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寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴
迷宮都市ビギナリア編

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ワケありギルドマスター

 冒険者登録をする時に、魔力水晶を割ってしまった。

 その音を聞きつけて、現れたのは……


「おいおいフィオナ、朝から何を騒いで……って、うおっ? 魔力水晶が粉々じゃねえか」


 奥から現れたのは、不機嫌そうな顔をした髭面のギルドマスターらしきおじさんと、筋骨隆々の解体士のおじさんだった。二人は壊れた水晶と、俺たち三人の姿を交互に見て、ゴクリと息を呑んだ。


「あっ、マスターとゲンさん。冒険者登録をしてくれた、冒険者パーティー『セレスティアル・ガーデン』の皆さんです」


 フィオナさんは誇らしげに、ギルドマスターらしき髭面に話しかけた。


「冒険者登録だぁ? なんでウチみたいな? 小さなギルドで? すぐ近くには、迷宮都市ビギナリアがあるだろう? 犯罪者か?」


 髭面マスターはヒゲを擦りながら、目を細めた。

 その姿からは想像出来ないほどの、警戒心と洗礼された動きだ。

『コイツ強い』、不意に俺も身構えてしまった。


「もう、ダメですよ。マスターはすぐに疑うんですから。ルディ君達は、私が迷宮都市ビギナリアで専属受付嬢をしていた冒険者パーティー『リジェクテッド』のリーダーだったんですよ」


 フィオナさんは胸を張って『ドヤっ』って顔をする。

 その時にプルンと揺れた。おお、最高の揺れだったな。


「フィオナ、気をつけないとこのボウズに見られてるぞ。そんなでけえのぶら下げて……」


「ギルドマスターはセクハラですよ。もう……」


 フィオナさんはドヤ顔から一転、プリプリと怒り出す。本当に表情がコロコロ変わるな。

 見ていて飽きない。


「んで、お前さんは、最近勢いがある『リジェクテッド』をなんで辞めたんだ? 普通は、辞めないだろう? しかも、リーダーだったのに……」


 まあ、そうなるよね。俺はこれまでの経緯と、これからの計画を話した。それに、このギルドマスターは恐らくは……あのギルドの、犠牲者だと思う。


「…………なるほどな。たく、アイツらはまだそんな事をやってるんだな。本当にくだらねー。権力にモノをいわせて。自分達の欲望に、ルーキー冒険者を巻き込むんじゃねーよ」


 本気で怒ってるな。やっぱりこのマスターも、フィオナさんと同じようにこの隣村に追いやられた一人で決定だな。

 俺は筋骨隆々の解体士の、おじさんに視線を移す。

 確かゲンさんって言ったかな?


「ああ、俺は違うぞ。この村の出身で、嫁も子供もこの村にいるからな」


 察したのか、教えてくれた。ゲンさんはそう言って、ガハハと豪快に笑う。どうやらこの人は、ビギナリアの闇とは、無縁の純粋な地元民のようだ。


「……まぁ、事情は分かった。フィオナを左遷したエマールの件も含めて、あの街のギルドが腐ってやがるのは、今に始まったことじゃねえ。だがボウズ、本当にいいんだな? ウチを拠点にするってことは、しばらくはまともなクエストも回せねえぞ?」


 マスターは腕を組み、再び俺を値踏みするように目を細めた。


「ああ、構わないさ。ダンジョンに潜るからな。むしろ、こっちの方が動きやすくて都合がいい。……それにただの、のどかな村ってわけでもなさそうだしな。なあ、アオイ、アカネ」


 俺が声をかけると、それまで大人しく俺の背後に控えていた二人が、一歩前に出た。


「はい、主様。周囲の索敵は完了しております。この村の裏手にある森、その奥にある洞窟から、なかなかに濃い魔力の反応を感じますよ」


 アオイがおっとりと微笑みながら、恐ろしい精度での索敵結果を報告する。多分、分裂体が辺りにいるんだろうな。


「フン、ルディ。いつでもいけるわよ。あの安物の水晶を壊しちゃったお詫びに、どっさりと獲物を持ち帰ってやるんだから」


 アカネは不敵に笑いながら、小さな拳をパチンと鳴らした。

 その言葉を聞いた瞬間、マスターとゲンさんの顔つきが同時に変わった。二人の視線が、砕け散った魔力水晶の破片と、アオイたちのギルドカードへと注がれる。


「……おい、フィオナ。さっき、この水晶を壊したってのは……」


 マスターが引きつった声で尋ねると、フィオナさんは待ってましたとばかりに、再び『ドヤっ』と胸を張った。もちろん、また最高の揺れをありがとう。


「ふふん。聞いて下さいよ。アオイちゃんとアカネちゃんが、ちょっと水晶に触れただけで、パキィィィン です。 しかもマスター、この子たち……スライムですよ」


 フィオナさんが差し出したカードを引ったくるように奪い、覗き込んだマスターとゲンさん。

 二人はカードに記載された文字を見た瞬間、文字通り、顎が外れそうなほど口を開けて硬直した。


「な……初めて見たぞ。人化した魔物は。かなりの高位の魔物じゃないと人化出来ないはずだが……」


「おいおい、冗談だろ? 迷宮都市ビギナリアのギルドの連中はこんな連中を追い出したのか? そのスライムを使役してるのは……」


「……ルディだ。よろしくギルドマスター。今日から、世話になる。それと使役じゃない。この二人は、家族だからな。それにフィオナさんも、俺達の冒険者パーティーの一員だからな」


 俺は人指し指を、ギルドマスターに突きつけて……


「俺達『セレスティアル・ガーデン』は、この辺りのダンジョンを全て制覇する。この村のギルドを、ビギナリア以上に忙しくするからな。付いて来いよな」


「なっ、ナマイキな。良いだろう……やってみろ、ボウズ」


「ああ、もちろんだ。そして、俺達を追い出したクソ野郎達を見返すぞ。『これが俺達の生き方だ』」

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