第七十三話
「ネーネ師匠!」
「君達か」
「他の魔物はどうにかなっても不死竜はどうするんですか?」
「私が時間を稼ぎその間に街の人々を避難させる」
「倒すのは無理なのですか?」
「残念ながら倒せるほどの実力者はいない」
「もう1人の僕ならなんとかなるかもしれません」
そう言ってサノスは持っていたお酒を飲む。
「ふぅ・・・。あまり俺を頼るなと言ったのに・・・。仕方のない奴だ」
「君はサノスの前世だったね。何とかなるのか?」
「準備があればなんとかなるだろう。問題はその準備が整うまで持つかどうかだが・・・」
「何とかなるのだね?なら、命がけで時間を稼いで見せよう」
「わかった。なら、俺の方も出来るだけ急ごう」
酒を飲んだ状態のサノスはそう言って冒険者ギルドを後にした。
冒険者ギルドを出たサノスは鍛冶屋に突撃した。
「邪魔するぞ」
「お主は・・・。前会った小僧とは別人だな」
「細かい話は後だ。設備を借りたい」
「何か起こっているのは知っているがそうやすやすと設備を貸すと思うか?」
「悪いな。時間がないんだ。邪魔をするってなら少々手荒いことになるぞ」
「冗談で言っているわけではなさそうだな。お前の一族はどうなっていることやら・・・」
そう言ってドワーフの親父は道を開けてくれた。
「まず、謝っておくぞ。お前がくれた剣だが駄目にするだろう」
そう言って道具を吟味する。
「駄目にするって・・・。相手はそんなに悪いのか?」
「普通の竜ならともかく不死竜だからな。腐敗で間違いなく使い物にならなくなる」
「なるほど・・・。確かに不死竜相手なら仕方ないか。それで、道具を借りて何をする?」
「見てればわかる」
そう言って工具を手にするとサノスは剣に文字を掘り始めた。
「これは・・・。ルーン文字か?」
「わかるとはさすがだな」
「熟練の技師でも失敗率が8割を超える技術だぞ」
「問題ない。俺なら成功率は100%だ」
サノスは魔力を込めつつルーン文字を刻み続ける。
「よし。完成だ」
「それで、これはなんて書いてあるんだ?」
「ドラゴンキラーだ」
「なるほど。竜を相手にするのにこれ以上、相応しい武器はないな」
「ついでといっちゃなんだが、聖水は持ってるか?」
「鍛冶用で少しならあるが・・・」
「悪い。譲ってくれ」
「わかった。不死竜を何とかしてもらわねば死ぬしかないんだ。いくらでも持っていけ」
「感謝する」
サノスは聖水と自分で作ったドラゴンキラーを手に鍛冶屋を飛び出した。
ネーネが時間を稼いでいるはずだが、元Sランクと言えど1人では限界があるだろう。
出来る限り急ぐ必要がある。
サノスは風魔法で屋根の上に登ると最短距離で禍々しい気配のする方向に全力で向かった。




