第5話 「マイ戦」
訓練区画。
昨日とは違い、内部は市街地の高層区画を模した広大なフィールドへと変わっていた。
建物と路地。
そしてそれらを利用した遮蔽物。
遠く離れた場所にはいくつもの高所からの狙撃ポイント。
マイがフィールドを見渡す。
「……スナイパー向け」
「ああ」
男は頷いた。
「今回の条件は一つ」
訓練区画の中央に立つ。
「開始時点で、互いの位置は不明」
マイが男を見る。
「探し合う?」
「そうだ」
「……私が有利」
「そうとは限らない」
マイは少しだけ目を細めた。
「どうして?」
「お前がスナイパーだからだ」
男は淡々と言う。
「遠距離から一方的に撃てるなら有利だ。だが、撃った瞬間に自分の位置を知らせることになる」
「……」
「一発外せば、相手に警戒される」
「二発目を撃つ前に距離を詰められる可能性もある」
マイは少し考える。
「つまり、最初の一発が重要」
「そういうことだ」
男は訓練用の拳銃を確認する。
「お前を探しーー」
「…見つけたら?」
「撃つ」
「私も撃つ」
「当然だ」
二人とも銃を構えた。
開始位置は完全にランダム。
互いに相手の位置情報は与えられない。
そして――
『訓練開始』
ブザーが鳴った。
マイの姿が消える。
男も動いた。
開始から三十秒。
マイはすでに三つ目の狙撃ポイントへ移動していた。
高所。
建物の屋上にて。
伏せた状態でスコープを覗く。
「……」
視界の中に、人影はない。
だが。
先生も、自分がここにいるとは知らない。
マイは周囲を観察する。
一分。
二分。
彼女は待っていた。
スナイパーにとって最も重要なのは、撃つことではない。
撃つべき瞬間を見極めること。
そのとき――
路地の奥で。
何かが動いた。
マイの指が止まる。
スコープを合わせる。
人影。
「……見つけた」
引き金に指をかける。
しかし――
撃たない。
先生の動きがおかしい。
遮蔽物から遮蔽物へ移動している。
走っているわけではない。
一度姿を見せて。
隠れる。
また少しだけ姿を見せる。
隠れる。
「……」
マイは照準を動かさない。
「誘ってる?」
その瞬間。
男が立ち止まった。
こちらを見上げる。
マイの目が細くなる。
「――!」
だが、距離がありすぎる。
ここからでは、肉眼でこちらを認識できるはずがない。
それでも男は――
屋上を見た。
マイは反射的に身体を低くする。
「……まさか」
男は何もせず、その場を離れた。
マイはスコープを覗き続ける。
理由は分からない。
だが一つだけ確かなことがある。
「……面倒」
マイは静かに狙撃地点を離れた。
その頃。
男は建物の裏側を歩いていた。
「……やっぱりいるな」
先ほどの動き。
あれは偶然ではない。
自分が姿を見せた瞬間、どこかから視線を感じた。
だが、撃ってこなかった。
――ならば。
男は建物の中へ入る。
階段を上る。
しかし、屋上へは出ない。
三階。
窓。
そこから外を見る。
向かいの建物。
狙撃に適した場所。
「……」
男はそこで。
ポケットから小さな金属片を取り出す。
窓から放る。
カラン――。
金属音。
その瞬間。
パシュッ!
