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 ふむ、この鶏肉のパリパリ焼きというのが美味いのだ。クリアからもらったウイングボアのタンシチューてのもなかなかだ、一口くれると言ったから真ん中のお肉を食べたら怒られたのがよく分からない。一口しか食べてないのに……一口で無くなってしまったけど。他には周りを見るに人間は圧倒的に弱い、軟弱な者達ばかりだ。まぁ、これだけ魔素が少なければ自ずと魔物も弱くなる訳だから自ずと弱くなっていくか。ふーむ、しかし遅いのだ。何をやってるんだろ、ミーナとやらは。うーん、なんか私のギルドカードと私をキョロキョロと見比べてるな。少し変なやつだな、アイツは。待ってる間暇なのだから他にも何か食べたいのだ!


「ハンナさーん、来て下さい」


 む、ようやく呼ばれたな。この距離と喧騒の中で聞こえるのは魔法のおかげか?ふむ、こっちは魔力も弱く脆弱だが魔界とは違った魔法もありそうだ。


「えーと、ハンナちゃん、簡単な説明はさっきの食事中に受けた?」

「はい、クリア達に教えてもらいました」

「そう、じゃあ分からない事があれば聞いてね、今日泊まる所やお金は大丈夫?」

「……分かんないけどなんとなく困ってる気がするのだ」

「それは無いって事ね、じゃあ取り敢えず街の手伝い系の依頼で、うーん、これなんかどうかしら?ここは報酬は安いけど泊まる所も提供してくれるみたいだし」


 手渡された紙には魔導服ハンズという所からの依頼だった。依頼書を読むに簡単な掃除等の手伝い……要するに雑用だと、この全ての魔導を極める予定の、魔界を混沌と深淵の闇で覆う大魔王になる予定のハンナ様がよく分からん何処ぞの服屋の雑用だと、もっと凄いパッとする依頼はないのか?


『おい、ハンナ、取り敢えずこの依頼受けようぜ』

『なんでよ、ブブこんな依頼』

『だってハンズとハンナ、名前が似てんじゃん』

『…魔界に戻ったらリスの丸焼きにして食べるから』

『ぷー、そういうのは戻ってから言って欲しいぜ』


「ぷきー」

「あらぁ、リスちゃんもこれが良いって言ってるみたいよ、依頼書持って小躍りしてるし」

「……分かりましたのだ」


 ミーナから魔導服ハンズの場所を記した簡単な地図を貰い向かう。全くブブには困ったもんだよ、なんでこんな仕事しなきゃいけないのよ。めんどくさい。大体何したら良いか分からないし。はぁ、憂鬱。ちぇ、とっととテキトーにやって帰っちゃお。ん?ここか、ちっぽけな所だなぁ、魔導服て事は服を売ってるんだよね、きっと。お店なんだし勝手に入っちゃって良いよね。ん?先客がいるみたいだね。駆け出しの冒険者風だね……まぁ、それは私もなんだけど。


「あー、なんか古臭くない?しかもこれ高いし」

「うーん、でもここがオススメて聞いたよ?魔法系の防具は珍しいらしいし」

「でも、表通りの店のがオシャレで安かったよね」

「あ、うん、まあね」


 アホかこいつらは…お前達が手に持ってるそれはそれなりに魔力を感じるものだぞ。街ですれ違う人を見ても力を感じられなかった者は見てくれが派手な物を着込んでいたが…それすら分からんとは、ここまで人のレベルは低いとはな…


「やっぱりこんなしけた店じゃなくてさっきのお店にしよーぜ」

「そうだね、たかが服にお金かけれないし、どうせなら武器に使いたいしね」

「おう、そうだな、それより早くしないとキラさん達に遅いって怒られるぞ」

「そ、そだね、急がなきゃ」


 ふむ、人の数が多い理由が分かったのだ。よく死ぬからなのだ、頭も悪そうだし。む?奥から誰か出てきたな、あの見た目はドワーフかな?


「おい、お前等初めての依頼なら武器なんかより防具や道具の準備をしっかりしろよ、あんまり舐めてるとすぐ死ぬぞ」

「何?コイツ?うるせえよ、行くぞ、アンナ」

「あ、うん」


 ふむ、駆け出し風の冒険者は行ってしまった、まぁあんな言い方だったら私でも素直に聞きたくもないのだ。


「おい、お前もあいつ等の仲間なんだろ、そこにいたら邪魔だ」

「…お客じゃなくてギルドからな依頼で来ました」

「なんだ、あいつ等の仲間じゃないのかよ、紛らわしいな、俺がハンズだ」

「……ちっ、ハンナです」

「ああん?チッて言ったかぁ?」

「…何も言ってないのだ」

「嘘つくな!馬鹿タレ」


 そう言ったかと思うといきなり頭にゲンコツを落としてきたのだ。コ、コイツ地獄の業火で包み焼きにするぞ。イタタタタタタ。


「たくっ、こんな力もなさそうなチンチクリンな女寄越しやがって」


 カッチーン、あったまきた!お前もチンチクリンなずんぐりむっくりだろ。おのれ、痛い目を見せるのだ!


「ちっ、こんなチビ助寄越しやがって、ギルドの奴め……まぁ良い、ちょっとそのに座ってろ」 


 かー、まだ頭がグワングワンするのだ、取り敢えずさっと終わって早く違う仕事を貰おう。


『ブブ、こんな仕事早く終わって別の仕事するから』

『あ、あぁ、それはハンナの好きにしたら良いだろ』


「おい、チビ助、見ない顔だから別の街から来たんだろ、こんな依頼受けるなんて新米冒険者だろ、まぁいきなり討伐系の依頼を受けないのは良い事だな、これでも飲んでろ大きくなれ」

「む?なんだこれは、甘くて美味しいのだ」

「ただの温めたミルクにハチミツ入れただけだ…そんなに美味いならこれも食え、一緒に食うとより美味いぞ」

「なんだこれは、真ん中に穴が空いてて……この穴の部分はもう先に食べてしまったのか!」

「馬鹿タレ!そういう食べ物だ」


 イタタタタタタ、また頭にゲンコツ食らったのだ、このチンチクリンのドワーフめ、まぁ、良い。この穴の空いた食べ物を食べるか、む?美味いではないか、ハハーン更にこれを食べている時にこのミルクを飲むと……やはり美味いではないか!天才じゃ!


「汚いお店かと思ったがお お主は天才か!」

「馬鹿タレ、ハンズさんだ!」

「イテテテテ、なら私もハンナなのだ」

「チビ助はチビ助だ、それ飲んで2階の部屋に荷物置いたら仕事するぞ」

「むぅ、はーい、分かったのだ」


『ブブ、まぁ、貰った分位はしっかり働くかな』

『お前…食べ物に釣られただけだろ』

『そ、そんなわけないでしょ』

『まぁ、好きにしろや』

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