第八十三話
翌朝、ヒューゲルの言っていた通り迎えの馬車がやってきてサノス達は馬車に乗り込んだ。
馬車に乗り込むとジントが椅子に座って待っていた。
どうやら先にジントの泊っている宿屋に先に迎えに行っていたようだ。
サノスがジントの隣に座ろうとするとアマンダとカノンに止められる。
「サノスはこっち」
「そうそう」
そう言ってジントの向かいの席に座らせられる。
サノスの両隣にアマンダとカノンが座る。
「お前らなぁ・・・」
ジントが流石に突っ込みを入れるがアマンダとカノンは気にしていないようだった。
「先は長いんだもの。これぐらいいいわよね?」
「そうそう。サノスもいいでしょ?」
「仕方ないですね・・・」
サノスはアマンダとカノンの好きにさせておくことにした。
「はぁ・・・。見せつけやがって」
「そう思うなら恋人ぐらい見つけないとね」
「男の嫉妬はみっともないよ?」
「浮かれるのはいいが失敗だけはするなよ」
ジントは負け惜しみのようにそう言う。
「大丈夫。私達は失敗しないから」
そんなことを言っている間に馬車は出発する。
ここから王都まではそれなりの距離があり2週間ほどかかる予定だ。
こうして馬車の旅をすることになるとは思っていなかったが王都に行くのが今から楽しみだ。
「暇ねぇ・・・」
「そうね。暇ね」
最初は上機嫌だったアマンダとカノンだったがずっと座っていて飽きてきたようだ。
「そんなこと言っても仕方ないだろ」
「あんたがいなければ色々できるのに・・・」
「そうそう」
「お前らなぁ・・・。何を考えてやがる・・・」
「もう少しで今日の宿泊予定の街に着くはずですよ」
そう言ってサノスは窓から外の様子を確認する。
日がすっかり沈んできて夕暮れの時間だった。
周囲はヒューゲルの抱えている兵士が固めており問題が起きるはずもない。
馬車はちょうど宿泊予定の街に到着したようで一度、停車して街の中に入っていった。
馬車はそのまま宿泊予定の宿屋へと横づける。
御者が降りて扉を開けてくれる。
「お疲れ様でした。本日の宿屋に到着しました」
「ありがとうございます」
サノス達は馬車を降りると宿屋の中に入る。
「いらっしゃいませ。食事の用意もできていますがいかがしますか?」
「とりあえず食事にしましょう」
「そうね。お腹ぺこぺこ」
アマンダとカノンは食事と聞き真っ先に食いついた。
「それではご席にご案内します」
そう言って宿屋の人が個室に案内してくれる。
着席して待っていると温かな食事がすぐに運ばれてきた。
1品1品の完成度が高く満足のいく食事だった。
これだけのクオリティーだと宿泊費が高そうだがヒューゲン持ちなので甘えさせてもらうことにした。




