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寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴
オークションと新しい仲間

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戻れない片道切符

【フォルトゥーナ商会店長リネット視点】


 裏路地で話し合いをする4人を、私は物陰から見ている。

 どうやらこの4人は、顔見知りのようです。

 しかし、ボロボロの方は私は良く分からない。


「全く、本当に分かってないのね。私達がルディを裏切り続けるアンタ達に力を貸していたのも、ルディに『エスナさんとミラさんの言う事を聞いてくれ!』って命令されて……自分達からは、離れられなかったのよ」


 アオイ様もアカネ様も、ご主人様が使役する『スライム』だからなんだね。そっか命令は絶対なんだ……


「まさか……スライムのアオイちゃんなの?」


「フフフッ、気安く『ちゃん付け』ですか? 主様を裏切った女だけはあり、礼儀知らずですね……」


 アオイ様から、さらに濃密な殺気が……


「ダメよ、アオイ。殺したら、そこで楽になってしまうわ。ルディを傷つけた以上の苦しみを、与えないと……」


「アカネ、頼むよ。また、私と合体しておくれよ。目が……見えないんだ。魔力感知も温度感知も出来なくて、目を治す為の『女神の涙』を手に入れるまででいいんだ……」


 盲目の少女ミラと、いう名前らしいんだけど……アカネ様の足にしがみついて、懇願している。


「……ダメね。アナタ達に、何の価値もないわ。ルディを、見たでしょ? 自分達が、家族の輪に入れると思うのかしら」


「そんなぁ〜。わっ、私達だって見た目なら……」


 アカネ様がヤレヤレとポーズして、ふぅ〜とアオイ様が溜め息を吐く。


「見た目ですか? アナタ方は、綺麗なつもりですか? その汚れた姿と心で、主様に取り入ろうとするのですか? それを、私達が赦すとでも?」


 どんな事があったのかしら? いつもニコニコしているアオイ様が、あんなに怒るなんて……


「そんな事を言っても……ルディさんだって、私達の事を……」


「それはない。ルディのあの興味の無い顔を、見なかったの? ルディは故郷でも、婚約者を他人に取られて……イヤ、婚約者だけでなく信頼していた家族も、友人も、ルディが親友と呼んでいた男に……全て取られたのよ。そしてここに来て……アンタ達、仲間もね」


 アカネ様はその強気な目を、さらに力強くさせる。その目は、非情な魔物としての……捕食者としての、目だった。

 いつもは澄ましてようで、さりげなく優しいアカネ様とは違う……完全に敵対相手だと、認識しているようです。


「私達だって……こんな事になるとは、思わないじゃ……ひい!」


「ウフフッ、ゴメンなさいね。アナタ方があんなグダらない男に惹かれていくのを、見てるしかなかった私達自身にも怒ってるのですよ……あの頃の私達では、人化出来なかった。その結果、主様をさらに傷つけてしまうとは……この際、その元凶を殺したくなってしまうじゃないですか……」


 アオイ様が、歌うような美しい声音のまま……けれどその全身からは路地裏の建物を、ミシミシと軋ませるほどの濃密な殺気を放ちました。


 私は物陰で自分の腕を抱きしめ、寒気でガタガタと震えるのを必死に抑えていました。

 いつも穏やかで商会でも冒険者としても微笑んでいるアオイ様が、これほどまでに激しい怒りを剥き出しにしているなんて。初めて見ました。


 そして、アカネ様が語ったご主人様の過去。

 婚約者も、家族も、友人も、すべてを「親友」に奪われ、最後に残ったこのビギナリアの仲間たちにまで裏切られたという……あまりにも、残酷な真実。

 私達はその事を知り、改めてご主人様の境遇を……


(ご主人様……っ。あんなに優しいご主人様が、どれほどの絶望を抱えて生きてこられたというの……!)


 胸の奥が、ぎゅっと雑巾のように絞られるほど痛みました。

 それと同時に、目の前で泥まみれになって震えている二人の女に対する……激しい怒りが、ふつふつと湧き上がってきます。


「ひ、ひぃぃぃ……ご、ごめんなさい、ごめんなさいぃ……私達だって好きで……」


「頼むから、殺さないで……目が見えないんだ、もう私たちは何もできないから……私達だって頑張って……」


 物陰から見ていた私は、アオイ様・アカネ様の間近で見せつけられた……

 悲しさや己の無力を嘆いてる姿に……

 ご主人の何度も身近な人に、裏切り続けられた残酷な現実に……

 今を笑って、他人に優しく出来る強さを……

 そして、目の前に身勝手な2人の元パーティーメンバーに……

 私の身体は勝手に動いて、4人の前に出てました。


「勝手な事ばかり言わないでー! ご主人様もアオイ様もアカネ様もアナタ達の身勝手な考えで、振り回さないで下さい! 私には3人共大好きで、幸せになって欲しい人なんです。それを今更、裏切ったのに……赦して欲しいなんて、自分勝手過ぎます。それに私は、覚悟してるんです。ご主人様の……赤ちゃんを産みます。ご主人様とアオイ様やアカネ様と、本当の家族になるんです。邪魔しないでー!」


 あー、やってしまいました。自分では冷静なつもりでしたが、ご主人様やアオイ様やアカネ様がバカにされてると……謝れば赦して貰えると思ってる、この2人に本当に頭に来てしまいました……


「……リネット? 居るのは分かってましたが、ビックリしましたよ」


「そうね。でも、リネットのおかげで、冷静になれたわね」


 私の頭を撫でてくれるアオイ様とアカネ様は、いつもの優しい感じに戻っていてホッとしました。

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