お前さん寝ててもいいが、ちゃんと足は動かすんだぞ」


 フェイクは頷いたのか、船を漕いでいるのか、判断しにくいが「ふぁ~い」と返事をした。


 夜が明け切る前に攻撃を受け、カイル達は闇をひた走る。


 ラームは時折目を閉じ、リリスの視覚から地上を見下ろすが、濃い木の陰影しか確認出来ない。


 多分に洩れずデスイーグルも、余り夜が得意とは言えない。


「恐らくこちらで間違いないと思いますが、確実とは言い切れません。せめて明かりがあれば良かったんですけどね」


「明かりが必要なの?」


 寝ぼけまなこのフェイクが、空に向けて光を放つと、辺りは真昼の如く照らされる。


「お前さん本当に何者なんだ」


「期待していた以上ですよ」


 驚くカイルとサムをよそに、バックルは淡々とフェイクに迫る魔獣を、斧で叩き斬る。


 決して突出する事もなく、常にフェイクの位置取りを確認しつつ、バックルは動いている。


 本気でフェイクを、守るつもりの様だ。


「こっちです。距離150」


 空を先導するリリスを、追い掛ける様にラームは走り、全員がその後に続く。


 上空で旋回するリリスの下迄来て、カイル達は足を止め振り返る。


 追い掛けて来る魔獣の群れに、左右から無数の矢が放たれた。


 声も無く全身に矢を受け倒れていく魔獣達に目もくれず、カイル達は周囲を囲む討ちもらした魔獣を屠っていく。


 追い掛けて来る魔獣がいなくなったと判断すると、弓を放っていた者達が槍や剣に得物を変更して、カイル達に加勢に加わった。


「逃げたか死んだかの、どちらかと思っていたぞ」


 顔に入れ墨の入った男は、昇り始めた朝日に照らされながら、最後の魔獣を突き殺す。


「こんなのを引き連れて、戻る訳にはいかないからな。袋の口は閉じたのか?」


 頷くゼフィに、カイルも剣をしまう。


 闇雲に逃げていた訳ではない。


 昨夜のうちにリリスを使ってゼフィに事の詳細を伝え、追い掛けて来る敵を待ち構える様に連絡を取っていたのだ。


 魔獣を使役しながら、こちらの魔獣の動きに警戒しなかった、敵テイマーは罠に嵌まった。


 この先は崖になっていて、カイル達が逃げて来た道も細く、テイマーが中まで入り込んでいれば逃げ道はない。


「犠牲は一人だけか。こんなのを相手にして、運が良かったな」


 犠牲者等いないとカイルは仲間を見回すが、確かに一人姿が見えない。


「死にかけて変わったかと思ったが、やっぱりあいつはあいつのままだったか」


 帰って来る迄、ここで酒でも飲んで待ってるとしようと、カイルはその場に腰を降ろした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