僕から俺へ変わった日
狼型の魔物に左腕が、魔物に食われていく。その痛みや恐怖の中にも、仲間を信じたい心があったが彼等は笑って見ていた。
何かが僕の中で弾けて飛ぶ音が聞こえた……
〘ユニークスキル:転生者を確認……実行に移します〙
この日、僕は……いや、俺は甘えを捨てたのかもしれない……彼らへの情も。
冒険者のお兄さんに助けられた僕は、家に運び込まれたが……残念ながら左腕を失う事になる……
その後は高熱が続き、何日も寝込んだらしい。そして……
「……思い出した。俺はルディでもあるが元日本人。向こうで死んで異世界に転生したんだな。それにしても……」
無くなった左腕を確かめる。やはりそこには腕が無くなっていた。痛みも残ってる。
「ハァ、どうせ思い出すなら腕が無くなる前にだろう……チクショ〜」
どのくらい経ったのだろうか……コレだけの事があったのに誰も見舞いにも来ないのな。ルディの記憶もあるから悔しい思いもあるが……それよりも、やっぱり大事な事を確認しないとな。異世界なら定番の、
「ステータス」
『ブォン』と音がなるような気がする……目の前には半透明なゲーム画面みたいなのが出た。
【名前】ルディ
【レベル】1
【年齢】15歳
【性別】男
【種族】人族
【職業】スライム士
【髪色】黒
【瞳色】黒
【身長/体重】174/69
【スキル】
・『スライム』:ユニーク
・『転生者』:ユニーク
やっぱり出たねステータス。大体の俺自身の説明みたいだね。元々のレベルがいくつか分からないけど、リセットされたみたい。『転生者』の効果かな……
この中でも知りたいのはスキルだね。スキルの所を集中してみると……
『スライム』
レベル1……スライムを呼べる、一心同体
『転生者』
前世の記憶、スキル経験値増加、ステータス鑑定
ステータス鑑定があるから見られるのかな? うん、どうやらそうみたい。他の人にはないのだろうか? 転生者についてるみたいだしね。
まずはスキル『スライム』だね、レベルがあるという事はこれからも成長が見込めるのだろう。
次は『転生者』前世の記憶は今回、思い出した記憶だろうな。
スキル経験値増加は『スライム』に効果ありそうかな。
一心同体? 何かと一体になる……スライムだよね? スライムになるのかな?
ならば、早速スライムを呼び出してみるかな。
スキル『スライム』発動……近くにいたのだろうか? 青い色したスライムが一匹現れた。
タマネギ型と言うべきだろうか? 日本人が見れば誰でもスライムと分かる一番オーソドックスなフォルム。プルルルっと揺れていて何かカワイイな。
「キュイ、キュイ」
こうなったらスライムに名前が欲しいよね。スキル『スライム』をバカにされていたから記憶を思い出す前の俺は名前を付けてなかったから……
う〜ん……そうだな〜。
手のひらにプルルル揺れているスライムを乗せて目の高さにまで持ってくる。
ブルースライム……ブルー……青……青い!
スライムから触手? が伸びて俺の頬を撫でる。
「決めた! キミの名前は『アオイ』だよ」
「キュイ〜」
この時に俺と『アオイ』を何か見えない糸のようなモノで繋がれた気になった。
〘確認しました……個体名『アオイ』とスキル保持者ルディの名付けを確認。スキル『スライム』一心同体により一心同体を発動します……〙
頭に響く突然響く声……『天のささやき』と呼ばれる、本人のみに聞こえる告知。自身に変化が訪れると、頭に響く不思議な現象。この世界の理と言われている。
天のささやきの告知通り、俺と『アオイ』はこの日から運命共同体になった。
一心同体……スキル『スライム』で呼び出したアオイとの合体が出来る。経験値の共有。アオイの気持ちを理解出来る。スライムが覚えたスキルを使用出来る。
ん〜? 一心同体はまさに『スライム』を活かせる。そして合体か……アオイと合体出来るのかな?
プルルルっとアオイは揺れている。
後で試してみよう……と思いアオイに触れた。
【名前】アオイ
【レベル】1
【年齢】1歳
【性別】メス
【種族】不定形族
【職業】ブルースライム
【色】青
【スキル】
・吸収
これはアオイのステータスかな? ふむふむ、大体は分かるけどアオイってメスだったの?
そして、一心同体の効果で俺も吸収が使えるのか?
試してみたい事が増えたな……
じゃあ、試そうか……『一心同体』
俺の身体が淡く光る。隣を見るとアオイも光っていた。
その光が俺とアオイを繋げていく……アオイが俺の中に入ってくる? 光が収まるとアオイが俺の中に消えた? いや、無くなったはずの左腕が……青い半透明な左腕があった。
アオイなのか? これが一心同体の効果なのか?
一心同体なんだから俺の意思で動かせ……る。
俺の意思で動かせた。
飛び上がる程、嬉しいが今は騒がない。
今いるこの家は俺の実家ではあるが、スキルが『スライム』だと知ると俺を邪魔者にしている家だ。
今の俺は十五歳だ。成人は十六歳だから……一年は捨てられる事は無いだろう。ウチは村でも名家だから成人前に追い出すような不名誉はやらないだろう。その内に……
『俺は牙を研ぎ、バカにしてきたヤツらに噛みついてやるさ。これが俺の生き方だ』
ベットから降りると大きく伸びをしてから着替えた。
これからは余計な時間をかけられない。
これからの希望でワクワクする気持ちと、今までされてきた仕打ちでムカムカした反する気持ちでゴチャゴチャになっていた。
一心同体を解くとアオイを肩に乗せて、部屋から出る扉に手をかける。
今までの僕はここでお別れ……この扉を開けて出た瞬間からは俺になる。扉は『ガチャ』っと音が出て開いていく。そこには輝かしい俺の未来があると信じて……『これが俺の生き方だ』




