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寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴
オークションと新しい仲間

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新勇者パーティー

【サスーニア海洋国の至宝『水宝玉』・第2王女セルフィーナ視点】


「秘剣——『竜のアギト』!!」


 高速で振られた刃が激しい魔力を帯び、その軌跡がまるで巨大な竜が顎を開いて喰らいつくかのように空間を切り裂く。王国流剣術の奥義を、まだ年端もいかない少女が軽々と放ってみせた。


「右手に雷魔法、左手に風魔法……二重展開・合成完了。行きなさい——『サンダーテンペスト』」


 先ほどの少女よりも少し年上の彼女は、元々は優しくおっとりとした雰囲気を纏っていた。しかし今の彼女は、破滅的な極大魔法を放つことそのものに快感を覚えているかのように、その頬を怪しく紅潮させている。


「癒しの光よ、万理に逆らいし仮初めの命を、あるべき姿へと還しなさい……。神聖魔法——『ホーリーサンクチュアリ』」


 穢れを一切許さぬ聖なる結界が、少女を中心に円状に広がっていく。その領域に触れた死者アンデッドたちは、苦しみを感じる暇もなく光となって天へと強制昇天させられていった。


「うふふ……完璧な仕上がりですわね。剣豪……いいえ、今の貴女は『剣聖』ですわね、ルイーゼさん。魔導士からの二階級特進はいかがかしら? 『賢者』ウルリケさん。そして……勇者様と同じく伝説の称号を受け継がれた『聖女』クリスティさん」


 3人は私の前に来て膝をつく。ウフフッ、ちゃんと教育済みですわ。


「はい! 欲をいえば私も剣を……」

「クスクス、信じられない魔力です。使い切れるかしら」

「ありがとうございます。セルフィーナ姫よりいただいたこの力で……」


「3人ともに合格ですわ。すぐに勇者様のお相手を含めた冒険者パーティーを組んでいただきますわよ。まずは勇者パーティーとしての名声を……」


 そう、サスーニア海洋国の王位を狙うのに勇者パーティーは不可欠です。この私は王家に生まれ才能に恵まれました。他の兄弟や姉妹とは比べるまでもなく。

 だからこそ……女だからと結婚して王家から外れることなど我慢できませんわ。ならばどうするか……他の兄弟を切り、私が……いいえ、勇者ランドルフが王位を継げば良いのです。


 建国する際も勇者から始まった王家です。それが自然というもの。そしてこの3人も勇者を輝かせる大事な駒なのですわ。勇者が輝けば隣にいる私もさらに輝きます。


「勇者ランドルフ様。お約束通り、三人を連れてまいりましたわ」


「おお、久しぶりだな! むっ……一目で分かるぞ、三人とも見違えるほど強くなりやがったな。ふむ……覚醒勇者たる俺様の女として、ようやく相応しくなったようじゃねぇか!」


「「「はい……っ!!」」」


 三人はうっとりと頬を赤らめ、狂信的な瞳で勇者ランドルフ様を見つめている。

 ふふっ……ここまではすべて予定通り。完璧な調教(教育)の成果ですわ。


 私が王位を簒奪するためには、何としても絶対的な味方と手駒を得なければなりませんでした。

 サスーニアの第2王女という身分でありながら、母が下級貴族の出で側室に過ぎないというハンデ……。王位継承順位が絶望的に低いのも、すべてはそのため。

 だからこそ、その理不尽な運命をすべてひっくり返すための切り札が、この『勇者』なのです。


 ……ですが、ただ勇者を担ぎ上げるだけでは確実性に欠けますわね。まずは強固な経済基盤を……。


「……ううん、それだけでは面白くありませんわね。一体どうすれば、確実にこのサスーニア海洋国を掌握できるかしら……」


 私が思案に暮れて呟くと、隣で胸を張っていたランドルフ様が、何でもないことのように鼻で笑って言いました。


「なら、この国以外を味方に付けりゃいいじゃねぇか。ほら、海の向こうにも国くらいあるんだろ?」


「……、…………?」


 海の……向こう……?

 ハッと息を呑みました。……なるほど、完全に盲点でしたわ!

 何もこの小さな島国の中だけで、泥臭く完結させる必要などどこにもなかったのです!

 まさか、勇者ランドルフ様からこれほどまでに合理的な打開策を提示されるとは……!


「ウフフ……流石は勇者様ですわ! ええ、その通りですわね……!」


 そうですわね……サスーニアにおいて『海』と言えば船。海運の利権さえ完全に握ってしまえば、愚鈍な他の兄弟たちの頭上へ立つことなど容易いこと……。

 それに、何をするにもまずは潤沢な資金が必要です。経済基盤としてはこれ以上ない獲物ですわね。


 私は控えていた執事へすぐさま指示を出しました。


「王都近郊で海運を営んでいる商会を、速やかに洗い出しなさい」


「ハッ……!」


 わずかな時間で執事が戻り、一枚の調査書を差し出してきました。


「姫殿下! こちらがご命じになられた商会のリストでございます」


 執事は優雅に一礼すると、静かにドアの脇へと引いて待機します。

 渡されたリストに目を走らせる……。


「そうね……あまりに大きすぎる大手商会に手を出すのは、現時点では悪手……。ならば、今まさに勢いに乗っている……ふふっ、良いのがありますわね。『シーライン商会』。売り上げも順調、所有する船も良好……。なるほど、実に素晴らしいわ」


 私は唇を吊り上げると、横で退屈そうにしていた勇者様へと向き直りました。


「勇者ランドルフ様、ひとつお願いがございますの」


「おう、なんだ?」


「ウフフッ、勇者様方に『魔物の討伐』をお願いしたいのですわ。新生勇者パーティーのお披露目として、これ以上ないほど派手で華々しい初陣をご用意いたします……」


 上手くいけば『シーライン商会』だけでなく、海を挟んだ大陸の隣国への足がかりまで手に入りますわ。

 ……ふふっ、すべては勇者パーティーの働き次第。ランドルフ様たちが遠征へ出向いている間に、私は国内の有力者たちをたっぷりと懐柔しておくとしましょう……。

 本作品をご覧頂きありがとうございます。今週より本作品の公開は火曜・木曜・日曜の週間3回になります。

 今後もよろしくお願い致します。

 また、新作を執筆中ですのでそちらも合わせてよろしくお願い致します。公開は恐らく10月になると思います。ローファンタジー×ダンジョン配信×追放です。


『コチラは奈落の底です』から始まるダンジョン配信 〜派遣切りされたおっさん、ハズレスキル『ねる』で追放されたが、同じく見捨てられた美少女たちと止めることのできない配信で無自覚ざまぁする〜



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