ゴム弾。
男は即座に身を引く。
「……そこか」
位置が割れた。
だが――
マイはすでに移動を始めていた。
「……やっぱり」
走る。
狙撃地点を離れる。
「先生は……」
彼女は理解し始めていた。
あれは偶然ではない。
先生は自分に撃たせた。
わざと。
自分の位置を知るために。
「……一発使わせられた」
マイが小さく呟く。
そして――
少しだけ口元が緩んだ。
「でも」
「次は、撃たない」
遠く。
男もまた、歩みを止める。
「……なるほど」
彼も僅かに笑う。
「一発で学習したか」
二人の位置は、再び分からなくなった。
ここからは――
どちらが先に相手を見つけるか。
純粋な狩りが始まった。
観戦席。
訓練フィールド全体を映すモニターを、メア、ミナ、サラ、ミリアの四人が見ていた。
「……え?」
メアが画面を覗き込む。
「先生、今わざと撃たせた?」
「そうだと思う」
ミナが頷く。
「自分の位置を見せて、マイちゃんに撃たせて……その発射地点から逆に場所を割り出したんだよね?」
サラは腕を組んでいる。
「たぶんねぇ」
いつもの甘ったるい声だが、目は真剣だった。
「先生、最初からマイちゃんを見つけようとしてないよぉ」
「え?」
メアが振り返る。
「じゃあ何してたの?」
「マイちゃんがどこにいるのかを、マイちゃん自身に教えてもらったの」
「……!」
メアがモニターを見る。
「なるほど……」
ミナも感心したように呟く。
「でも、マイちゃんも撃ったあとすぐ移動したよ?」
「うん」
サラが頷く。
「だから先生も、もう正確な位置までは分かってないと思う」
「じゃあ、また探し合い?」
「そう」
サラは少し笑った。
「ここからが本当の勝負だねぇ」
その隣で、ミリアは黙って画面を見ていた。
メアがちらりと彼女を見る。
「ミリアはどう思う?」
「……先生は、マイを急いで倒すつもりがない」
「え?」
「長期戦にするつもり」
ミリアの視線は、先生の映像を追っている。
「先生は、マイが撃たないことも想定していた」
「でも、撃たせた」
「そう」
「なんで?」
ミリアは少し黙った。
「……狙撃手は、撃つ瞬間に最も多くの情報を出すから」
メアが「ああ」と声を漏らす。
「銃声とか?」
「それだけじゃない」
ミリアが続ける。
「発砲位置。射線。狙っていた方向。そしてーー」
「一発撃たせれば、それだけで先生には情報が入る」
「……」
メアが腕を組む。
「じゃあ、マイは撃たないほうがよかった?」
「違う」
ミリアは即答した。
「撃たなければ、先生は別の方法で探す」
「どちらを選んでも、先生は何かを得る」
その言葉に、サラが小さく笑う。
「そういうことぉ」
「だから厄介なんだよねぇ、あの人」
メアがモニターを見る。
「……なんかさ」
「うん?」
「昨日より、先生のこと怖くなってない?」
ミナが苦笑する。
「私は昨日からずっと怖いけど?」
「ミナは笑ってるじゃん!」
「怖いときほど笑うの」
「怖い人の理屈!」
二人の会話を聞きながら、サラは再び画面へ視線を戻す。
「でもねぇ」
「先生にも弱点はあるよ」
メアとミナがサラを見る。
「なに?」
サラはモニターの中の男を指差した。
「先生は今、一人」
「マイちゃんも一人だけど?」
「そう」
サラが笑う。
「だからこそ――」
「先生がマイちゃんを倒すまでに時間を使えば使うほど、先生自身も消耗する」
「この訓練は一対一」
「でも先生は、昨日の戦闘で私たち全員の戦い方を見てる」
「そして今日は、マイちゃんと一対一で戦ってる」
サラは少しだけ嬉しそうに笑った。
「なら、私たちがここで学べることは多いよぉ」
メアが画面を見つめる。
「……マイ、勝てるかな」
サラが答える。
「分からない」
「でも――」
一拍。
「マイちゃんは、初めて戦う相手として最適だねぇ」
その言葉に、ミナが頷く。
「うん」
「もっとも長期戦になり、先生の情報を得れる」
「だからマイちゃんからなんだ!」
メアが遅れて理解した。
モニターの中。
マイの姿が消える。
同時に――
男も画面から消えた。
メアが身を乗り出す。
「……また、見えなくなった」
サラが呟く。
「さあ」
「次に見つけるのは――」
どちらかなぁ?
