村からの迫害
家族との決着をつけた俺。
次の日からサバイバルの為にまずは冒険者ギルドへ来ている。こんなシケた村でも、近くに魔物が出る森などもあるので出張所があるんだ。これは冒険者でなくても利用出来る。そこでお金を手に入れて、必要な物資を買おうと思っている。
「魔石の買い取りをしてくれ」
受付にいた受付嬢に魔石を出そうとすると……
「申し訳けございません。買い取り出来ません」
……?
冒険者ギルドが魔石を買い取れない?
なんでだろうか……問い詰めていくと村全体での取り決めらしい。出る杭は打たれる的な。
親父かな? 村長なんかも関わってるかも……勇者であるアイツの指示かな? どっちにしても、成人してない子供にやる事じゃないな。器の小さなことで……
「そうなんだ……ポーションも売ろうかと思ったけどヤメた。村の冒険者ギルドとはコレまでだね」
回復薬は『錬金術師』や『薬師』なんかの職業スキルの人じゃないと作れない貴重品。こんなシケた村では、最低ランクのポーションでさえ回って来ない。
受付嬢の目の前で頬にナイフでキズを付けて、アオイの回復薬生成で作ったポーションを飲んで見せた。
またたく間に直るキズを見せて……あーあ、と言いながらギルドの出口に向かう。
後ろからは「ちょっと、待って……」とか言ってるけど無視しま〜す。
この分だと村で唯一の『よろず屋』も……
「ウチでは買い取り出来ないよ〜、しかも売る事も〜」
ニヤニヤしてヒゲをさすりながら、よろず屋オヤジが言っている。
バカの一つ覚えだな……まったく芸がない。
本当にバカだ。ホーンディアのツノの一部を、持って見せびらかした。この村では狩りで生計を立てている人は、元幼馴染のアイツのウチくらい。
ホーンディアのツノはこの地域特有の病を治せる特効薬を、作るのに必要になる。
村では一定数を確保しておくのだが……在庫は常に不足気味。
それを分かっている上で見せた。そして、同じように言った。
「よろず屋とはもう取り引きしません。さようなら」
よろず屋から出て……身体強化を最大にして走り出す。もう、この村では買い物すら出来ないという事だろうな。でもね、別に村じゃないとダメという事じゃないんだよ。だからね……そんなん、コッチからお断りだ。
どうせなら近くの街に行ってみるかな……未成年だから門から入るのにどうしよう。多分、止められるよな〜。忍び込むかな……そうだ。買い物だけだし、試してみようかな。
家を飛び出して一日半で、この辺りで一番大きな街『モラーザ』に着いた。
大きな城壁に囲まれた都市のようだ。交通量も多く、様々な種族が行き交う。
あのシケた村とは雲泥の差があるな。
そして城門を守る門番の姿がある。やはり未成年でしかも一人だと厳しいかもな。
そこで俺にはアオイがいるからね……俺は思いついた一心同体とアオイのスライムな身体の複合技を使ってみた。
俺の考えた複合技とは……アオイの『スライムな身体』にある膨張で、俺の全身を覆い擬態で透明になる。
おお、本当に透明だね。しかもスライムな身体の効果なのかな? 足の裏までアオイに覆われて足音まで消えた。隠密行動も出来ちゃうね。
スゴイね。色々な所にも潜入出来ちゃいます。やっぱり、女湯から……なんでもないです。
「はい、次。今日は何の目的で……」
街に入る為の検問をしている門番を横目に見ながら、俺は横を通り抜ける事ができた。よしよし、気づかれていないみたい……
早速、冒険者ギルドまで行く事にした。
実はこの街に来るのは、初めてではないんだ。ウチの実家では、この街に家畜の肉や野菜なんかを卸していたりする。その手伝いで何度か訪れている。
この周辺一番大きな街『モラーザ』……人口は一万五千人になる。大体、一万人を越えると大都市と言われるくらいだね。周辺の村から色々なモノが、このモラーザに集まってくるんだ。この辺の地域の全てから人、物、金がこの都市に集中する。
丁度良い機会だから、この国の事を話しておこう。ここはサスーニア海洋国。海に囲まれた島国になる。
この国はなんと言っても、『ダンジョン』と呼ばれる資源の宝庫が多数ある。
このダンジョンは様々な不思議空間が広がり、中には鉱石や植物など豊富で採取しても数日間で元に戻る。
また、宝箱も確認され財宝や、伝説の武器防具などを手に入れた冒険者などが一生遊んで暮らせるくらいのお金持ちになったと……一攫千金も夢ではないような話も、そこら中にある。
それは近くの大陸からも、夢をみた命知らず達が日夜、ダンジョンに挑戦してる。そう、このダンジョンは富をもたらしてくれるが、同時に命の危険がある。様々なトラップ類、徘徊する魔物達、ボスと呼ばれる強力な個体など、冒険者の夢を阻む障害が数多くある。そんな障害の数々で犠牲者が多くなった。それにより冒険者ギルドでは、危険度によってダンジョンはランク分けされてたりする。
そんなダンジョンを多く抱える国だけど、出土される武器防具などの性能や、海に囲まれた島国だから他国の進入を防げている。建国以来一度も侵略された事がないのだ。そんな環境なので冒険者になる若者は多く、農家など土地を継げない次男以降は冒険者になる事が多い。
若い娘も結婚前は冒険者で資産形成する者が多く、男女共に冒険者は人気職業になる。そして、体力が落ちてくる年になると冒険者を引退して、冒険者時代に貯めた稼ぎからお店などを営む者も多い。
そんな冒険者も成人にならないと登録出来ないけど、魔物の売り買いだけは許されている。子供なんかはスライムを倒して、その魔石などをお小遣いにしているから。俺が家を出れないのも海に囲まれた国土と、冒険者になれない年齢の為だね。ああ、早くオトナになりたいモノだね……童貞だし。関係ないか……




