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寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴
オークションと新しい仲間

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樹海前支店開店

「ハァ……やっぱり、こうなっちゃうよね?」


 今、俺の目の前では秒単位で広場の風景が塗り替えられていく。


 ビギナリアで一躍有名になった『フォルトゥーナ商会』の参入を危険視した、この街の悪徳商人たち。

 そして、彼らに買収されて「土地を売らない」という嫌がらせに出てきた領主と商業ギルド……。

 そこから始まった一連の騒動だったが、交渉を決裂させたことで本気モードに入ったウチの女性陣は、驚きの行動に出た。


「売ってくれないなら、城壁の外に自分たちで店を作ればいいじゃない」


 そう言って、あっという間に城壁外の敷地を整地し始め、自前で拠点の建設を開始してしまったのだ。


 青いスライムの『収納・通信』機能をフル活用し、ビギナリアの拠点から建築資材をダイレクトに転送。

 それをスライム付与によって爆発的に強化されたパワーと器用さを活かし、超突貫工事で組み上げていく。

 その傍らで、リネットと殺戮メイド隊の面々は「市場調査」という名の敵情視察に出かけ、相手の経済基盤をじわじわと外堀から埋める準備を進めていた。


「主様ー! 店舗兼住宅の第一期工事、完了いたしましたわ!」


「ご主人様、ついでに周辺用の防壁と大型駐車場も作っておきました!」


 ……うん、相変わらず仕事の規模とスピードが狂っている。

 既存の街から弾き出されたはずの俺たちだったが、気づけば城壁の外に、本家を凌駕するほどの巨大な『フォルトゥーナ特区』が誕生しつつあった。城壁外だから税金も払わなくていいしね。それを価格に還元して、さらに適正価格にしてやれば……。


「ご主人様……戻りました。すぐに周辺の農家や工房と契約を結んできますわ。やはり彼らは適正な価格で取引されていませんでした。商人として失った信頼の怖さを、領主や悪徳商人、そしてギルドに教えてあげます……私どもに敵対したことを後悔させてあげましょう」


「う、うん……程々にね……」


 農家も工房も相当に搾取されていたようだ。それなら、ゴッソリとその利益と信頼をフォルトゥーナ商会がいただくこととしよう。

 速攻で話をまとめたリネットたちは——。


「税金もかからないし、無駄な中間マージンも全部カット。……よし、既存の半額以下で高品質な素材や商品を並べちゃおうか」


「ウフフッ、素晴らしいですわリネット! 街の商人たちも『安く仕入れて高く売る』しか脳がないようですから、私たちが適正な物流を流すだけで打つ手もなくなりますわね」


 アオイが楽しそうに目を輝かせながら、収納スライムから次々と棚へ商品を並べていく。


 そして、その効果はてきめんだった。


 ほんの数日と経たないうちに、城門を通る行商人や冒険者、果ては街の一般市民までが、噂を聞きつけてこの『フォルトゥーナ特区』へと押し寄せてきたのだ。


「おい見ろよ! 噂のポーションがこんな安値で売ってるぞ!?」

「既存のギルドで買わされていた粗悪品の半額じゃないか!」

「防具の修理も、数日預けるだけで新品みたいになって戻ってくるらしいぞ!」

「ビギナリアに買いに行ってた冒険者レーション……! もうあんな不味い保存食を買いに街へ行かなくても済むな!」


 口コミは瞬く間に広がり、かつて繁栄していたはずの既存の街中の市からは、潮が引くように人が消えていった。


 ……代わりに、俺たちが作った『フォルトゥーナ特区』は連日連夜の大盛況。

 特区の周りには、俺たちと契約を結んで適正な利益を得られるようになった農家や職人たちが次々と露店や工房を構え始め、もはや城壁の外の方が『真の街』として活気を見せ始めている。前世の大型ショッピングモールみたいな感じになっているな。


「ご、ご主人様! 街の門番たちが『俺たちも雇ってくれ』って履歴書を持って押しかけてきてるんですけど……!」


「あはは……もう警備員も自前で確保できちゃいそうだね」


 報告に来たミリーの言葉に苦笑しつつ、俺は城壁の上の様子を伺った。


 そこには——自分たちが締め出したはずの相手に、市場も、人材も、農家も、工房も……何から何まで根こそぎ奪われ、青ざめた顔でガタガタと震えている領主と悪徳商人たちの姿があった。


「フォ……フォフォ……な、なぜだ……! なぜ奴らは土地すら与えられていないのに、こんな化け物めいた街を数日で作れるのだ……!?」


「領主様! 街の商業税収がほぼ半減しました! このままでは我が領地は破産です!!」


 悲鳴のような声が、遠く城壁の上から風に乗って聞こえてくる。


 まあ、俺たちに牙を剥いたんだ。うちの女性陣に喧嘩を売った上に、彼女たちに手加減をする気もないみたいだしな。自業自得ってやつだ。


「さて……街の地盤固めも終わったことだし、俺たちはそろそろ本題の『樹海ダンジョン』の攻略へと向かおうか」


「「「はい! ご主人様(主様)!」」」


 これで樹海ダンジョンから採取する希少素材をフォルトゥーナ商会で扱い出したら、いよいよあの街は完全に終わるな……。

 俺は迷宮都市ビギナリアの商業ギルド宛に一通の手紙を出してから、樹海ダンジョンへと足を踏み入れた。


『迷宮都市ビギナリアの商業ギルド、ギルドマスター様宛……ルディより』——と。

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