冒険者ギルドのテンプレ発動
現在、故郷の村で物の売り買いを出来なくなった俺は、この周辺一番大きな街『モラーザ』に来ていた。周辺の村から色々なモノが、このモラーザに全て集まってくるんだ。この地方の人、物、金がこの都市に集中する。そして近くにはサスーニア海洋国の名物、ダンジョンもある。
それに、買い物以外でも俺には目的があった。それは俺の左腕が無くなった時に助けてくれた、冒険者がこの『モラーザ』に居るのではと……まだお礼を言ってないし、会いたいんだ。赤い髪に左頬に十字のキズをつけた男性冒険者。カッコよかった。
冒険者ギルドモラーザ支部についた。建物の大きさは三階建でなかなか広い。西部劇でよく見る、ウエスタンドアをゆっくりと開けて中に入る。
いや〜、こういうドアってなんかワクワクするよね。
冒険者ギルドの中に入ると、酒の匂いと男達の体臭が混ざったようなすえた匂いが充満している。
冒険者の熱気にだろうか? 賑わうギルド内に、圧倒されてしまうが……俺は気にしない風を装い、受け付けに歩き出す。途中から、ヒリつくような視線を感じるが無視だ。まあ、まだ成人したかどうかくらいの子供が一人で冒険者ギルドに来れば、良くない事を考えるバカは湧いてくるだろうがな……
「いらっしゃいませ。どのようなご要件でしょうか?」
ほわ〜、あのシケた村では見た事もないような、垢抜けているお姉さんが話しかけてくれた。受付嬢さんだね。俺の周りにいた女達も、美少女の部類なんだろうけど……ムカつく気持ちの方が強いしな。
「素材の買い取りをお願いしたい」
まずは討伐したスライムの魔石を数個取り出し、カウンターに置いて提出した。
「はい、かしこまりました。コチラの魔石でよろしいですか?」
「いや、まだまだたくさん魔物素材なんかもあるので、出来たら広い所があればお願いしたい」
「えっ、でも……」
受付嬢さんは俺の荷物が少なくて魔物素材を持っていると言っていたので、戸惑っているのが分かる。
まぁ、普通ならそうなるよね。だから……俺の肩に乗っているアオイに、
「アオイ、出してくれ」
アオイはミユ〜ンと触手を伸ばし、カウンターに討伐した魔物の素材を出していく。
スライムゼリー、ツノウサギのツノ、ホーンディアのツノ、グリーンウルフのキバ、ワイルドベアーの右腕、アイアンクラブのハサミ
スライムが魔物素材をカウンターに置いていく。
最初、受付嬢さんはビックリした顔をしていたが、ホーンディアくらいから慌て出して、アイアンクラブの頃には腰を抜かしそうになっている。
コレで分かってくれたかな……
「まだ、一杯あるから。カウンターが潰れちゃうよ」
受付嬢さんは「こちらへ……」っと、冒険者ギルドの裏へ続く通路へ誘導する。
そこは広々とした倉庫のような場所であった。そこに指示されるがまま、魔物素材を出していく。
魔物素材がちょっとした山みたいに重なっていく。
再び受付嬢さんは、腰を抜かして座り込む。白い逆三角形の布が見えていた。ん〜、素晴らしい眺め。
少し時間がかかるとの事で、冒険者ギルド内で待つ事にした。
もう一つの目的である、俺を助けてくれた赤い髪に左頬に十字のキズがある冒険者に会うために……
辺りを探すがそれらしい冒険者は見当たらず、待っている間に来るかもしれないと思い、入り口に神経を集中していた。
アオイが気づかなかったら分からなかったかもしれないが、不意に俺に近づいて来るオッサン冒険者がいた。
「おいおい、ボウズ。ずいぶんと景気が良さそうじゃねーか。俺にお小遣いよこせや……ブルースライムなんか肩に乗せて。スライムを潰されたくなければ分かるだろう? なぁ……」
まあ、お約束のテンプレってヤツだな……そうだな。このオッサンもこの辺りで活動している冒険者なら、赤い髪の冒険者を知ってるかもしれないし。
アオイを潰すとか言ってるヤツとはゆっくりと『お話』しないとな……
「……ん? なんかクセーな。子供にしか恐くてカツアゲしか出来ない、腑抜けたオッサン冒険者がいるな。加齢臭がキツすぎて魔物まで逃げるから、受付嬢さんには『討伐出来ません〜』っとか泣き言をほざいてるんだろう?」
コレを聞いていた受付嬢さん達は「ぶふ〜」って吹き出していた。あ〜、当たったみたいだな。
オッサン冒険者はみるみる内に顔が赤くなる、沸点が低すぎるし。
「てめ〜、人が穏便に済ませてやろうとしているのに……サッサと出すモン出せば痛い思いをしなくて済んだのに、バカな小僧だな」
赤い顔を俺に近づけて、ツバを撒き散らしながら吠えるオッサン冒険者。プルプルと、怒りで震えてるのが分かる。
「オッサン、近い。俺はオッサンと近づくような趣味はねーぞ。しかも、スライムを潰すとか言ってオッサンの方が、がスライムよりもプルプルしてるじゃねーか」
俺達のやり取りを見守っていた冒険者達は、プルプルしているオッサン冒険者を見て「ぶっ、ワハハハ」っと大爆笑している。冒険者ギルド内は笑い声であるれていた。ただ……受付嬢さん達は、
「美少年とオジサン冒険者……有りね!」
っと、キャーキャーしていた。俺は『おい』っと突っ込んでおく……




