奴隷オークション③
「一人目はご存知の方も多いはず。スコーピオン盗賊団団長にして『陽炎』の二つ名を持つジャンだ。スコーピオン盗賊団が騎士団に壊滅させられた時に、捕縛し今回奴隷となりました。護衛にするも良し、恨みを抱く者も多いでしょう。拷問して憂さ晴らしも、良しです。さぁ、虹金貨3枚から行きましょう……」
流石は、シークレットだね。名高い盗賊団の団長から、スタートした。残念ながら今回は俺達は見送るが、他に四名のシークレット奴隷がいるから……どんな人だろうか?
恐らくはアオイやアカネは分、裂体で分かってるんだろうけどね……俺には、教えないように言ってある。楽しみたいからね。
「…………『陽炎のジャン』は、86番様が落札しました。ありがとうございました」
最初の踊り子を買った、スケベそうなハゲ頭の貴族が落札した。
アイツは『陽炎のジャン』にも、色目だったぞ。しかも、ヨダレまで。まさか……両刀使いなのか? さらば『陽炎のジャン』よ。悪い事は、するもんじゃないな。
新たな扉が開かれない事を、願うしかないよ。もはやジャンは、陽炎のように消えそうですね……
「さぁ、続いては……なんと、この方が会場に登場する日が、来るとは思いませんでした。サスーニア海洋国でも、知る人も多いでしょう……『白い女帝』ことジェシカ・フォン・トロワ嬢。この度、謀反を起こしお家取り潰しとなったトロワ子爵令嬢になります。我が国の学園でも、歴代の成績トップでもあり……魔導士としても優秀です。さあ……虹金貨2枚からスタートします」
この娘は、少し陰謀の匂いがするね……しかし、会場の中央に立たされた彼女からは絶望的な表情を感じず……その堂々とした姿にみすぼらしい貫頭衣を着せられてるにも関わらず、凛とした雰囲気を感じる。
「主様……」「ルディ……」
なるほどね。スライム娘達も、反応する位の娘なんだね。多分、俺は……
〘ユニークスキル『運命の輪』が発動しました。運命の輪が正位置にて回り始めます〙
……? そうなんだね。『運命の輪』からも指示が来たね。俺はスライム娘達に頷く。この娘だけなのかな?
「……虹金貨2枚」
俺は金額を魔道具に打ち込み、番号札を上げた。
「41番様、虹金貨2枚です。他にございませんか? あの『白い女帝』ですよ。見た目も大変美しいです」
クソッ、オークショニアめ。余計な事を言うな……
「グフフ。『白い女帝』を、僕ちゃんの奴隷にするのです。パパからお小遣いをかなり使いましたが、僕ちゃんはあのナマイキな顔が歪むのを見たいのです。ポチポチとな」
アイツはさっき見た、キラキラに着飾ってマッチョな奴隷に乗った貴族だ。アイツには、アオイがかなり金を使わせたはずだけど……まだ持ってるのかる
「……おっと、22番様から虹金貨2枚と聖金貨5枚です。『白い女帝』ですよ。働かせるのも良し、子供を産ませるのも良しの商品でございます」
「こうなれば……」「それなら私も……」「イヤ、『白い女帝』は私のモノだ……」
……1人脱落
…………2人脱落
………………3人脱落
「残りは22番様と41番様。どちらが『白い女帝』の主人になれるのか……現在は虹金貨4枚と、聖金貨5枚だ。提示したのは22番様、41番様はどう致しますか?」
クソッ、あの僕ちゃんがこんなに金を持ってるとは……運命の輪が反応していたんだ。ならば……
「……これでどうだ!」
「おお、出ましたね……41番様、虹金貨5枚です。大台に乗りました。虹金貨5枚で、ございます」
会場からは、盛大な拍手が沸き上がる。歓声も凄い。忘れかけていたが、目の前にいる『リジェクテッド』のメンバー達は、青い顔をして俺達を見つめている。俺は彼らをジッと見た。目を逸らして、悔しそうだな。フフフッ、気持ちいい〜なっと思ったら……
「あ〜、22番様。虹金貨6枚だぁ。本日、最高額を更新したぞ〜。さあ、41番様はどう致しますか?」
…………………………何故だ?
『運命の輪』が反応したはずなのに……負けるのか?
俺はなかなか受け入れられず、立ち尽くした。その間も、オークションは進む。
「……落札です。虹金貨6枚で22番様が見事に『白い女帝』を手に入れました」
オークショニアの言葉が、非情にも会場に鳴り響く。
会場は割れんばかりの拍手と、22番のゲス貴族の
「グフフ。勝ったのです。平民如きが、僕ちゃんに勝てるはずは無いのです。ナマイキな女帝を、僕ちゃん好みに調教してやるのです。グフフ……グフフ」
という下卑た勝ち誇り声に、包まれていた。
クソッ……クソッ。
なぜだ? 『運命の輪』が正位置で反応したはずなのに……俺のスキルは、俺を見放したっていうのか?
目の前のガラスの向こう、一般席の『リジェクテッド』のメンバーたちが、俺が競り負けたのを見て……人指をコチラに向けながら邪悪で歪んだ笑顔を浮かべて、こちらを見上げているのが分かった。
「ギャハハ。ざまぁみろルディ。偉そうにVIPルームでイキがってたクセに、結局一番欲しい女は買えなかったんじゃねえか」
という、ブリッツの品性のない心の声が聞こえてくるようだ。周りのメンバーも、笑い転げてる。
悔しさと困惑で頭がどうにかなりそうになり、俺が拳を強く握りしめたが……その時、
「ウフフ……主様。そんなお顔を、なさらないでくださいませ。すべては、主様のスキルの導き通り。完璧な『正位置』ですわ」
耳元でアオイが、甘いようなとろけるような声で囁いた。それは背筋が凍るほど、冷徹で美しい笑い声を漏らした。
「え……アオイ? どういう事?」
俺が呆然と振り返ると、反対側からはアカネも『クスクス』と意地の悪い笑い声を上げてる。
「ルディ、本当に負けたと思ってるのかしら。私達が居れば、アナタは負けないわよ」
「主様、すでにあそこの22番のオークみたいな醜い貴族には、私の分裂体が完全に同化して潜り込んでおります。よって分かるのです。あのオークの総資金が……」
どういう事だ? 資金が分かる?




