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挿絵(By みてみん)


初等部からの持ち上がり組の人達とはクラスが違うので、今まで気にした事もなかった。

何しろ、クラス分けはSクラス以外は成績順だ。

S・A・B・C・D・E・Fの7クラス。


私は腐っても王族、という事なのか、脳のスペックが高い。

前世と違い、学習面でのつまずきは全く無い。

学院でも成績優秀者に入っていて文句なしのAクラスだ。

(Sクラスはバルシュミーデ皇国からの入学生を纏めたクラスなので成績は無関係)


基本的にこの世界は

「魔力の質が高く魔力量も多い者達が特別な努力もせずに高成績を収める」

世界なのである。


(ホント、遺伝子って努力以上に大事なものなんだな…)

と痛感している。


同じAクラスの一般学生は公爵家と侯爵家。

伯爵家以下の生徒となると特待生しかいない。


しかも一年生特待生達の大半がAクラス。

私とはクラスメイト。

と言っても、一年生特待生の全員がAクラスという訳ではない。


容姿自慢の女子特待生も一生懸命に勉強しているらしいが…

男子特待生達よりも成績が低かった。


中等部から繰り越しの特待生達6人、高等部入学の特待生達4人。

1年生特待生は合わせて10人。

そのうち2人が女子で2人ともBクラスだ。


男子特待生8人は、12人編成のAクラスに喰らい込んでいる。


Bクラスは特待生だけでなく、貴族家の猶子として学院に通っている奨学生も数名いる。

その手の人材はそのうち官吏となる人達。


卒業後には王城で見かけるようになる人達なのだろうが…

私は学院卒業後にはパスカルに嫁ぐ事になっているし、私としては上手く婚約破棄できたら平民として市井で暮らすつもりでいるので、特に仲良くしておく必要性を感じない。


初等部からの持ち上がり組の生徒達は男爵家や準男爵家ばかりで多くがEクラスだが…

中には頑張り屋さんもいるらしく、Bクラスの生徒もいる。

それが女子特待生に擦り寄っていた貧乏男爵令嬢のドリアーヌ・パラディールだ。


何故か彼女は王族に敵意を持っているらしく

「王女がAクラスなのは学院長が権力に屈した結果に違いないわ」

だのと言っている。


学生食堂内で

「わざわざ近くの席に座って聞こえよがしに言う」

ところが…

ドリアーヌの性格の悪さを示している。


「平民だからと、下位貴族だからと、いちいち差別するような、こんな世の中、変えなきゃ!」

だのと、これまた聞えよがしに決意表明されても…

彼女に一欠片も好感を持てない。癪に障るだけだ。


思わず溜息が漏れた。

独善的にいちいち粘着な悪意を向けられると…

美味しい筈の食事さえ不味く感じられるものだ。


(こういう場合、先に着席してると逃げ道がなくなるから、相手がどこかに着席するのを待ってから、離れた席に就くのが無難なのよね…)

と、逃げ腰の対応を考えた。


味方のいない

実権のない

名ばかり高位者だと

とにかく因縁を付けてくる相手からは逃げるしかない。


(パスカルとシュザンヌだけでも面倒なのに…。何故、ドリアーヌは私に意識を向けてくるのかしら?)

謎だ。


私は目立たないように振る舞っている。

自分から他人に話しかける事も少ない。

それこそ事務的な用事以外で他人に話しかける必要性も感じない。


「お喋り」

「自分がするもの」

ではなく

「他人がしてるのを聞くもの」

でしか無かった。

ずっと。

物心つく前から。


それにしてもーー

(…前世の記憶が戻っていなければ、私は対人恐怖症になっていたかも知れない)

と思う。


ずっと誰にも話しかけず

ずっと誰にも話しかけられず

「必要な情報のやり取り」

だけが他人とのやり取りの全てだった。


学院に入学して早々に三年生のシュザンヌ・ブルデュー男爵令嬢に話しかけてこられて驚いたし、一人芝居で泣き出されたのにも驚いた。


(何の茶番なのかしら?)

と首を捻っているうちに今度は婚約者のパスカルがやってきて

「何をしている!」

と怒鳴りつけてきたのだ。


今では毎度お馴染みのコントと化しているやり取りだが…

最初にやられた時には驚き過ぎて

口をポカンと開けて

アホの子のように立ち尽くすしかなかった。


前世の記憶が戻らなければ…

ショックのあまり

あの後、対人恐怖症になっていた可能性があったと思う。


それくらい

「対面で向き合って感情の伴うやり取りをする」

経験がヴィヴィアンヌとしての私には欠けっぱなしだった。


「他者とのファーストコンタクト」

とも言える

「感情的やり取り」

が露骨に悪意に満ちたものだったのだ。


本気でこの社会が嫌になったとしても仕方ないと思う…。


しかも

(どう考えても私にウザ絡みしてくる人達って性格が悪いわよね…)

と私にはそう思えるのに…


パスカルの友人達はパスカルを受け入れているらしく、友人に囲まれている姿も見かける。


ドリアーヌの場合も同様らしく、ドリアーヌは友人達と仲が良く、慕われている様子。


ドリアーヌの友人達が

「ドリーだけBクラスだから寂しいよ」

「Eクラスに落ちるためにわざわざ成績を落としてくれとも言えないし」

などと言っている。


「特定の標的に対してだけ攻撃する」タイプの悪人の邪悪さというのは、標的にされてる者以外には判り難いものなのかも知れない。


一方でーー

ドリアーヌに庇われていたBクラスの女子特待生アナイスは、その後ドリアーヌと仲良くしているのかというと、そういう事もないらしく…

女子特待生は女子特待生同士、食堂で隣同士に座って小声で談笑している。


(そう言えば、特待生は特待生同士で仲が良いみたいよね)


男子特待生の場合、高等部からの入学組は、中等部からの繰り越し進級組の仲良しの輪に組み込まれていない。

孤立してるのかと思いきや、3人組で仲良くしている。


結局、孤立してる新一年生は私独りだけのようだった…。


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