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四季の国  作者: 露(つゆ)
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冬の国

「ようこそ、四季の国へ」

 節(せつ)はいつの間にか、ここに立っていた。目の前にいる天から自己紹介と四季の国について説明を受ける。そして聞かれる。

「あなたは春夏秋冬、どれがいい?」

 節は躊躇いなく答える。

「そりゃもちろん、冬の国一択!」

 天は少し目を丸くした後、穏やかに微笑んだ。

「では、案内しよう」

 雲が晴れると、そこは一面の銀世界。

「わー! 雪だ! 雪だ!」

 節は駆け出して雪面に足跡をつけ、倒れ込んだ。起き上がると天に嬉しそうに言う。

「型ついた!」

 年頃の少女……よりかはいくぶん幼い印象を受けるが楽しいのならそれで良いと天は笑った。

「ねえねえ! 雪だるま作ろうよ!」

 節の誘いを天は快く受けた。

「ああ、いいよ」

 ごろごろごろごろ、二人は雪玉を転がした。大きくなった雪玉を雪玉の上に一緒に重ねる。

「かんせーい! まあちょっと物足りないけどね」

 天は節の言わんとしていることがわかる。

「顔に使う、人参と木炭、それとバケツ」

 天は手のひらを上に向け、ぽぽんっとそれらを出す。節はその動作を興味津々という風に見る。

「おお! 魔法?」

「君も使えるよ」

 節の顔は輝く。

「ホント!?」

「欲しい物を念じてごらん」

 節は真剣な顔になり、むむむ……と力を入れる。

「出でよ! 雪だるまの手にちょうど良い木材と手袋!」

 それはぽぽんっと節の手のひらにやって来た。

「出た! すごーい! やったー! やったー!」

 節の喜び様を天は邪魔したくなかったので、後でそんなに力まなくてもできるよ、と言っておいた。


「ねえ! 雪うさぎ作ろ!」

「いいよ」

 節と天は雪を固めて台を作り、そこに南天の葉と実をつける。

 節の雪うさぎも可愛いが、天のものは完成された綺麗さだ。

「上手いね~」

「上手いだけでつまらないさ。節の方が愛嬌がある」

 その言葉に節は天の両頬をぺちっと両手で挟む。天は少し驚いている。

「誰にでも、いいところはあるの。自分を下げちゃダメ」

 天は頬をむにむにされながら微笑んだ。

「わかったよ」


「今度は雪合戦!」

「いいよ」

 防護壁を建て、互いに雪玉を貯めこんだらスタート。

 節は、きゃーきゃー言いながら隠れたり雪玉を投げたりする。天のコントロールは正確無比。先ほど、節にああ言われたから、手加減なんてしてやらない。

 天も節もおもいっきり楽しんだ。


「休憩~!」

 雪合戦が終わり、節は雪の上に座る。天もその隣へ行く。

「死んでからもこんなにはしゃげるなんて思わなかった!」

 節は満足げだ。

 そんな節に天は気になっていることを聞く。

「君は雪が怖くないのかい? 恨んでないのかい?」

「なんで?」

「だって君は屋根から落ちた雪に押し潰されて窒息死したじゃないか」

 節は笑って答える。

「私は、雪国で生まれて雪国で育った。雪はいっつも私の生活にいた」

 節は足をパタパタさせながら言う。

「雪で遊ぶのは楽しいけど、楽しいだけじゃないのは私がよく知ってる。滑って危ないし、積もると玄関から出られないし、雪かきしないと屋根が潰れるし。でもね」

 節は天に満面の笑みで言う。

「私は雪が大好きなの!」

「……たとえ、殺されても?」

「それは私が不注意だったから。雪が悪いなんて言えない」

 節は立ち上がる。

「楽しくて、恐ろしくて。雪はいろんな姿を見せてくれる」

 節は天の手を引っ張る。

「さ! 遊ぼ!」

 天は立ち上がる。

「元気だね」

「元気が私の取り柄だから!」

 節の笑顔は雪に反射してキラキラと輝いていた。天は、そんな節を眩しく思った。


 ここは四季の国。あなたが望むならそれでいい。そんなあなたをここは受け入れる。存分に楽しみなさい。

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