発芽不良◇フラグメント(蜃気楼/落下/ギチギチ/低い空/亡年のメモ)
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蜃気楼
「天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである。同時代は常にこの一歩の千里であることを理解しない。後代は又この千里の一歩であることに盲目である――」云々(侏儒の言葉より)
それで、その「天才」とやらの実像はどこにあったのだろうか?
ある老人:いやはや、あの蜃気楼を追いかけて早数十年、思ったより遠いもんだ。はて?やつはどこに行った?……や!いつの間にか、わしの後ろ、およそ千里も後ろにおるではないか!
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落下
落ちゆく木の葉にとって、あらゆる風は追い風である。
落ちゆく小人にとって、あらゆる風は向かい風である。
…とか、適当に言ってみただけだ。私に吹いていた風が向かい風かどうかなんて、考える余裕もなかったよ。
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ギチギチ
歯車は二つより一つの方がよく回る。少なければ少ない方がよく回る。それなら、頭がうまく回らないというのは、頭の中の歯車が欠けたということではなく、増えてしまったということだろうか?
また訳の分からないことを言っているのか。最近どうも頭が回らない。頭蓋骨に穴でも開けて、そこにマドラーでも突っ込んで、グシャグシャとかき回せたらどれだけ気持ちのいいことか。
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低い空
街灯はいい。夜でも明るいし、何より、月よりずっと近くにある。
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亡年のメモ
2023/5/19(金)
雨しぶき 欄干はねる 銀スズメ
濡れた羽では 重くて飛べまい
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