第七十八話
サノスは不死竜の体にウロボロスで魔法陣を描いていく。
その魔法陣は複雑でありそして芸術的な美しさを持っていた。
「よし。これでラストだ」
そう言ってサノスは不死竜の体の真ん中に剣を突き刺す。
すると、不死竜の体は白い炎で包まれる。
「これは・・・?」
ヒューゲルの配下である兵士の1人が声を上げる。
「聖炎だ。不死竜の体をそのままにしておけばアンデッドの温床になるからな」
「これが聖炎・・・。高位の神官にしか使えないはずの・・・」
前世のサノスはあらゆる分野を極めた超越者だ。
補助をしてくれるウロボロスがあるからこそ未熟な今世の体と魂でも使えているだけだが教えてやる必要もないだろう。
不死竜の体は浄化され最後に竜の心臓であるドラゴンハートだけが残された。
サノスはドラゴンハートを回収して兵士に渡す。
「お預かりします」
「流石に疲れたな。俺は休ませてもらうぞ」
ウロボロスの補助があるとはいえ、大技を放ち、聖炎での浄化は負担が大きかった。
意識が途切れる瞬間「お疲れ様」というアマンダの声が聞こえた。
サノスが目を覚ますと見慣れた天上であり今回も借りている宿屋の中だった。
「ふぁぁ・・・。結局、どうなったんだろう?」
「おはよう。サノス」
「アマンダ。カノン。おはようございます」
「サノスのおかげでこの街の危機はなくなったわ」
「そうか。不死竜は無事に討伐できたんだね」
「えぇ。体調は大丈夫?」
「問題ないよ」
「そう。ならギルドマスターが呼んでるから冒険者ギルドに向かいましょう」
「わかった」
サノスは着替えて装備を確認する。
ドワーフのお爺さんからもらった剣は腐食でボロボロになっていた為、領主であるヒューゲルから譲られた祖父の使っていた剣を腰につける。
冒険者ギルドに着き中に入る。
冒険者達の喧騒が広がり冒険者ギルドは今日も平常運転だ。
受付に向かうと受付嬢はすぐに席を立ち通路に出てくる。
「お待ちしておりました。ギルドマスターがお待ちです」
2階に上がりギルドマスターの部屋へと案内される。
「失礼します」
「入ってくれ」
ギルドマスターであるネーネの執務室に入ると凄い量の書類が積みあがっていた。
「やぁ。起きたんだね」
「ご迷惑をおかけしたようで・・・」
「いやいや。迷惑だなんてやめてくれ。君のおかげで街は救われたんだ」
「サノスは街の英雄ね」
「そうだな。君は街の英雄だ」
「やめてくださいよ。僕自身はまだまだ未熟なんですから」
「はぁ・・・。酒を飲んだ状態と素面の君。ギャップが凄いな」
そう言ってネーネは笑っていた。
「だが、どちらにせよ、君がこの街を救ってくれたのは事実だ。ありがとう。改めてお礼を言わせてくれ」
サノスは戸惑いつつもそれを受け入れた。




