スライム無双
「フィオナ、はい。今日の成果よ」
「アカネちゃん、またスゴイ量ですね。」
セレスティアル・ガーデンが結成されてから連日素材の山が出来るほど、大量に持ち帰ってくる。
フィオナさんには悪いが、それは迷宮都市ビギナリアで活動していた頃よりも多い。
当たり前だろう……新人冒険者として、エスナさんとミラさんに合わせていたのだから。
そこで追放だからな。しかも今のパーティーメンバーはアオイとアカネだから遠慮はいらないというか、アオイは俺に合わせてくれるし、アカネも文句を言いながらもこっちを見てるからな。
「すまないな、フィオナさん。仕事ばかり増やして、アオイもアカネも張り切って魔物や素材の回収をしてるんだ。フィオナさんの役に立ちたいみたい」
「もう、主様は……言わないで下さいよ。はう〜、恥ずかしいです」
「フン、あったりまえじゃない。私達は一番の冒険者になるんだから、私達の仲間のフィオナをまた一番にするのは当然よ」
二人共に可愛らしいな。やはり性格なのかアオイは、防御主体の戦闘だな。盾を持ち槍で突く。水魔法も得意で牽制したり、中級回復薬作成で回復してくれたり。
万能な働きをしてくれてる。
アカネは逆に、攻撃主体の戦闘だ。身の丈を余裕で越えるハルバードを自在に操り、燃えるような赤い髪がハルバードに合わせて揺れる。まるでダンスのステップを踏むかのように、鮮やかさだ。火魔法も得意で、囲まれても一人で切り抜けられる戦闘力がある。
【新緑の森】からは魔物素材と、様々な資源の回収をしている。魔物は弱いから少額だが、森の恵みはそれなりに良いお金になる。
【乾いた台地】からは逆に資源らしい資源がないかと思われていたが、砂鉄が多く含まれているらしくアオイが錬金術を使い純鉄を量産していた。それを見たアカネが張り合って、スゴイ量を集めて鉄の山になった。迷宮都市ビギナリアのドワーフオヤジにでも、格安で売るかな……
【鏡面の水面】からは水中からの攻撃に業を煮やしたアカネが、水を蒸発させる程の火魔法で一掃していた。
素材をダメにしたと、アオイから注意され不貞腐れているアカネ。
【廃鉱山ラービィクス】でもアオイは鉱物資源の回収をして、アカネは現れる魔物を討伐している。ここは役割分担が出来るから、スライム同士のケンカが無くて良いな。オレは……アオイとアカネを褒める役目をさせられてる。
そしてここで取れる魔鉄なんだが、魔物素材を錬金術で混ぜて『魔鋼』にしているんだが……ここにアカネの火魔法で更に加熱すると硬度と粘度が上がる事を発見した。
これは『魔鋼』を錬金術で作るアオイに嫉妬したアカネが火魔法をぶっ放した事があり偶然の発見だったが新たな素材が出来てしまった。『特級魔鋼』と名付けた。本人は……
「フフン。アカネ様にかかればこんなものだわ。感謝しなさいよね。私みたいな優秀なスライムを従える事が出来た幸運に……」
「ア・カ・ネ。ダメでしょう。むやみに火魔法を使ったら火事になります」
アオイの顔が笑顔なんだけど……目が笑ってない。
「あはは……二人とも、そこまでにしような? 火事になったら大変だし、せっかくの『特級魔鋼』が台無しになっちゃうからさ。アオイもアカネも、本当に凄くて俺は鼻が高いよ」
俺が二人の頭をポンポンと撫でると、アオイは
「主様がそうおっしゃるなら……」
と両膝を合わせて、モジモジとしている。そしてスッと表情を和らげ、アカネは
「ふ、ふん。私の凄さを分かればいいのよ」
と顔を真っ赤にして、そっぽを向いた。うん、今日も我が家のスライムたちは最高に可愛い。
「こんにちわ。ゲンさん。また解体だけど大丈夫かい?」
俺達は最近、特別に作られた素材保管庫でゲンさんを見つけて声をかけた。
「おう、ウチのエース様じゃねーか。また解体か? お前さん達が多く持ち込んでくれるから、ウチの母ちゃんがご機嫌でな……残業してこいってせっつくんだよ。ガハハハ」
今までは解体するような魔物が持ち込まれる事は少なかったらしいが、俺達が大量に持ち込むから急遽この倉庫を建築したんだ。今は俺達専用だな。
「アハハ、それは何より。奥さんに美味いもんでも食べさせてやってくれ」
俺は迷惑料として、金貨一枚を指で弾いてゲンさんに渡す。
「おいおい、いいのかよ。こんな大金を……流石エース様は、やる事が大きいな」
「いえ、ゲン様のおかげで、主様も心置きなく冒険者を出来るというものです。ありがとうございます」
「ふふん、私達に感謝する事ね」
ゲンさんに向かって『ペコリ』とお辞儀すると同時にユサユサと揺れるアオイと、存在感を主張するように揺らし胸を張るアカネ。それを見たゲンさんは
「兄ちゃんも、別嬪さんを侍らせて大変だな。こんな色ッペーネーチャン達なら心配事も尽きないな」
ゲンさんはそういうと、『ガハハハ』っと笑った。
「もう、お戯れを……」「分かってるじゃない。オジサン」
モジモジして俺をチラチラと見るアオイに、鼻息荒くフフンとドヤってるアカネ。全くいいコンビだよ。
こうやって成果を積み上げていけば、必ず迷宮都市ビギナリアでも話題になってくるはずさ。
俺は屈辱を忘れはしない。『これが俺の生き方だ』