観戦室。
モニターには、広大な訓練フィールドが映し出されている。
しかし――
「……あれ?」
メアが首を傾げた。
「先生、なんか……遅くない?」
ミナも画面を見る。
「うん」
「さっきから、ずっと歩いてるよね」
サラも黙って男の映像を追っていた。
「……確かに」
「警戒しながら動いてるにしても、元々の移動速度が遅すぎる気がする」
メアが昨日の戦闘を思い返す。
「昨日はもっと速かったよね?」
「うん」
ミナが頷く。
「ミリアと戦ったときなんて、一瞬だったし」
「メアをかわしたときもそう」
「私たちが二人で追い込んだときも、あの動き……」
サラがモニターを切り替える。
昨日の戦闘記録。
男がメアの攻撃を躱し、マイの射線を利用して二人を同時に崩した場面。
再生。
男の動きは明らかに速い。
メアが画面を見ながら呟く。
「……同じ人だよね?」
「そうでしょ」
ミナが笑う。
「先生、昨日はあんなに速かったのに」
「今日はなんであんなにゆっくりなの?」
サラは答えない。
ただ、モニターを見つめている。
男が路地を進む。
一歩。
また一歩。
慎重ではある。
だが、それだけでは説明がつかない。
「……」
メアがミリアを見る。
「ねえ、ミリア」
反応なし。
ミリアはただ画面を見ている。
表情も変わらない。
「昨日の先生と、今日の先生……なんか違わない?」
沈黙。
「ミリア?」
「……」
返事はない。
メアが少し困った顔をする。
「聞いてる?」
ミリアは画面から視線を外さない。
無反応。
「……まあいいや」
メアは再びモニターへ向き直る。
その横でサラが小さく呟く。
「でも……変だよねぇ」
「マイちゃんが狙撃手だから慎重になるのは分かる」
「でも、昨日あれだけ動けた人が、今日はこの速度っていうのは……」
ミナが続ける。
「何か理由があるのかな」
「たぶん」
サラはそう答えた。
「先生は、何かを隠してる」
その言葉に、メアが首を傾げる。
「何を?」
「それは――」
サラは答えず、画面を見つめる。
そのとき。
マイの姿が一瞬だけ映った。
そしてすぐに消える。
男も止まった。
「……!」
観戦室の空気が変わる。
「見つけた?」
メアが身を乗り出す。
サラが画面を拡大する。
男は、建物の陰で立ち止まっている。
銃を構えているわけでもない。
走るわけでもない。
ただ――
じっと立っている。
「……先生、何してるの?」
ミナが呟く。
誰も答えない。
ミリアも――
何も言わない。
ただ、男の姿を見つめていた。
その無表情な横顔には、
驚きも。
疑問も。
焦りもない。
まるで――
最初から何が起きているのか知っているかのように。
男は、建物の陰に立ったまま、腕時計へ視線を落とした。
「……あと20秒、と言ったところか」
観戦室。
「え?」
メアが聞き返す。
「20秒って……何が?」
サラもモニターを凝視する。
「……先生、時間を測ってたの?」
ミリアは無反応。
ただ、画面の中の男を見ている。
――そのとき。
遠くの建物。
屋上。
一つの影が動いた。
マイだった。
「……移動した」
サラが呟く。
狙撃地点を変えている。
マイはその場所を捨て、別の高所へ移動していた。
足音を抑え、建物の縁を伝う。
そして新しい狙撃地点へ。
「……」
伏せる。
銃を構える。
スコープを覗く。
男は――まだ同じ場所にいる。
「……?」
マイの眉が僅かに動いた。
普通なら、ここまで姿を晒すはずがない。
しかも――
遅い。
あまりにも遅い。
「……先生」
マイがスコープ越しに呟く。
「何を待ってるの?」
引き金に指を置く。
しかし撃たない。
男は動かない。
そのまま腕時計を見る。
「……あと15秒」
マイの目が細くなる。
「……」
そして男が、ほんの少しだけ身体を動かした。
マイは反射的に照準を追う。
――だが。
「……?」
違和感。
男は、自分から射線へ入ってきている。
まるで――
撃たれる場所を選んでいるように。
マイの指が止まった。
「……罠」
その瞬間。
男が顔を上げた。
「……来たか」
マイの背筋が僅かに冷える。
「――!」
男は走り出した。
昨日見せた速度。
一気に距離を詰める、あの動き。
マイは咄嗟に照準を合わせる。
「速い……!」
パシュッ!
