表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/38

32

挿絵(By みてみん)


婚約者様とそのお友達に連れられて冒険者ギルドへ行く事になった。

冒険者ギルドとは

「(更生済みの)元犯罪者に仕事を与えて社会復帰させよう」

という目的で発展した民間組織だ。


なので働く気が有れば、誰でも登録できる。

勿論、犯罪者じゃなければ、だ。


「必ずしもフルネームで登録する必要はない」

という事もあり、貴族は姓を出さずにファーストネームだけで登録する事が多い。

ただし、偽名は不可。

希望者はギルド証に(ドッグタグのようなプレートに)名前の愛称や略称で表示してもらう事もできる。


クリストフは「クリストフ」で登録していて、ギルド証には「クリフ」と表示してもらっている。

なので私も「ヴィヴィアンヌ」で登録して「ヴィヴィ」と表示してもらう事にした。


登録料がかかると分かり

(銀貨を盗んでおいて良かった)

とホッとした。


登録の際に獲物も(武器も)登録しておくものらしいので

「今は何も武器を持ってなくて、槍を買おうと思ってるんですが、ここは『槍』と記入して宜しいでしょうか?」

と受付嬢に尋ね

「はい。それで結構です」

と了承を得てから記入した。


何故か書類は全て二枚づつ書かされた。

一枚はこのギルドで保管する控え。

もう一枚は王国内の冒険者ギルド共用の情報保管庫に保管されるらしい。


更には、様々な情報がパソコンに該当する魔道具に登録情報が打ち込まれている。

インターネットは存在しない筈だがSDスティック的な物に情報保存されている。


しかも冒険者ギルド同士のやり取りには紙媒体を転送できる転移魔法陣まで使われている。

冒険者ギルドは高性能魔道具を所持している金持ちギルドなのである。

(登録料も高かったしね…)


「無事に登録できたようだし、ギルド証を受け取ったら装備を見に行くか」

「はい。良いお店を紹介して頂けると助かります。お金が足りなくなると困るので、できれば安くて品質の良いお店で」


「お金が足りなくなるって…」

「親は小遣いもくれないのか?」

とドロテーアとエールリヒが驚いている。


「ああ、そう言えば、血縁が明らかになって以降の生活費はちゃんと本当のご両親から受け取っているのか?」

「いえ、何も連絡もないし、多分あの方々は『もうランドル王国に売った娘だから』と、このまま放置なさる気だと思います」


「「「えっ………」」」

婚約者様もお友達もドン退きしたらしく、しばし固まった…。


「…なので手持ちのお金が無くなると、その後は嗜好品が何一つ買えない生活になる可能性があります」

「…そうだったのか。それじゃ、今後は魔物を狩って得る報酬は全てヴィヴィへ渡す事にしよう。婚約者なのだから、頼りにして欲しい」


「…良いのですか?とても申し訳ないんですが」

(【泥棒の極意】を使わずに現金ゲットできるなら嬉しいけど。婚約者だからと言って依存すると、後で万が一破談になった時が怖い…)


「良いに決まってる」

「ですが、私も少しは戦えますので自分で稼げると思います」


「…なら、装備品を購入する金を俺に出させて欲しい。そもそも魔物狩りに誘ったのは俺だからな。必要経費は俺が出す。それで狩りで得る報酬は四等分という事で良いか?」

「はい。それでお願いします」

(善い人だ…)


「そう言えば、学院ではダンスの授業もあるんだったな。授業用のドレスなんかはちゃんと用意してもらっていたのか?」

「いえ、それもまだ」


「…ヴィヴィの保護者達はヴィヴィの事をなんだと思ってるんだ…。無責任極まる」

「スミマセン。本当にスミマセン」


「ヴィヴィには何の非もない。『既に売った娘の事など知らない』とばかりに養育費を寄越さない保護者の方がどうかしている。

義父である叔父上には実情を手紙で知らせておくので、君の生活面での面倒はちゃんと見てくれる筈だ」

「有り難う御座います」


(言ってみるものだな)

と素直に有り難く思った。


冒険者用の装備。

女性の場合は乗馬服のような服とブーツ姿。

それに加えて皮の胸当て、肘当て、グローブを装着。


武器は弓と短剣が女性冒険者の定番らしいが、私の場合は槍。

普通の槍だと重くて振り回せないので短槍を購入。

クリストフが支払ってくれたが傍らで

「幾らするのか」

ちゃんと脳内計算はしていた。


間違いなく足りなかったので

(うわぁ〜。助かったぁ〜)

と安心し過ぎて、クタッと脱力…。


更にはダンスの授業用のドレスを見に行った。

ドロテーアが

「授業用は派手なものは禁止されてる筈だけど、多分皆普通に派手なドレスで来るでしょうね」

と渋い顔をしている。


「…そう言えばダンス授業は『ダンスパートナーを婚約者に限定』みたいな配慮がないんだったな?」

クリストフが疑問を口にすると


「うん。それ、俺も疑問に思った。ダンスって結構身体密着させるから、結婚の約束もない未婚の男女同士が踊って問題無いものなのか?って」

エールリヒもクリストフの言いたい事を汲み取って首を傾げた。


「…ダンスの授業自体が婚活を兼ねてるんじゃないの?」

というドロテーアの言葉で


「「あっ…」」

と気が付いた男2人。

見る見る間に表情が険しくなる。


「クリフがヴィヴィの婚約者ですって公表しても授業のダンスパートナーにはなれないんでしょうけど…。ちゃんと公表しておかないとヴィヴィに結婚を申し込むバカも湧くかも?」


「…殺す」

「お前が言うと冗談に聞こえない」


「とにかく、ダンスの授業が始まるより前にラングラン公爵令息にでも言って『クリフとヴィヴィの婚約関係を周知させる』べきよ」

「そうだな」

「明日にでも頼んでおこう」

と言った調子で話がまとまった。


この人達は私がモテると思ってるようだ。


「…アザール王国では赤眼じゃない公爵令嬢なんて見向きもされないと思いますよ?」

と一応ツッコミを入れてみたが


「いやいやいやいや。誰も彼もがルクレール公爵令息のような審美眼の狂ったゲテモノ好きとは限らない!」

とエールリヒがツッコミ返してきた。


(パスカルが「ゲテモノ好き」…)

思わず吹き出しそうになったが


ドロテーアから

「…ヴィヴィはゲテモノ好きのバカ男に魅力を全否定されたせいで自分がどれだけ美少女か分からなくなってるのね。可哀想に」

と哀れまれた。


そうしてドレスは地味で飾り気のないものをクリストフが選び購入した。


「…本当はドレスはオーダーメイドにするべきだが学生の身では流石にオーダーメイドは無理だ。すまない」

と言ってくれたが


「いえ、ダンスの授業は来週から始まりますから、元々既製品を買うしかなかったと思います。買っていただけただけで本当に有り難いです」

と恐縮した。

本当に、良くしてもらった上に謝られたりすると恐縮してしまう…。


こうして必要な物は得られた訳だがーー


(王家も公爵家もとことん無責任でクズだな)

とは思った…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