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王城に着くと、しばらく待合室で待たされてから、謁見室ではなく、応接室へと通された。
星辰の間ーー。
ちょっとしたステージがあるので少数の客をもてなす時などに使われていた筈。
(私を「お客様扱い」してくれてるって事?…あの長兄が?…ないな、うん)
不審に思いながらも星辰の間へ入室すると、シャリエール公爵家や宰相に加え、シャルル・ラングランに、バルシュミーデ人学生もいた。
あと、白い制服の医務官達が布をかけたワゴンと共にステージ傍に控えている。
(この面子に、何か意味があるのかしら)
と益々不審さが増す。
私に続きーー
兄達も、王太后も入室してきたので
益々趣旨が分からない呼び出しだと思った。
宰相が何食わぬ顔で
「本日はシャリエール公爵のたっての願いで血縁関係看破魔道具の使用協力とその見守りを関係者の皆様にお願いする事になりました」
と言い出したことで
シャリエール公爵が国王に
「血縁関係看破魔道具の使用協力と見守りを願い出たのだ」
と分かったこともあり
(…そういう場に呼び出されるって事は、まさか「私が当事者?」なのでは?)
と急に怖くなった…。
次いで長兄の国王ランベールが
「前々から私もシャリエール公爵も共通の疑問を『ハッキリさせたい』と思っていたのだ。
今回、シャリエール公爵がランドル王国との交渉で血縁関係看破魔道具を正規価格で購入できたので、その共通の疑問を共に晴らそうという事になった」
と宣うた。
「う〜ん…。で?陛下は一体、何をなさりたいんですか?」
と次兄のジルベールが尋ねると
「ジルベール兄上は本気で何も気付いて無かったんですね」
とフィリベールが驚いた表情を見せた。
傍らでヴィルジールがハァァーッと溜息を吐いて
「陛下と公爵は、私とシャルリーヌが兄妹のように似てる事をお気になさっていらっしゃる、という事ですよね?」
と問うと
ランベールとシャリエール公爵が
「そうだ」
「左様でございます」
と頷いた。
ヴィルジールとシャルリーヌ。
確かに似ている。
でも母方の従兄妹なので似てても不思議ではない。
しかしこういう場面で直ぐにヴィルジールからそういう言葉が出てくるという事は…
ヴィルジール自身が元々シャルリーヌを「妹かも知れない」と思っていたという事を示す。
(…だからヴィルジールお兄様は私をゴキブリでも見るような目で見てたのね)
半分血の繋がった妹ならぬ、紛れ込んできた従姉妹。
私のせいで実の兄妹が引き離されて、尚且つ父王からも疎まれたと。
まるで私を加害者のように思っていた、という事か…。
だけどーー
それについてはちゃんとよく考えて欲しい。
赤ん坊だった私が赤ん坊だったシャルリーヌをさらって、シャルリーヌの居場所へ自分からのこのこ出向いて成りすますなど、できよう筈もない。
つまりヴィルジールとシャルリーヌが実の兄妹で、私が偽物だったとしても…私には全く何の罪もない。
なのにヴィルジールは
(死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね)
とでも言いたげな物騒な視線で私を見ている…。
(理不尽だなぁ…)
まぁ、私以外にも嫌な思いをしている人もいる。
シャリエール公爵が少し昂揚感を滲ませながら
「本日は宜しくお願いします」
と私以外の王族に挨拶しているのに対してーー
シャリエール公爵夫人の顔色は悪い。
(今日のこの場は、この人を断罪するための場、という事か…)
公爵夫人の様子など全く意に介さないかの如く、医務官達が澄ました顔で
「それでは皆様の血液を採取させていただきます」
と宣言してから、手分けして採血を始めた。
そしてシャリエール公爵家、私、ヴィルジールの血液が採られた。
医務官が
「先ずはシャルリーヌ嬢の血縁関係を明らかにします。側妃ロズリーヌの血判から採取した血液で親子関係を調べます」
と言って、ワゴンに被せていた布を取り、ワゴンに乗ってた魔道具に血液を投入していった。
「少々お待ちください」
と言われて二、三分経った頃に
「間違いなく親子ですね」
と明言して、せっせと記録を取った。
「「「「やっぱり!」」」」
と幾人かが声を上げた。
(詐欺とかじゃないんだよね?)
と狐に包まれたかのような気分だ。
「次いで、先王アンベールの血判から採取した血液でシャルリーヌ嬢との親子関係を調べます」
またも少し経ってから
「間違いなく親子です」
と告げられた。
シャルリーヌはブルブル震えながら
「そんなっ…」
と泣き出した。
ヴィルジールが
「やっぱりシャルリーヌが父上の子で私の妹だったんだな…」
と思いやり溢れた優しい眼差しでシャルリーヌを見た。
(…二重人格なのかな?私に対するのと、余りにも違う…)
ダメ押しのようにヴィルジールとシャルリーヌの血縁関係も調べられて…
「恙無く2人が両親共に同じ兄妹だと明確になった」
ところで
「ーーさて、次はヴィヴィアンヌ王女殿下の血縁関係を調べていきましょうか」
となった。
ヴィルジールがすかさず
「医務官。その女は『王女殿下』ではない。間違えるな」
とツッコミを入れた。
「…では、『ヴィヴィアンヌ嬢』。よろしいでしょうか?」
「…ええ。どうぞ」
いちいち傷ついても仕方ない。
私と側妃との血縁関係ーー。
「親子ではありません。叔母・姪くらいの血縁です」
私とシャリエール公爵夫人との血縁関係ーー。
「間違いなく親子です」
(…それで肝心の父親は?)
と誰もが疑問に思った。
シャリエール公爵夫人の浮気相手は分からない。
そこでシャリエール公爵夫人の夫であるシャリエール公爵の血液で血縁関係が調べられるとーー
「間違いなく親子です」
という判定結果を告げられて
夫人を除くその場のほぼ全員が
「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」
と声を上げた。
(思わず私も)
しかし何故かランベールは
(その可能性も考えていた…)
と言わんばかりに独りウンウンと独り頷いている…。




