奴隷オークション④
「主様、すでにあそこの22番のオークみたいな醜い貴族には、私の分裂体が完全に同化して潜り込んでおります。よって分かるのです。あのオークの総資金が……」
スライム娘達から言われたが、どういう事だ?
「主様は堂々として貰って、大丈夫でございますよ。後は私とアカネに、お任せ下さいませ」
アオイはそういうと、ウフフッと笑っていた。
その後も、オークションはシークレット奴隷の3人目と続き……
〘ユニークスキル『運命の輪』が発動しました。運命の輪が正位置にて回り始めます〙
また、運命の輪だ……
「……落札。またまた、22番様が落札した。今度は『蒼穹の月』こと、エルフ族のルーナは22番様の手に……虹金貨6枚だぁ〜」
クソッ、完璧にこちらの資金を読んでいる。
シークレット奴隷4人目も……
「これは止まらない。またもや22番様。虹金貨6枚で北海を荒らし回った、バイキング『虐殺の悪魔』ことシーデビル二世は22番様へ……」
「フフフッ、これは要りませんね。押し付けられて何よりです。ユニークスキルは発動してませんしね」
確かに。でも全てあのオーク貴族が、持っていってるけど……逆転出来るの?
俺の心配しているが、ついに最後のシークレット奴隷のみになった。
そして異変に気がついた。それをアオイが見て『ウフフッ』と笑っていた。
〘ユニークスキル『運命の輪』が発動しました。運命の輪が正位置にて回り始めます〙
やはり最後も、運命の輪が回る。
「さぁ、泣いても笑っても、これで最後だ。なんとラストを飾るのに相応しい、奴隷の登場だ。大陸で君臨した『獣王』の娘が我が国で見つかり、奴隷となり販売されます。なんと彼女はただ一人の、魔法を操れる獣人族で……現存する唯一の幻獣種『天狐族』だ……」
ザワザワ……ザワザワ……
綺麗な銀色の髪をして、少し尖った耳に4本の尻尾。そして……ロリなツルペタ体型のナマイキそうな、メスガキ臭がする。その『天狐族』の少女は、俺と22番のオーク貴族を見て『ニパッ』と笑った。そう、今までの奴隷で、舞台から笑った者はいない。
「なるほど……やはり、彼女の力でしたか、主様。この状況は私達だけでなく、彼女の力も大きいのです。恐らくはここで、あのオークは……破滅します」
アオイがあの貴族の破滅を、予言した。そして、再びオークションが始まり……
「……やはりここで22番様が有終の美を……少しお待ち下さい……」
突然、スタッフが駆け寄りオークショニアに耳打ちする。
22番のオーク貴族のVIPルームも慌ただしく、人が出入りする。
それを呆然と見つめる会場、プラス俺。
アオイとアカネ、それに会場中央にいる『天狐族』の彼女だけは楽しそうだ。種明かしに、アオイが口を開く。
「あの獣人族の少女は、主様と同じなのです。ユニークスキルを覚醒してます。スキル名は『愚者』。効果は……」
愚者……大アルカナ「0」番目のカードです。一言で表すと「未知なる旅の始まり」や「無限の可能性」を象徴します。常識にとらわれない自由なエネルギーを意味し、正位置では直感に従う行動力を、逆位置では無計画や無責任さを暗示します。
所有者は自分だけでなく他人に対しても自由に欲望を無計画に肥大化させる事が出来る。
アオイから効果を聞いた俺は、ものすごく嫌な事を考えた。多分、あの『天狐族』の少女の筋書き通りになるんだろうな……そしてアオイもアカネも、同意してるっぽいし。
「えー、非常に言いづらいのですが申し訳けございませんがトラブル発生の為、今回のオークションはこれにて閉幕とさせて頂きます」
オークショニアから閉幕の合図と、観客席から客達が出される。そして、俺達の所には係員がやって来て……
「……申し訳ございませんが、一緒に来て頂けますでしょうか?」
俺達は、オークション会場の奥の部屋へと通された。
そこにはオークションを経営してると思われる裏組織のまとめ役を想像させる人物と、先ほどのオークショニアがいた。
「ご足労頂き、ありがとうございます。実は先ほどから、落札されていたお客様の総資産を越える虚偽申告が発生しました。これは重大な規約違反になり、お客様の資産等を処分しても、若干足りない状況になっております」
まぁ、アオイから聞いていたからそうだろうね。でも何で、俺達が呼ばれたんだろう?
「そこであのお客様はすでに追い込みをかけてますが、恐らくは全ての回収が出来ません。よって競っていたお客様なら、差額分をお支払い頂ければ規約違反になった商品をお渡し出来ますが……如何でしょうか? 我々は、そうして貰えたら非常に助かります」
なるほどね……これがアオイ達が描いた、絵なんだね。
ユニークスキル『運命の輪』もこれを予見していたのかもな……そうすると、シークレット奴隷でもあのバイキングは要らないよね。『運命の輪』が反応してなかったしね。
「分かりました。とりあえず手持ちは、虹金貨5枚が限界です。後、あのバイキングだけは要らないです。ふむ、そうだ。冒険者ギルドの受付嬢でエマールさんに、聞いてみたらどうかな? 確か繋がりのある冒険者パーティー『リジェクテッド』のメンバーも、オークションに来てましたから……彼女の父親は、貴族で羽振りが良いみたいですよ」
「おお、ありがとうございます。『リジェクテッド』。あの有名な……それでは早速……」
「あっ、そうそう。俺からの伝言も……『そんな位も買えないの?』っとだけ……」
俺はニヤリとすると……オークショニアや裏組織の人も、ニヤニヤして握手をした。




