第八十一話
サノス達は盗賊を討伐して無事に街にまで戻ってきた。
「ふぅ。初の対人戦だったけど何とかなったな」
「そうですね。思ったよりも大丈夫でした」
対人戦で躓く冒険者は意外と多い。
人を攻撃するというのはそれだけ心理的ハードルが高いのだ。
「とにかく、早く報告して帰りましょ」
「そうね。私も早く水を浴びたい」
「気をつけてたつもりですけど結構、返り血で酷いことになってますからね」
カノンは返り血を浴びていないが他の面々は血がびっちりとついていた。
冒険者組合に到着して受付に並ぶ。
サノス達は待ち時間の間、雑談をして過ごしていた。
「お待たせしました。ジント様。サノス様。アマンダ様。カノン様ですね。ギルドマスターがお待ちです」
そう言って受付嬢は席を立ち通路側に出てくると2階へと案内してくれる。
「ギルドマスター。お客様をお連れしました」
「入ってくれ」
ネーネがそう言うと受付嬢は扉を開く。
相変わらずネーネは書類の山に囲まれていた。
「戻ってくるのが早かったな。依頼は無事に達成できたか?」
「はい。殲滅してきました」
「うむ。これで君達は晴れてDランクの冒険者だ」
「ありがとうございます」
「よかったな。ヒューゲル。これで王都にこいつらを連れて行っても問題がないぞ」
書類の山の影からこの街の領主で伯爵のヒューゲルが現れる。
「ヒューゲル様。いらしていたんですか?」
「はっはっ。君達を驚かせたくて隠れてたんだ」
「それで、王都に連れていくとは?」
「うん?不死竜を討伐しただろ。国に報告の必要があってね。君達にも同行してほしいんだ」
「俺達がか?ほとんど何もしてないんだが・・・」
「その気持ちはわからなくもない。だが、討伐したのはサノス君だからね。パーティーメンバーである君達も無関係ではいられないさ」
「気難しく考える必要はないさ。偉そうな連中に頭を下げる。それだけしてれば問題ない」
「ネーネ。昔から思っていたけど適当だね」
「適当にやり過ごす。これは私が長い間、人の中で過ごしてきた結論だよ」
「間違っていない所がまた・・・」
「王都に行くのに冒険者ランクを上げる必要があったんですか?」
「あまりランクが低いと君達がやりにくいだろうと思ってね。最低限のランクは確保しておきたかった」
「それで、強引に昇格条件を出してきたんですね」
「その話はいいじゃないか。無事に昇格条件を満たしたわけだからね」
「確かに悪い話ではないですけど・・・」
「悪いが王都に向かうのは明日になる。準備をしておいてくれるかな?」
「わかりました」
「宿の方に馬車を向かわせるから頼んだよ」
「では、我々はここで失礼します」
そう言ってサノス達はネーネの執務室を後にした。




