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僕が英雄?記憶にないんですけど?  作者: 髙龍


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第七十四話

サノスが戦いの場に着いたときネーネが大規模な魔法で不死竜の進行速度を少しでも抑えようとしているところだった。


周囲には他の冒険者もいるがその多くは不死竜の放つ瘴気に当たられて身動きが取れない者がほとんどだった。


ネーネはその冒険者達を守る為に無理な魔法の使い方をしている。


これでは長くは持たないだろう。


まずは身動きの取れなくなっている冒険者をどうにかする必要があるだろう。


サノスは魔法を詠唱する。


その詠唱は本来、人には発声できないものだった。


「*** **** ***」


サノスの周囲を神聖な光が満たす。


その神聖な光はどんどん広がってゆき戦場全体に広がった。


戦場全体に広がった神聖な光は冒険者達の瘴気を払い、不死竜にはわずかだが怯ませる効果がある。


「今です。動けるものは撤退しなさい」


ネーネがそう言うと冒険者達は仲間を支えながら戦場を離脱する。


ネーネは指示を出しながらも次の行動に移っていた。


少しでも不死竜を街から離す為に一点集中の強風を放つ。


不死竜は聖なる光に怯んでいたこともあり街から大きく距離を開ける。


サノスはドラゴンキラーとなった剣に聖水をかけ、不死竜の前に躍り出る。


「お前の相手は俺だ」


そう言って挑発するように剣を構える。


見たところ、まだ若い個体だ。


だが、竜とは知性の高い種族だ。


こちらの言葉がわかっているのだろう。


「ぐっるっるっる」


と戦意を高めるように鳴いてくる。


そして次の瞬間、口を開け何かを溜めるような動作をする。


サノスはその意味を理解し、高速で不死竜の下まで移動すると顎を上へと殴った。


溜められたエネルギーは上空に放たれる。


竜の必殺技であるドラゴンブレスだった。


不死竜を殴ったサノスの手は不死竜の腐食によって肌の色が変化している。


体内で魔力を練り一時的に抵抗力と自己治癒力を上げる。


だが、それは一時的な対処療法でしかなく、長期戦になればサノスが不利だった。


「悪いが短期決戦で行かせてもらう」


サノスは不死竜に肉薄すると剣を何度も振るう。


昔の体ならともかく、成長途中の今の体では一撃で倒すなど不可能なことだった。


少しずつダメージを蓄積し不死竜の体力を奪うしかない。


他の竜が相手ならまずしない行動だ。


竜を相手にするなら通常は素材が駄目にならないように気を使う。


だが、不死竜相手なら構わないだろう。


取れる素材も竜の心臓であるドラゴンハートくらいだ。


不死竜はしっちゃかめっちゃかに腕を振るってくるがサノスは動きを先読みし余裕で避ける。


不快感は覚えているようだが今はまだコバエがうろちょろしている程度の感覚だろう。


本気になられる前にどれだけダメージを与えられるかが勝負だった。

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