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おりゃあぁぁぁ!
威勢のよい掛け声と共に、ブウンと空気を切り裂き大斧が振られ、剣で受けようとした敵が剣諸とも切断される。
見た目はドワーフとよく見間違われる、バックルの膂力は相当なものである。
カイルは、巻き込まれない様少し距離を取り、向かって来た相手を屠る。
サムは魔法が使えぬ者には、不可視の風の壁を作りだして矢から守り、ラームは戦場を上空から使い魔の目を通して把握しつつ、自身はボウガンを使ってバックルやカイルをサポートしている。
急造とは思えない程、成熟された連係だ。
にこやかにカイルの後ろをついて来る一人を除いて・・・
「お前さんせめて剣ぐらい抜いたらどうだ?」
「人を殺したりするのはまずいから」
傭兵として戦場に来ているのに、こいつは本当に馬鹿なのか?
思わず間違えたと言いながら斬って、新しい傭兵に変えてもらった方がいいんじゃないかと真剣に悩んだ頃、ラームが敵の本陣を発見した。
「左十時の方向、距離200、敵100、魔獣レッドグリズリー確認」
「レッドグリズリーか。ちょっと厄介だな」
体長四メートルにもなる大型魔獣。
鋭い爪と人間を一撃で殺せる程の膂力、厚い脂肪に守られた身体は天然の鎧だ。
四人で掛かれば倒せない事もないが、それ相応の覚悟も必要だ。
それ以外にも、百人の兵士がいる
カイル達の手には余る。
部隊の責任者ゼフィに相談すると、本隊の一角をそちらに回し攻撃する事となり、本陣の発見者であるカイル達五人もそれに参加出来ると決まった。
いきなり大きな手柄を立てるチャンスだ。
報奨金が手に入れば、契約金を叩き返して、この戦場からおさらば出来る。
何より疫病神から逃げられるとカイルは、一人気合いを入れていた 。




