シーデビル二世
【バイキング『虐殺の悪魔』シーデビル二世視点】
「がっははは。こんなに上手くいくなんて……やはり俺様は、持ってるな」
奴隷の身分に身を落としたというのに……俺様は高級宿屋のテーブルに並んだ、豪華な食事を貪り食いながら大声で笑った。
わざわざ最強最悪の海賊『虐殺の悪魔』ともあろう者が奴隷になったのは、何もS級冒険者パーティー『トライデント』の連中に、ボコボコにされて捕まったワケじゃねーぞ……いや、あいつらはマジで化け物だった。
とにかくこれは俺様の、勝算のある賭けってやつだ……そして、見事に勝ったな。
賞金首として海軍や冒険者に血眼で追われ続けるより……一度「奴隷」の檻に隠れちまえば、誰も俺様が自由だとは気付きゃしねぇ。
おまけに移送された先は、一丁前に迷宮都市なんて名乗っちゃいるが……まともな強者もいねぇヒヨッコ冒険者ばかりのヌルい都市、ビギナリアだ。
「がはは、これならいつでも暴れて脱走できるし、いくらでも奪い放題だぜ……」
俺様の隠してるスキルで、奴隷の刻印自体は本当は意味がない。この都市を、俺様の新しい『根城』にするのも悪くない。
大きな肉に食らい付きながら、両方に控えている女達を見る。ここは弱い男しかいないから、女達は全て俺様の奴隷だ。誰も俺様に、逆らえない。
迷宮都市ビギナリアオークション……ここは1年に1度オークションが行われる。俺様が、売り出されたのもここだ。俺様にとっては、獲物が向こうから寄って来る絶好の狩場だったがな。
最初に、俺様を買ったのがデブ貴族。コイツならすぐにぶっ殺して、財産奪ってトンズラだな……と思ってたら……
このデブは、金が払えなくて……バカだったな。
2番目は片腕のに~ちゃん(ルディ)だった。それよりも、むしゃぶり付きたいくらいの良い女を2人も連れていた。
こりゃ、当たりだと思っていたら……この俺様を、「いらねー」とか抜かしやがった。
奴隷から抜け出したら、真っ先にぶっ殺してやるからな。
そして、3番目が今の『ご主人様』だ。ガハハハ……
「おい、ブリッツ、エドガー……エマールを呼んで来い。お前が大金で買った奴隷様が、躾けてやるってな……ガハハハ」
俺様が酒を煽りながらそう命じると、部屋の隅に控えていた二人の男が……ビクゥッと肩を震わせた。
ブリッツとエドガー。一丁前にビギナリアのトップ冒険者だの何だのと名乗っていたらしいが、中身を開けてみればただの小悪党だ。オークションで俺様を大金で落札したまでは良かったが、俺様が隠し持っていた本物の『虐殺の悪魔』の力と殺気を見せつけた瞬間……こいつらはあっさりと小便を漏らして、俺様に屈服しやがった。
「は、はい……すぐに、すぐにエマールを連れて参ります、シーデビル二世様!」
かつてパーティーのリーダー風を吹かせていたらしいブリッツが、今や奴隷であるはずの俺様に揉み手をしながら……ペコペコと頭を下げて、部屋を出ていく。
エドガーの野郎も、俺様の顔色をうかがいながら冷や汗をダラダラと流して震えている。
がっははは 笑えるだろ?
こいつらは俺様の圧倒的な強さが分かると、自分たちの仲間であり、女でもあった、エスナとミラを「どうぞ好きにしてください!」と泣きながら俺様に差し出しやがったんだ。
専属受付嬢だったエマールという女も、今や俺様の便利な道具だ。金を出してまで手に入れた奴隷に、逆に奴隷扱いされるとは……笑えるだろ?
まぁ、仲間を平気で売るようなクズどもらしいからなお似合いなんだろうな……表向きは『リジェクテッド』という名前で俺様を飼っている形にしてあるから、俺様の隠れ蓑としては最高に役に立つ。
しばらくして、ブリッツが青い顔をしたエマールを連れて戻ってきた。
「シーデビル二世様……お呼びでしょうか……」
怯えるエマールを強引に引き寄せ、胸を揉みながら……
「おい、エマール。お前の貴族パパからの送金が、遅い。俺様は奴隷に、なってやってるんだぞ。すぐに、金を持ってこさせろ……そうしないと、騎士団団長みたいに……」
手に取ったリンゴを、片手で握り潰す。その様子を見て『ヒィ!』と小さく声を漏らす……フフ、そんなに怯えると……
もはやビギナリアで、俺様を捕らえる事が出来る者もいない……だが目立った犯罪を犯せば、また『トライデント』みたいなバケモノ冒険者を呼び寄せてしまうからな。このまま、エマールは女としても財布としても使ってやってる。これが俺様が選んだ選択だ。俺様は賢いな……
でも、そろそろ飽きて来たな……俺様に合う極上な女や、もう少し資金を出してくれるスポンサー様が必要だろう……
さぁ、エマールが来たしエスナやミラも呼んで、これからシッポリと楽しむかな……
俺様は、高級宿屋から代金を払わずに出る。店員も既に分かってるから、何も言わない。代金は全て、エマールのパパに請求が行くからな。
迷宮都市ビギナリアで大通りの真ん中を歩いていく。大通りなので馬車なども来るが、全て俺様を避けていく。逆に突っ込んで来る、馬車は殴り壊す。
俺様は持って生まれたスキルと、この強靭な肉体が武器だ。
これが俺様の強さの理由で、このビギナリアの覇者としての俺様だ。
今日も肩で、風を切り歩いていく。そこで見たのは……
「おいおい、この都市では見た事ない女が、沢山いるじゃねーか。しかも、全て美味そう。俺様の種を、仕込んでやるかぁ」
新しく見つけた獲物に、俺様はエマールを連れたまま近づいていく。




