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小人の辞  作者: EndoArisa


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19/30

発芽不良◇フラグメント(蜃気楼/落下/ギチギチ/低い空/亡年のメモ)

――――――

蜃気楼

「天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである。同時代は常にこの一歩の千里であることを理解しない。後代は又この千里の一歩であることに盲目である――」云々(侏儒の言葉より)


 それで、その「天才」とやらの実像はどこにあったのだろうか?

ある老人:いやはや、あの蜃気楼を追いかけて早数十年、思ったより遠いもんだ。はて?やつはどこに行った?……や!いつの間にか、わしの後ろ、およそ千里も後ろにおるではないか!


――――――

落下

 落ちゆく木の葉にとって、あらゆる風は追い風である。

 落ちゆく小人にとって、あらゆる風は向かい風である。

…とか、適当に言ってみただけだ。私に吹いていた風が向かい風かどうかなんて、考える余裕もなかったよ。


――――――

ギチギチ

 歯車は二つより一つの方がよく回る。少なければ少ない方がよく回る。それなら、頭がうまく回らないというのは、頭の中の歯車が欠けたということではなく、増えてしまったということだろうか?

 また訳の分からないことを言っているのか。最近どうも頭が回らない。頭蓋骨に穴でも開けて、そこにマドラーでも突っ込んで、グシャグシャとかき回せたらどれだけ気持ちのいいことか。


―――――― 

低い空

 街灯はいい。夜でも明るいし、何より、月よりずっと近くにある。


――――――

亡年のメモ

 2023/5/19(金)

 雨しぶき 欄干はねる 銀スズメ 

 濡れた羽では 重くて飛べまい


――――――

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