ゴム弾。
男が横へ跳ぶ。
二発目。
外れる。
そして――
男は建物の陰へ消えた。
マイは即座に立ち上がる。
「……!」
移動する。
だが。
男が狙っていたのは――
マイの現在位置ではない。
マイが次に移動する場所だった。
建物の階段を上る。
その途中。
マイが角を曲がった瞬間――
「――!」
目の前。
男。
マイが銃を構える。
だが距離が近すぎた。
男の手が銃身を逸らす。
もう片方の手が肩へ。
スタン。
「――マイ、アウト」
一瞬。
静寂。
観戦室。
「……え?」
メアが固まる。
「今の……」
ミナも言葉を失う。
サラはモニターを見つめたまま。
「最初から……」
「マイちゃんが移動するのを待ってた?」
誰も答えない。
そしてミリアだけが――
相変わらず無表情で画面を見ていた。
何も言わない。
何も驚かない。
ただ。
ほんの一瞬だけ。
彼女の視線が、男の腕時計へ向いた。
サラはモニターを切り替えた。
「うーん……これは完全に、先生が一枚上手だったねぇ」
メアが画面を覗き込む。
「ホラ、この画面を見て」
表示されたのは、マイがこれまで移動してきた建物を記録したマップだった。
「これはマイちゃんが狙撃後に移動した建物の経路」
サラが指先で順番に辿っていく。
「そう。常に規則性があるの」
「マイちゃんは、撃った後――必ずその建物から五つ以上先の建物に移動する」
「そして、同じ建物にはもう一度移動しない」
メアが目を丸くする。
「……え?」
「つまりねぇ」
サラが画面を拡大する。
「マイちゃんが安全を考えて、毎回かなり離れた場所へ移動していたとしても――」
一つ。
また一つ。
マップ上の建物が消えていく。
「これだけの時間をかけて移動し続ければ……そう」
残った建物は、ほんの数個。
「最終的に、移動する場所が限られてくる」
ミナが画面を見る。
「じゃあ先生は、マイちゃんのいる場所を直接探していたんじゃなくて……」
「うん」
サラが頷く。
「マイちゃんが自分から選択肢を減らしていくのを待ってた」
メアが唖然とする。
「そんなの……分かるの?」
「普通は分からないよぉ」
サラは苦笑する。
「でも先生は、昨日からずっと私たちを観察してる」
「マイちゃんが慎重な性格なのも、狙撃後にすぐ場所を変えることも、昨日の一発目である程度分かったんじゃないかな」
そして、現在のマップを見る。
「そして現状――」
サラが一つの建物を指した。
「残っている建物の中で、一番見晴らしがいいのが……」
カメラが切り替わる。
そこには、マイが今いる建物。
「今の建物ってわけ」
メアが口を開けたまま画面を見る。
「じゃあ……先生は最初から……」
「ううん」
サラは首を横に振る。
「最初から場所を知ってたわけじゃないよ」
「先生は、マイちゃんがどう動くかを見てた」
「そして――」
サラは少し楽しそうに笑った。
「マイちゃん自身に、最後の居場所を教えさせたの」
観戦室が静まり返る。
ミナがぽつりと言う。
「……怖いね、先生」
メアも苦笑する。
「昨日よりずっと怖い……」
その横で。
ミリアだけは、何も言わない。
ただ画面を見つめている。
そこには、狙撃地点を予測して動いた男の姿。
ミリアの表情は変わらない。
――しかし。
サラがふとミリアを見る。
「ミリアちゃんは、気づいてた?」
「……」
返事はない。
