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第一章 4 『あの日の記憶』

佳苗さんと僕がペアワークの課題を提出してから、ちょうど二十分が経っていた。


先生がその課題をメールで受け取ったことを確認すると、佳苗さんは一言も発することなくAPAの接続を切った。


ただ、教室から姿を消したのだ。


まるで、課題が終わったその瞬間、僕の存在が不要になったかのように。


今、僕は自分の机に座り、その日の最初の休み時間が終わるのを待っていた。いつものように、学校全体が特有の静けさに包まれていた。


それは心地よい静けさではなかった。


穏やかな静けさでもなかった。


それは、毎日耳にしていれば慣れるはずの静けさだったのだが、なぜか、その重みが肩にのしかかり、まるで耐えるのが少しずつ難しくなっているかのようだった。


右手で顎を支えながら、すぐ横にある窓に映る自分の姿を眺めた。


僕の顔は疲れて見えた。


大げさなものではなかった。劇的な表情をしていたわけでもなかった。ただ、同じことを続ける価値がまだあると自分に言い聞かせ続けてきた、あまりにも長い時間を過ごした人間の顔だった。


その映り込みを見つめていると、この学校の生徒たちに拒絶されてきた数々の出来事が次々と脳裏をよぎった。


次から次へと。


一つひとつ見れば、それほど重要には思えないような小さな場面。


そらされる視線。


返ってこない返事。


誰にも受け取られず、宙に浮いたままの挨拶。


そして、気づけば、僕はなぜ今もなおこれを続けているのか、その「理由」を自問し始めていた。


佳苗さんが僕に言った言葉のすべてが、自分のやっていることすべてに疑念を抱かせるきっかけとなった。彼女が何かまったく新しいことを言ったからではなく、僕が長い間無視しようとしてきたことを、彼女が声に出して言ったからだ。


結局のところ、僕はもう二年近くも、学校中のみんなの考え方を変えようと試みてきたが、何の前向きな成果も得られていない。


僕を除いた教室の十九人の生徒のうち、佳苗さんを含めても、まだ僕に言葉をかけてくれるのはたった八人だけだ。


それも、佳苗さんの場合は、彼女が学級委員だからというだけの理由だった。


残りのクラスメートたちは、僕が話しかけるたびに、いつも僕を無視し続けている。


最初は、もしかしたら僕の声が聞こえなかっただけかもしれないと自分に言い聞かせようとした。


次に、単にどう返事をすればいいかわからないだけなのだと自分に言い聞かせようとした。


しばらくすると、もしかしたら問題は僕の話し方や声のトーン、タイミング、あるいは彼らに近づく方法にあるのではないかと思い始めた。


いつも何かしらの言い訳を見つけていた。


なぜなら、自分が何か間違ったことをしたのだと考える方が、彼らが単に僕とは関わりたくないだけかもしれないという事実を受け入れるよりも楽だったからだ。


しかし、結局のところ、答えはいつも同じだった。


彼らが僕と話をしたくないわけではなかった。ただ、僕のことなどどうでもよかったのだ。


彼らが僕と話さざるを得ないのは、こうした珍しいペアワークが行われる時だけだ。それでも、そうした時でさえ、作業が終わった途端に会話は途切れてしまう。


二十分ほど前の佳苗さんとの時もそうだった。


先生たちについて何か言うとしたら、奇妙に聞こえるかもしれないが、生徒たちと会話をするよりも、先生たちと会話をするほうがさらに難しい。


それは、授業の間中、その時の担当教師であるAPAが、教室の前方の定位置から決して動かないからだ。いつも同じ場所に立ち、穏やかで感情のない声で授業を進めている。


その後、学校のイントラネット上のチャットを通じて、僕たちの質問に答える。


それだけ。


授業が終わった後のちょっとした会話があるわけでもない。自分の机の前で立ち止まって、内容を理解できたかと尋ねてくれる人もいない。


結局のところ、ここ日本のどの学校でも、教育とはそういうものなのだ。


それでもなお、この状況のどこかに違和感を覚え続けていたのは、僕だけだった。


僕は唇を強く噛みしめながら、自問した。


なぜ、まだ続けているのだろう?


なぜ、まだ自分を苦しめ続けているのだろう?


僕が今やっていることすべてから、何か得るものがあるのだろうか?


答えは浮かばなかった。


ただ、沈黙だけが再び僕の思考の隙間を埋め尽くした。


僕は視線を少し下げて、机の表面を見つめた。指は木の上でじっとしていたが、そこに微かな緊張を感じていた。まるで、自分の一部が拳を握りしめたいと願っている一方で、もう一部にはそれをする力さえ残っていないかのようだった。


僕がしていることといえば、すでに惨めだった学生生活を、さらに惨めなものにしているだけだった。


もし努力をやめれば、すべてがもっと楽になるかもしれない。


彼らに話しかけるのをやめれば、無視されるたびにこの恥ずかしさを感じ続ける必要もなくなるかもしれない。


学校とはそういうものだと受け入れるだけでよかった。


それが一番賢い選択なのだろう。


しかし、これまでずっと失敗を重ねてきたにもかかわらず……


それでもなお、僕を挑戦し続けさせる理由は何だったのだろうか?


僕はゆっくりと目を閉じた。


教室の静寂はさらに深まった。


そして、少しずつ、あの日の記憶が頭の中に浮かび上がってきた。


それは、別の誰かの学生生活の光景だった。


その人が、こことは別の国で、別の学校で、ここにいる生徒や先生たちとはまったく違う人たちと共にいる姿を映した光景だ。


それは僕の記憶ではなかったが、それを思い出すたびに、たとえほんの数秒間であっても、まるで自分がそこにいたかのような感覚が心のどこかで湧き上がってきた。


人々が互いの目を見る学校。


先生が机の間を歩き回る学校。


ペアワークで強制されなくても、生徒たちが互いに話し合う学校。


僕のような人間にとっては、想像することさえほとんど不可能に思えるような学校。


しかし、そうした光景は確かに存在し、僕はそれを見ていた。


だからこそ、それらを忘れられなかったのかもしれない。


なぜなら、それらを見た瞬間から、それらは単なる空想ではなくなったからだ。それよりももっと残酷なものになった。可能性になったのだ。どこかに、僕とは違う学校生活を送っている生徒たちがいるという証拠になったのだ。


まるで、そんな生活が僕にとってもあり得るかのように。


再び目を開けたが、教室は相変わらずのままだった。


机は定位置にあった。


APAたちは黙り込んでいた。


窓は相変わらず、疲れた僕の顔を映し返していた。


何も変わっていなかった。


それでも、その記憶はそこにあり続け、目の前にあるものすべてよりも鮮明だった。


あの日こそ、僕が自分のAPAをもう二度と使わないと決めた日だったのだと、今でも覚えている。

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