深海に届いた手紙
そんな代わり映えのない日々が続いていく中ある日また雨が降っていて祖母と妹がいない昼。郵便に一通の手紙があった。僕はなんだろうと差出人を見てみると前に僕が行ったファンミーティングの小説家が所属している事務所ではないか。なぜこんな大手がこの田舎に送ってきたのだろう。祖母は何か応募してたのか?そんなそぶりは見せなかったではないか。いや祖母なら隠し通すことも可能ではあるか。と驚きをしまい込み冷静を装うがその冷静は宛名を見た瞬間崩れていった。なぜならそこに僕の名前がかかれてたからだ。わざわざ僕の名前を。僕は急いで開けて読んでみた。
「拝啓 縁ルイ君へ
サプライズという柄にもないことをしてしまったけど怒ってないといいな。 この間は僕のファンミーティングに来てくれてありがとう。
改めて自己紹介するけど私はそうげん。です。
お恥ずかしいながら僕は通常人の名前を覚えるのが得意ではないんだけど
君はとても印象的だったからおぼえていたよ。名前間違ってないといいんだけど。
ほかのファンは僕の小説の好きなところとか一生懸命語ってくれる。
別にそれを批判してるわけではない。
僕のモチベーション向上にもつながるからね。
だからね初めてだったんだよ。
よく眠れていますかって聞かれるのは
それも静かな声で
よく休んでまたいい作品を出してください!応援してます
というメッセージはいつも聞く。
うれしいけど同時に呪いでもある。
だから僕にとってもとても印象に残ったよ。
さてと前置きはそこまでにしておいて
結論を先に言うけども
君僕のアシスタントにならないか?
あっ、さっきの話だけで決めたわけではないよ
決め手になったのは今この手紙と送った君の原稿だ。」
と読み進めたとき僕は封筒を確認したら案の定原稿が入っていた。なくしたと思って落ち込んでいた原稿があの時ぼくのかばんにはいっていてそしてあそこで落としたなんて。なんていう偶然だ。と思いながら読み進めていく。
「君は帰りに原稿を偶然落としていった
君は颯爽と帰って行ってしまって渡そうにも渡せなかったんだ。
だから読まずに送ろうと思ったんだけどね
深夜に次のアイディアを書き出そうと思ってね
そしたら寝ぼけてたのかうっかり読んでしまって
これは本当に申し訳ない。
弁明の余地もない。
だが読んだあと圧巻だったんだ。
表現の仕方が途轍もなく美しくてかつ自然
僕のファンミーティングに来てくれた君はまだ若者だったはずだ
なのに僕よりも豊富な表現を用いる。
僕は居ても立っても居られなくて
会社に連絡した
会社は困惑してたよ
僕がついに頭でもおかしくなったのかってね
深夜なのにすごく興奮してたからね。
今振り返ってみるとだいのおとなが何をしてるんだろう
だから君がいてくれれば僕のつどい文章を小説のようにしてくれるんじゃないかと期待してるわけだ
恥ずかしながら僕は小説のアイディアの才能はあるとよく褒められるんだけども
文章の才能が壊滅的なんだ。
もし嫌だったら断ってくれてもかまわない
会社は欲しがってたけど
僕がこじつけたからね
若者の人生を自分勝手な理由で奪う理由にはならないと。
親御さんともじっくり話しながらしてほしい。
せかすつもりもないから
検討してくれるとありがたいな
そうげん。より」
読み終えた僕はまだ高揚してた。僕があの人に勧誘されるなんて。行きたい行きたい。その思いが爆発しそうな瞬間。時計を見たらもう16時だった。その16時といういかにもリアルな時間が僕を現実に引き戻す。そうだ。僕には祖母と妹がいるんだ。まるで夢から醒めたようだ。僕自身できめられることではないのだ。両親が了承してくれるだろうか。そんな訳がない。あの人達がこんな身勝手な理由で僕をここから出してくれるわけがないのだ。気づいたら僕は深海にいた。息ができなくて下から無数の手が伸びってきて僕をもっと深い所に縛り付けようとする。苦しい。誰か誰か。た...すけ…はっと目を覚ます。起き上がって咳き込みゆっくりと息を吸う。悪夢だった。まるでこの家を象徴してるような。夢の中の僕は助けてもらえたのだろうか。と考えが浮かび上がってきたがすぐさま否定しようとする。この家に僕を助けてくれる人なんて…ふと思い浮かべたのはあの手紙だった。馬鹿だな。そんなものにすがっても、、、自分で自分の首を絞めるだけだ。そう結論を出した。まるで急ぐように。そう、、まるで自分に言い聞かせてるように。昼になりバイトに行く途中、中学生の友人にあった。「おい!ルイじゃないか?転校してあってないから新鮮だな!やっぱ天才君は別の進学校にいくってか?」と茶化してきた。ああそうだ僕は転校と周囲に言ったんだっけ。僕が通ってた中学校は中高一貫だったから余計に珍しかったんだろう。「そういうわけじゃないよ。君はどう?僕がいなくても勉強はできてるかい?」と探られないように早めに話題を切り替えたが相手は幸運にも気付かなかったらしい。「おい!?俺を馬鹿にしてるのか!?お前がいなくても勉強くらいできる...一応」と付け足したもので僕は笑ってしまった。やはり田舎なのでお世辞にも進学校とは言えなくて学生たちも頭がいいとは言えなかったがみんな僕に合わないほど暖かくて楽しい学校生活だった。ふと僕はあの手紙を思い出してらしくないが彼に問いかけた。もちろん僕がもらったと断定されないように。彼の返答は意外なものだった「そんなの簡単だろ!家出するんだ!親に認めてもらえないなら最初から説得するのをあきらめたほうがいいんだ。まあ現実は厳しいのは知ってるけどな。まあ夢物語のようなものだ。珍しいな!お前がこういうこと言うの。おまえ毎回現実主義すぎて俺らお前にテスト勉強しごかれたぞ。あれはとてもトラウマだ…二度とやりたくない。おい、大丈夫か?ぼーっとしてるが」と心配そうに聞かれたときはっと我に返った。「大丈夫だよ。もうすぐ行かなきゃいけないからじゃあね」と悟られないように相手を置き去りにしてはんば強制的に別れた。僕にはない発想だ。なによりおどろいたのが僕がそれを否定しなかったことだ。受け入れてたのだ。




