迷宮都市に現れた楽園
やあ、俺です。この世の楽園と聞くと皆さんはどんな光景を思い浮かべますか?
人によっては、綺麗な景色や、美味そうなご飯や、可愛らしい女の子などでしょうか……俺もそのような光景がこの世の楽園なのかな? とか思ってますね。
俺は現在、冒険者パーティー『セレスティアル・ガーデン』を組織している。日本語に訳すと『天界の庭』だ。
そう、楽園なんだ。その『セレスティアル・ガーデン』が、まさに目の前にある。拠点のリビングには、様々な属性を持つ美女・美少女がリラックスした姿で談笑している。そしてテーブルには良い匂いがする、各種料理や酒が置かれさらに場を彩っている。
そして、女性達からはチラチラと見えては隠れる太ももからこ三角形の隙間から、色とりどりの色の華が咲く。
そう、俺が先程言った綺麗な景色や、美味そうなご飯や、可愛らしい女の子などが、再現されていた。まさに今……
「セレスティアル・ガーデンかぁ……まさにここに『天界の庭』が再現されたな……」
アオイは青か……涼やかで冷静なアオイらしい。
アカネは赤か……情熱を体現するようでアカネらしい。
キミカは黄色……あの太ももとホットパンツのコンボでさらに隙間から見える黄色。ありがとうございます。
そしてフィオナさん……1番凄い。黒で透けてるではないか。そうか……上級者だったか……
リネットは可愛らしい、セシルは逆に大人っぽい。
ジェシカは結構エグい、ルーナは……履いてない? エルフってそういう事なのか? サンキューな。
リンはまだ幼いからな……一部の熱狂的な、人種じゃないとな。
他の5人村娘や、商会メンバー達もチラチラと……それを注意して回る、メイド長のマーサと夫のハンス。
俺と一緒に誰のが見えたと、小声で報告し合う獣人のガルバ。ドワーフ族コンビのドラン親方と奴隷のバルカンは……
「ヒゲの無い、女の下着など見て何が楽しいんだ?」
……と、俺とガルバに冷たい視線を送る。イヤイヤ、ヒゲのモッサリした女のなんか見て、楽しいのか? ドワーフ族とは、分かり合えそうも無いな……
ふぅ〜、と溜め息をついている横で……
「ね! ご主人様は目がエッチです」「チラチラ、見てるの」「みんなのアピールが、さりげなくて……私も頑張らないと……」「ご主人様に見初められるのに、ライバルがこんなに……」
女性達は女性達で、見えない所で牽制しあって……アピールを、続けていた。
「アオイ、いいの? 表面上は仲良しに見えるけど……その内、争いになるわよ?」
「ええ、そうね……でもね。主様に全員でアピールしていかないとね。分かるでしょ? 主様はエッチな目で、見てくれてるけど……けして、手を出してこないのを……恐らくは無意識に、婚約者を寝取られたのを気にしてるの……」
「なるほどね……僕は最近、呼ばれたから分からないけどね。アオイ姉やアカネ姉の誘惑に屈しないのは、そういう事だったのね……」
リビングの隅で、アオイとアカネ……そして新しく仲間に加わった金髪ポニーテールのスライム娘キミカが、深く納得したように頷いていた。
「ええ。だからこそ、私たちは焦らせてはいけないの。主様が、自ら『この手で愛したい』と一線を超えてくださるまで……じわじわと、けれど確実に包囲網を狭めていく……それが私たち『セレスティアル・ガーデン』の……主様のハーレム化の真の作戦よ」
「……アオイ姉、それ、ただの誘惑じゃないかしら?」
キミカが呆れたようにツッコミを入れているが、その表情もどこか嬉しそうだ。アカネもフフンと……
◆◆◆◆
一方、当の俺はというと……ガルバと肩を組んで、盛り上がっていた。
「おいルディ、フィオナさんのあの黒のレース、ありゃ国宝級だぞ。あの少女と大人の狭間で、黒のスケスケをチラチラ見せてくるのは反則だ……!」
「静かにしろガルバ、マーサさんに見つかったらフライパンで殴られるぞ……いやでも、確かにあの素材は素晴らしいな。芸術点が高い。アレを作った職人を『フォルトゥーナ商会』へ勧誘したいな」
ドラン親方たちの冷ややかな視線をスルーし、ガルバと熱いコソコソ話を繰り広げていた。
……ふぅ、幸せな時間だな
冷やした酒を、ゴクリと飲み干しながら、俺は賑やかな、リビングを見渡す。誰もが笑い、テーブルを囲んで話をして食事をする。これが、俺が求めていた事なんだな……
確かに、たまにみんなの視線がやけに熱かったり、飲み物を運んでくれる時の距離感がやたらと近かったり……ふとした瞬間に甘い香りと共に、身体を寄せてきたりはする。
「守りたいな! この幸せを……なぁ、ガルバ!」
「おうよ。この色とりどりの花畑を、いつまでもな。任せておきな。俺が守ってやるから……」
男同士でガッチリと握手して、互いの目的を再確認して共闘宣言していると……
「コラ、そこの男連中……さっさとグラスを片付けなさい。ルディ様も、あんまりデレデレしてるとお酒抜きにしますよ!」
厨房から大きなフライパンを片手に、現れたマーサさんの雷が落ちる。
「「はいッ、すみません!!」」
俺とガルバは慌てて背筋を伸ばし、慌ただしくグラスを片付け始めた。
その様子を見て、アオイやアカネ、リネットたちが「クスッ」と楽しそうに、可憐な笑い声をあげる。
だけど、かつて婚約者を寝取られ、家族に見捨てられ、友達に裏切られ、仲間から必要とされなくなった。奴隷同然に放り出された俺が、今こうして世界で一番温かくて賑やかな『楽園』にいることだけは、間違いなかった。
「よし、片付けが終わったら……明日からの、新しい依頼の打ち合わせをしようか」
俺がそう声をかけると、美女・美少女たちの瞳が一斉に爛々と輝き……俺を取り囲むように、一進してきたのだった。