ミリアはただ、
「先生はあそこで待っていた」
その事実だけを見ていた。
マイとの模擬戦が終わり、訓練場の照明が通常状態へ戻った。
観察室のモニターには、立ったままの先生と、少し離れた場所で停止したマイが映っている。
サラが端末を操作しながら、楽しそうに笑った。
「はいっ、これでマイちゃんは終了~」
「……負けた」
マイは淡々と呟いた。
悔しそうな様子はない。
ただ、自分がどうして負けたのかを整理しているようだった。
「最後、どうして分かったの?」
先生が答える。
「分かったわけじゃない」
「……?」
「お前が次にどこへ行くかを考えただけだ」
「考えた?」
「ああ」
先生は訓練場の建物群を見渡す。
「狙撃手が一発撃ったあとに、同じ場所へ戻るのは危険だ。お前もそれは分かっている」
「……そう」
「だから距離を取る。五つ以上離れる。それも毎回同じ」
マイが黙って聞いている。
「問題は、その後だ」
先生は一歩だけ歩いた。
「お前は慎重だった。だから、同じ建物には二度入らない。結果として、自分で使える狙撃地点を減らしていった」
「……」
「最後に残った候補の中で、最も撃ちやすい場所を選ぶ。そこまで読めばいい」
マイはしばらく先生を見つめ――
「……なるほど」
小さく頷いた。
観察室では、メアが腕を組んで唸っていた。
「いやぁ……怖いなぁ、先生」
「なにが?」
ミナが尋ねる。
「だってさ。マイちゃんの動きを見ながら、ずっと次の行動を考えてたんでしょ?」
「そういうことだねぇ」
サラが答える。
「先生はマイちゃんを探してたんじゃないよ」
「え?」
「マイちゃんが、自分から先生のところへ来るように仕向けてたの」
「……うわ」
メアの顔が引きつる。
その横でマイが観察室へ戻ってくる。
「先生」
「なんだ」
「次は、もっと変える」
「そうしろ」
「……分かった」
マイはそれだけ言って、自分の席へ戻った。
そして先生は、次の名前を呼ぶ。
「――メア」
「っ!」
メアの身体が跳ねる。
「はいっ!」
勢いよく立ち上がった。
「私!?」
「ああ」
「よっしゃあああ!」
先ほどまでの不安げな表情が、一瞬で消える。
メアは拳を握りしめた。
「今度は私が先生を倒す!」
「そういう訓練だ」
「絶対だからね!」
「分かっている」
メアは意気揚々と訓練場へ向かっていく。
その背中を見送りながら、ミナがぽつりと言った。
「……でも、先生」
「なんだ?」
「やっぱり、遅かったよね」
空気が少しだけ止まった。
メアも足を止める。
「……あ」
マイも先生を見る。
サラだけが、端末の画面から視線を上げた。
「そうそう。私も気になってたんだよねぇ」
「昨日はもっと速かった」
マイが言った。
先生は少し黙った。
「……そうか?」
「うん」
ミナが笑顔のまま首を傾げる。
「昨日の先生、もっと速かったよ?」
先生は答えなかった。
ただ、
「メア。準備しろ」
そう言って、訓練場へ向かった。
メアは一瞬だけ先生の背中を見つめる。
そして――
「……まあ、いいや!」
すぐに駆け出した。
「今度こそ勝つ!」
扉が閉まる。
観察室には、再び四人とミリアが残った。
ミリアは何も言わない。
ただ、閉じた訓練場のモニターを見つめている。
その表情には、変化がなかった。
――しかし。
先生が遅かった理由を、
彼女だけは知っていた。




